資産運用にはさまざまな種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。リスクや収益性にも違いがあるため、どのような投資方法を選ぶかによって結果にも大きな差が出ます。
今回は資産運用について、言葉の定義から代表的な投資方法、最適な選び方まで詳しくまとめました。ぜひ参考にして、最適な投資方法を見つけてくださいね。
1.「資産運用」と「投資」は言葉の定義が違う
みなさんは「資産運用」と「投資」の正しい意味をご存じでしょうか。実は資産運用と投資は、言葉の定義が違います。まずは、資産運用と投資の定義について、きちんと確認しておきましょう。
資産運用とは?
資産運用とは、手持ち資産を増やしていくことです。具体的には、自分の持っているお金を配分し、運用をおこなって効率的に増やしていくことを指します。
資産運用のおもな方法は、預貯金と投資の2種類です。預貯金は資産を貯めることを重視した運用方法で、投資は増やすことを重視しているという違いがあります。
預貯金の金融商品は、普通預金や定期預金、積立定期預金などです。一方で、投資のおもな金融商品としては、株式や債券、投資信託などがあります。
「投資」は資産運用の手段の1つ
投資とは、資産運用の手段の1つで、将来の利益を見込んで資金を投じることです。身近なものでは、株式投資や投資信託、不動産投資などがあります。利益を得られるまでの期間や規模は投資方法によって大きく異なるため、投資をおこなう対象選びは重要なポイントです。
まったくリスクのない「投資」は存在しないため、ギャンブルのような印象を持つ方も少なからずいます。しかし、投資はギャンブルではありません。たとえば、株式投資であれば投資先の会社の業績や将来性などをさまざまな観点から分析することで、リスクを抑えられます。投資では、情報収集により根拠をもって出資できる点がギャンブルと大きく異なります。
投資と投機は違う
投資と似た言葉に「投機」があります。投資は、企業の価値や将来性など長期的な視点から資金を投入する行為です。一方で投機は、短期的な価格変動の観点から利益を得ようとするものを指します。
投機の場合、もちろん短期間で大きな利益を上げられる可能性もあります。しかし、安定的に利益を上げ続けることは困難です。
さらに、投機では機関投資家といったプロが巨額の資金を使っておこなっている可能性も否定できません。個人取引では短期間で大きな損失を被ってしまうおそれもあります。資産運用をおこなう際は、長期的な視点を持つことを心がけましょう。
2.代表的な投資方法
資産運用をおこなう投資方法にはさまざまな種類があります。リスクや収益性は投資方法によって異なるため、自分の目的にあったものを選ぶことが重要です。
代表的な投資方法をいくつかご紹介します。それぞれの特徴やメリット・デメリットなどを理解して最適な投資方法を選んでください。
株式投資
株式投資とは、企業の株式を購入する投資方法です。株式投資では多くの場合、上場している公開株式を購入し、株価が上昇したタイミングで売却して差益の獲得を目指します。
ただし、株価の変動は大きく、予想と違う方向に価格が動くと大きな損失がでてしまうおそれもあるため注意が必要です。
また、株式投資で収益をあげるには、株式を所有して配当金収入を得る方法もあります。業績によっては配当金が得られないこともありますが、株式の売買によって差益を得る方法よりも安定しており、リスクの少ない点がメリットです。
投資信託
投資信託とは、専門家にお金を預けて運用してもらう方法です。個人で株や債権を購入する場合は、まとまった資金の用意が必要ですが、複数の人から集めたお金で運用する投資信託であれば、少額から始められます。
また、投資信託では集めたお金を一定のルールで分散投資するため、安定した運用が可能です。個人で直接株を所有する方法のように、1銘柄の株価の上下に一喜一憂することがありません。
外貨預金
外貨預金は、名前からは預金の一種のように感じますが、実際は投資的性格の強い資産運用方法です。所有している「円」をそのまま銀行に預けるのではなく、「ドル」や「ユーロ」といった外国通貨を「購入」して預金します。一般的に海外の金利は日本よりも高いため、大きな利息が受け取れることが特徴です。また、購入時よりも円安になった場合は、最終的に円転換した際に差益を得られます。
ただし、為替は日々変動するため、短期的には元本割れを起こすおそれもあります。外貨預金をする際は、長期的な視点で無理なくおこないましょう。
国債
国債は、国家の運営に必要な資金を国が市場から調達する方法です。発行された国債を購入すると、償還日に利息を含めて返済されます。利息や元本保証はないものの、国が運営しているため経済状況の影響を受けにくく、安全で安定性の高い点が大きなメリットです。
暗号資産
別名「仮想通貨」とも呼ばれる暗号資産は、近年登場してきた投資方法です。為替取引のように、投資したい暗号資産を購入し、値上がり時に売却することで売却益を得ます。ただし、投資先の見極めが難しいうえ、日々の値動きの激しいため、資産運用という視点ではあまりおすすめしません。
また、購入した暗号資産が将来なくなってしまう危険性や、ハッキングや運用会社の倒産といった不可抗力による消失のおそれがある点にも注意が必要です。
金
「金」の購入も代表的な投資方法です。長期的には値上がりしているうえ、近年では宝飾目的だけではなく、電子回路への使用などの実需も発生していることから注目されています。金貨や延べ棒といった現物資産や、投資信託方式による少額からの積み立てなど、さまざまな方法で投資することが可能です。
ただし、価格や為替変動によって短期的には元本割れを起こすおそれがある点には注意しましょう。
先物・オプション取引
先物取引は、決められた期日に決められた指標の価格で売買をする取引手法です。たとえば、1,000円で購入した株式が期日に1,500円になっていれば500円の利益がでます。また、先物取引で取引されるものは株式だけではありません。農作物や石油といった商品先物取引もあります。
ただし、先物取引は値動きの多い取引です。大きな利益も望めますが、多額の損失をだすこともあるため、投資方法としてはハイリスク・ハイリターンな部類となります。
不動産投資
不動産投資は、比較的安定した投資方法の1つです。不動産物件を購入して、家賃収入や売却益を得ます。
また、現物資産のうえ収入が安定しているため、自己資金が足りない場合でもローンを組んで投資できる点も不動産投資の特徴です。十分な自己資金を準備する期間を待つことなく、すぐに投資を始められます。
物件価格や家賃収入は、株式のように短期的に価格が動きません。長期的なスパンで計画的に運用できます。
さらに、REIT(不動産投資信託)や不動産クラウドファンディングといった形で、投資物件を直接所有しない不動産投資方法も注目されています。
3.資産運用目的に最適な投資方法の選び方
資産運用を目的として投資をおこなう場合には、注意すべきポイントがいくつかあります。
資産運用に最適な投資方法の選び方をご紹介します。短期間で大きな収益を得ることよりも、安定性や手間のかからない方法を重視しましょう。
リスクが少ない投資方法を選ぶ
資産運用を目的とするなら、まずはリスクが少ない投資方法を選びましょう。高いリターンを得ようとして、逆に資産が減ってしまっては本末転倒です。
ただし、リスクのまったくない投資方法はありません。実際に投資を始める前に「元本割れをしてもいいのか」「いくらまでなら損失を許容できるのか」など、具体的な金額を把握しておくことが大切です。
収益の安定性が重要
投資をおこなう際には、収益の安定性も重要なポイントです。大きな収益が見込める投資でも、安定していないと、計画的な資産運用にはつながりません。短期的な収益額よりも、長期的な視点での安定性を重視して投資方法を選びましょう。
長期投資とは言葉のとおり、長期間にわたって金融資産を保有し続ける投資方法です。投資では長期で運用を続けると、平均して収益率が安定していく傾向があります。安定した収益を確保したい方には、長期投資がおすすめです。
手間がかからず長期間継続できるものを選ぶ
資産運用は、長期的なスパンで考えることが重要です。手間がかかる投資方法を選んでしまうと、時間の確保が難しくなり、長期間続けることができません。
仕事が忙しい方であれば、放置していても収益の見込める投資方法を選択したほうが、結果的に良い方向に進む可能性が高くなります。自身のライフスタイルを分析して、投資にどれくらい時間を使えるのか、じっくりと検討して投資方法を選びましょう。
4.【まとめ】資産全体のバランスを考えて運用計画を立てる
投資は資産運用の手段の一つです。投資方法にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴やメリット・デメリットなどが異なります。資産運用目的として投資をおこなう際には、リスクができるだけ低く、収益が安定している方法を選びましょう。
また、投資を始める際は、資産全体のうちどの程度をリスク資産として運用するのか、どの程度を安定的に確保しておきたいかというバランスを考えて運用計画を立てることも重要です。しっかりと検討したうえで、ぜひ投資による資産運用を始めてみてくださいね。