不動産投資を検討していると、1度は耳にする「不動産投資はやめとけ」という話。確かに、不動産投資は初期投資額が大きいため、知識が全くない状態ではじめてしまうと失敗するリスクが高くなります。
しかし、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンといわれる投資手法です。リスク管理をしっかりと行えば、長期にわたって安定した収入が得られます。重要なのは、リスクをどれだけ理解して対応策を事前に考えているかという点です。
この記事では、なぜ「不動産投資はやめとけ」といわれるのか、その理由を徹底検証します。理由がわかれば不動産投資は怖くありません。リスクを理解したうえで、メリットも多い不動産投資をぜひ検討してみてくださいね。
もくじ
不動産投資の基本的な仕組み
「不動産投資」という言葉自体は多くの人が知っています。しかし、資産運用の一種といった程度の認識で、詳しいことまで知っている人は多くありません。
ここでは不動産投資の収益の種類を簡単に説明します。不動産投資を検討する前に、まずは基本的な仕組みについて知っておきましょう。
賃貸物件でインカムゲインを得る
インカムゲインとは、保有している財産を保持したままで得られる収益のことです。不動産投資においては、大家となって物件を保持・管理して第三者に貸し出すことで得られる家賃収入を指します。
不動産投資で安定収益となるのは家賃収入です。不動産投資で得られるインカムゲインには、家賃にくわえて家賃の5〜10%ほどの共益費も含まれます。
一気にキャピタルゲインを得る
キャピタルゲインとは、保有する資産を購入価格より高く売却できた時に発生する利益です。キャピタルには、資本や資産といった意味があります。不動産投資の場合、安値で購入した物件の価格が上昇すれば、売却することで利益を得られます。
キャピタルゲインは、インカムゲインよりも短期間に大きな利益を得られることが特徴です。地価の上昇が見込まれるエリアの不動産を購入しておけば、一気に大きなキャピタルゲインも狙えます。
事業的側面が強い
不動産投資は、他の投資手法に比べてとくに事業的側面が強い資産運用です。賃貸として物件を管理するには、物件の魅力を維持しながら、入居者の集客も必要になります。
一方で、あまりにもコストがかかりすぎると利益が減少してしまいます。物件や集客にかけるコストと収益のバランスを常に意識しなければならず、不動産投資には経営的な視点も必要です。
不動産投資が「やめとけ」といわれる3つの理由
不動産投資に限らず、資産運用には少なからずリスクがあります。「不動産投資はやめとけ」といわれるのは、「なんとなくリスクが高そう」とイメージで捉えているだけの人が多いためです。
不動産投資にはどのようなリスクがあるのかを具体的に紹介します。リスクを事前に理解しておくことは、不動産投資を成功させるために重要なポイントです。
空室リスクを考慮する必要がある
空室リスクとは、所有している物件に借り手がつかず、空室になってしまうことをいいます。不動産投資においては、もっとも対策が必要なリスクです。
いくら近隣家賃が高く利回りの良い物件を選んでも、入居者が見つからず空室になってしまっては意味がありません。また、満室になったとしてもすぐに退去されてしまうと、入居者募集のコストばかりがかかり、収益性が低下してしまいます。
そのほか、入居者の家賃滞納も不動産投資の大きなリスクです。家賃の不払いが生じた場合は、できるだけ早期に対応しましょう。
定期的なメンテナンスや想定外の修繕も発生する
不動産投資に必要な費用は、物件の購入費だけではありません。購入後も定期的なメンテナンスや修繕のための費用が必要です。
どのような建物でも、年月の経過にともなう劣化は避けられません。物件の魅力や入居者の満足度を維持するためにも、定期的なメンテナンスは不可欠です。
また、地震や火災、水害といった災害によって想定外の修繕が必要になる可能性もあります。物件の維持管理のために、余裕資金は確保しておきましょう。
ローンの返済が重荷になることもある
物件購入時に多額の費用が必要となる不動産投資では、ローンを組むことも珍しくありません。しかし、借入額や収益性によっては、返済が重荷になることも考えられます。
とくに、物件の修繕やオーナー個人の不意な出費などがあると、ローン返済が困難となってしまうかもしれません。
また、金利の変動によって、毎月の返済額が当初の予定よりも大きくなるケースもあるため注意が必要です。ローンの利用は少額の自己資金ではじめられるのがメリットですが、収入減や突然の出費にも耐えられるように、ゆとりのある返済計画を立てましょう。
不動産投資に向いていない人の特徴
リスクを理解したとしても、根本的に不動産投資に向いていない人もいます。「やめとけ」という言葉は不動産投資そのものではなく、実は不動産投資に向いていない人に向けられた言葉です。
不動産投資に向いていない人の特徴を理解すれば、リスクを大幅に減らせます。もし今の自分には不動産投資が向いていなくても、意識して改善することで、将来成功できる可能性があるでしょう。
収入が低い人
年収が400万円以下の場合、ローンの返済が大きな負担となるおそれがあるため、フルローンによる不動産投資はおすすめできません。
不動産投資をすると、予想外の出費がかかることがあります。入居者募集や想定外の修繕などが発生した際に、短期的にマイナス収支となるケースも少なくありません。最悪の場合、ローンの返済ができなくなってしまうこともあるため注意が必要です。
ただし、収入はあくまで目安であり、自己資金が多い場合や別の資産を保有している場合は検討の余地があります。
情報収集が苦手な人
不動産投資には、さまざまな知識と情報が必要です。不動産投資について深く学ぶ姿勢がないと、失敗するリスクが高くなってしまいます。
不動産投資を成功させるためには、不動産や税制面での知識が欠かせません。さらに、立地や周囲の空室状況といったマーケティング的な情報収集、物件価値の維持や集客などの経営的判断力も必要となります。情報収集が苦手な人や時間がない人には不動産投資は向いていないでしょう。
ただし、信頼できる不動産業者を見つければ、情報収集のハードルはグッと下がります。不動産業者の規模や実績、評判などを参考にしつつ信頼できる不動産業者を見極めてください。
長期的なスパンで投資できない人
不動産投資には、中長期的な視点が必要です。入居者募集や建物の修繕などで出費が重なる際は、一時的にマイナス収支になりやすいでしょう。短期間に地価が高騰してキャピタルゲインを得られる可能性もありますが、基本的には家賃収入によるインカムゲインがメインの長期的な投資となります。
仕組みを理解しておけば、長期的に安定した資産形成が可能な点が不動産投資のメリットなので、余裕をもった資金計画を立てましょう。
リスクを理解していれば不動産投資はおすすめできる
不動産投資で失敗する人は、リスクについてきちんと理解していない人です。しっかりと情報収集をおこなってリスク対策をしていれば、多くのメリットを享受できます。
不労収入や老後の資産形成、節税効果など、不動産投資で得られるメリットを詳しくご紹介します。また、自己資金が少ない場合や投資経験が浅い場合は、少額からはじめられる不動産投資方法もおすすめです。
まずは少額ではじめる
不動産投資の知識はあっても経験がない場合は、いきなり1棟丸ごと購入するのではなく、ワンルーム投資などミニマムな形ではじめる方法もあります。物件を1棟購入するのと比べてリターンは少なくなりますが、不動産投資を学びながら低リスクで投資することが可能です。
また、不動産投資をクラウドファンディングではじめる方法もあります。多くの不動産クラウドファンディングは、1万円程度の少額からでも投資可能です。インターネットを通じて不動産購入資金を募り、運用期間中の賃料収入や売却益を分配金として還元する仕組みです。
安定した不労収入が得られる
不動産投資のメリットとして、不労収入が得られる点が挙げられます。入居者がいる限り、毎月継続的に家賃収入が手元に入ってきます。
物件取得時にローンを組んでも、返済は家賃収入のなかからおこなうため負担になりません。また、ローンを完済すれば一気に収益性が上がります。
不動産投資をすると節税できることがある
不動産投資は節税効果が高いと言われています。減価償却費を経費として活用し、不動産所得を赤字にして本業の給与所得と合算することで、所得税の節税が可能です。
また、不動産投資は相続税対策にも効果が期待できます。不動産で相続をする場合は、時価よりも安い評価額で相続税を算定するため、現金で相続するよりも課税額が小さくなるのが大きなメリットです。
資産形成ができる
不動産投資で購入した物件は、長期的に安定した収益をうみだしてくれるため資産形成ができます。さらに、ローンを完済して自己資金を回収したあとであれば、たとえ購入金額より安く売却したとしても、そのまま大きな資産になる点も不動産投資のメリットです。
また、最初に投資した物件の収益を元手に物件を増やすこともできます。無理のない緻密な資金計画は必要ですが、徐々に資産を増やしていけるでしょう。複数物件を所有していれば、予期せぬ出費や空室が発生した場合のリスク分散が可能です。
【まとめ】リスクから検討していけば不動産投資は失敗しない
「不動産投資はやめとけ」という声をよく聞くのは、リスクを考えずに不動産投資をする人が多いためです。不動産投資に限らず、投資をする際はリスクを正確に把握して対応策を検討しておくことで、成功の確率がグンとあがります。
とくに不動産投資は、情報収集が重要となる投資手法です。信頼できる不動産業者探しも含めて、事前の調査を綿密におこないましょう。