5年に1度、全国民を対象におこなわれる国勢調査。
直近の令和2年国勢調査の回答率は、80.2%でした。回答期間は9月14日から10月7日までの約3週間。シルバーウィークも重なり、うっかり回答し忘れた人も多いのではないでしょうか。
国勢調査は、私たちの暮らしに直結する重要な統計調査です。この記事では、期日までに回答しなかった場合の罰則の有無や対応方法について解説します。
国勢調査は国の将来設計にかかわる
国勢調査は、単なる人口調査ではありません。国の未来の見通しや制度設計をするうえで重要な調査です。性別、生年月日、世帯員の数、住居の種類など調査項目は多岐にわたります。国勢調査員が配布する書類に記入して直接提出する方法のほか、郵送やインターネットでの回答も可能です。
国勢調査の目的や調査方法について基本的な部分をご紹介します。
国勢調査の目的と意義
国勢調査結果から得た統計データは、将来の見通しを立てるための情報基盤としてさまざまな分野で活用されます。たとえば、国や地方自治体が雇用対策や福祉対策の整備などの行政を公正におこなうために欠かせない調査です。
国勢調査の方法と期間
国勢調査は5年に1度実施され、調査日は10月1日です。調査日までに国勢調査員が各世帯を訪問し、調査書類一式を配布します。調査の際の住所は、調査時に3カ月以上居住している場所、もしくは調査時点以降3カ月以上住む予定の場所です。
なお、令和2年国勢調査の調査項目は、個人の性別、生年月日、世帯員の数、世帯収入の種類、住居の種類など合計19項目でした。
国勢調査の回答方法は、インターネット、郵送、調査員への提出の3つです。 回答期間は、提出方法によって異なります。インターネットでの回答は9月14日から10月7日、調査票(紙)での回答は10月1日から10月7日です。
国勢調査に答えないとどんな問題が起こるか?
国勢調査は任意調査ではありません。調査対象となる人には提出義務があり、罰則も設けられています。また、国勢調査は、社会のあり方を決めるための重要な調査です。罰則の有無にかかわらず、きちんと回答しましょう。
国勢調査に答えなかった場合の問題点をご紹介します。
国勢調査に答えないと罰則が適用されることがある
国勢調査は、統計法という法律に基づいて実施されます。国勢調査に回答しなかった場合、罪に問われる可能性も否定できません。また、回答についても正確な情報を記入することが求められています。
統計法の国勢調査に関連する項目はおもに2つです。第13条では「国勢調査などの重要な統計調査についての報告義務」が定められています。さらに、第61条では「報告を拒むまたは虚偽の報告をした者に対して50万円以下の罰金」が定められているので注意しましょう。
国勢調査に答えない場合の社会的影響
国勢調査は、国や地方自治体の政策に影響する重要な調査です。十分な回答や正しい情報を得られないと、行政側が誤った判断をしかねません。社会的に影響のある調査なので、必ず回答しましょう。
国勢調査に回答しなかった人の数は、国勢調査結果に反映されません。また、誤った情報も調査結果に影響を与えてしまいます。たとえば、地方交付税の金額や、学校や公共施設の建設といった人口や構成によって予算配分の変わる政策を正しく実行できなくなるおそれがあります。
うっかり国勢調査を忘れた場合の対処法
国勢調査は、期限までに提出することが大原則です。しかし、うっかり忘れてしまった場合でも、後日提出できます。忘れていたことに気がついたら、すぐに対処して提出しましょう。
国勢調査の提出を忘れた場合の対処法をご紹介します。
気がついたらすぐに連絡
国勢調査の回答期限を過ぎてしまった場合は、自分が住む地域の担当者にすぐ連絡をして指示をあおぎましょう。また、国勢調査実施期間中に設置される問い合わせ窓口への連絡でもかまいません。
調査用紙を紛失した場合なども、すぐに連絡をすることが重要です。国勢調査は、「忙しい」「めんどくさい」と後回しにしがちですが、回答義務はなくならないため、できるだけ早期に対応しましょう。
期限を過ぎても受け付けてもらえる
国勢調査は期限までに提出する必要があります。しかし、期限を過ぎても受け付けてもらえるケースが多いようです。
原則は、期限内の提出が義務付けられているので、確実に「いつまで待ってもらえる」とはいえません。しかし、調査する側は罰則を科したいわけではなく、正しい調査をすることが目的です。そのため、期限を過ぎてもできるだけ早く対応しましょう。
国勢調査への協力の重要性
国勢調査で正確な統計データをとり、公正な行政をおこなうためには、国勢調査対象者に漏れなく回答してもらう必要があります。
国勢調査のメリットやデータ活用例を解説します。国勢調査の重要性を理解したうえで調査に協力しましょう。
国勢調査がもたらすメリット
国勢調査による最大のメリットは、行政側が住民の年齢層や家族構成、就労状況などを把握することで、より的確かつ意味のある住民サービスを提供してもらえることです。また、将来に向けた制度設計のあり方も検討できるので、私たちの安定した生活の維持にもつながります。
国勢調査では住民票の登録住所ではなく、実際に住んでいる場所で調査するため、住民基本台帳よりも正確な統計データを得られる点が特徴です。たとえば、海外赴任中の人や住民票を移さずに転居している場合でも、現在の状況を正確に把握できます。
結果として、今本当に住んでいる住民にとってなにが必要か、今後どう変わっていくのかを正確に把握、予測できるので政策の無駄や不足を防止できます。
国勢調査のデータ活用事例
国勢調査で得られるデータは、少子高齢化対策、医療・福祉政策など行政運営の基礎資料として幅広く利用されています。また、生活に直結する衆議院議員の小選挙区の区割り基準や、地方交付税の算定基準といった算出根拠としても重要です。
さらに、国勢調査の統計データを活用するのは行政機関だけではありません。大学や研究機関、民間企業でも利用されています。
たとえば、大学や研究機関では社会経済の実態や動向、災害被害予測など、重要な研究を進めるために国勢調査の統計データが欠かせません。民間企業でも、宅地や店舗の建設計画を立てる際に、人口や年齢構成などの各種データを利用します。
【まとめ】国勢調査には必ず答えるようにする
国勢調査が実施されたら、忘れずに答えるようにしましょう。日本の産業構造や雇用形態、生活様式は急速に変化しています。こうした激しい変化のなかで、国や地方公共団体が政策を適切に実行するためには、利用する統計データが実態に即したものでなければなりません。
正確な統計データを作るためには、国民一人ひとりの協力が不可欠です。国勢調査は、パソコンやスマートフォンから手軽に回答することもできます。万が一忘れた場合には、罰則が適用されることもあるので、必ず提出期限内に提出しましょう。また、提出期限に遅れた場合は、すみやかに担当の国勢調査員や窓口に相談することも大切です。