マンション投資というと「相当な自己資金がなくてはできない」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。近年は、サラリーマンの副業としても人気を集めるほど、身近な資産運用商品となっています。
とは言え、マンション投資の仕組みやメリット・リスクを知らないという方もいるのではないでしょうか。本記事を最後まで読めば、マンション投資の概要を理解できます。少額からでも始められるマンション投資の基本的な考え方や、おすすめのマンションの種類・リスク対策などについて徹底的に解説していきます。
もくじ
マンション投資の仕組みについて
マンション投資と聞くと、多額の初期費用を必要とする「リスクの高い投資商品」というイメージが強いのではないでしょうか。しかしマンション投資は、株式投資や投資信託などの数ある資産運用商品に比べると、リスクとリターンのバランスが良い投資商品と言えます。
ここでは、「ミドルリスク・ミドルリターン」が狙えるマンション投資の仕組みについて解説していきます。
投資用マンションの特徴
マンションの用途には「投資用」と「居住用」の2種類があります。居住用は「自分が住むマンション」である一方、投資用マンションは自分が住むためではなく「人に貸して家賃収入を得るためのマンション」のことです。
居住用マンションであれば、自分の主観や好みで購入するかどうかを決められます。対して投資用マンションの場合は、自分の好みだけで決めてしまうと、失敗する可能性が高まるでしょう。入居者が付きやすいような立地条件や交通の利便性などを考慮し、安定した賃貸需要が確保できる物件であるのかを判断することが大切です。
インカムゲイン方式
マンション投資で収入を得る方法には「インカムゲイン方式」と「キャピタルゲイン方式」の2種類があります。インカムゲイン方式とは、資産を保有することで継続的な収入を得る方法のことです。
マンション投資におけるインカムゲインは「家賃収入」のことを指します。つまり月家賃10万円の区分マンションを所有していれば、年間120万円の家賃収入が得られるということです。
とは言え、家賃収入のすべてが自分の手元に入ってくるわけではありません。家賃収入の中から、マンションの管理費や不動産投資ローンの返済費用などの経費を差し引いた残りが、手取りの収益となります。特に最初のうちは不動産投資ローンの返済額に充当する割合が大きいでしょう。
しかし、約10年〜30年後にローンを完済した後は、年金のような定期的な収入源になることが期待できます。
キャピタルゲイン方式
キャピタルゲイン方式とは、所有している資産を売却し、購入価格と売却価格の差益を得る方法のことです。マンションを安く買い、高く売ることで「キャピタルゲイン(利益)」を出します。
かつてのバブル景気下の日本では不動産の価格上昇が激しかったため、キャピタルゲインを狙ったマンション投資が盛んでした。しかし現在の日本では、不動産価格の変動幅は緩やかで、大きなキャピタルゲインを得ることは難しい状況です。
より大きなキャピタルゲインを得るには、入念な市場調査はもちろんのこと、投資用物件の将来的な価格動向を見極める分析力と先見の明が必要になります。したがって、不動産投資初心者には、最初からキャピタルゲインを目的とした投資運用は難易度が高いでしょう。
現在ではキャピタルゲインをマンション投資の目的とするのではなく、インカムゲインを得ることに重点を置く運用が主流です。キャピタルゲインは、売却時の結果として得られる収益と考えましょう。
マンション投資の利回り計算
利回りとは、投資金額に対する収益の割合で、投資対象の収益性を示す重要な指標です。通常は年単位で計算します。不動産投資では、利用する収益の違いによって、「表面利回り」「実質利回り」など複数の利回りを使い分けているので、混同しないよう注意してください。
表面利回りの計算方法
表面利回りとは「物件価格に対する家賃収入額の割合(%)」のことで、「年間家賃収入÷物件価格×100」で計算します。例えば、年間100万円の家賃収入が得られるマンションを2,000万円で購入した場合、表面利回りは5%(100万円÷2,000万円×100)になります。
表面利回りの計算に用いる家賃収入は満室を想定したもので、物件の維持・保有にかかるコストも考慮していません。実際の収益力を示す数値とは言えませんが、簡単に計算できるため、広く使われています。
実質利回りの計算方法
実質利回りとは「物件価格に対する諸経費を差し引いた家賃収入額の割合(%)」のことで、「(年間家賃収入-諸経費)÷(物件価格)×100」で計算します。例えば、年間100万円の家賃収入が得られるマンションを2,000万円で購入し、年間24万円の諸経費がかかる場合、実質利回りは3.8%((100万円-24万円)÷2,000万円×100)となります。
諸経費には、固定資産税や管理費、保険料、修繕積立金などが含まれます。表面利回りより現実に即した数値であるため、手取収入の確認や物件を比較するときに使われます。また、空室率を加味した家賃収入を用いることもあります。
マンション投資を始めるまでの流れ
マンション投資は「ともかく良い物件を手に入れればどうにかなる」というものではありません。順番にステップを踏むことで、作業を効率的に進められ、失敗のリスクも低くできます。ここでは、マンション投資を始めるまでの一般的な流れを紹介します。
1.投資する目的を決める
最初のポイントは、不動産投資を始める目的を明確にすることです。「家賃収入により継続的に安定した収益を確保したい」「売却益でまとまった資金を得たい」「将来のために現物資産を残したい」など、さまざまな目的が考えられます。
目的によって、適した物件や資金計画は異なります。生活費を賃貸収入で確保したいのであれば、高利回りを期待できる物件がターゲットになり、キャッシュフローを増やす資金計画が必要です。現物資産を残すことが目的ならば、利回りよりも将来価値に重点を置いて物件を選び、手持ち資金の持ち出しを極力抑えるような資金計画が有効です。
あれもこれもと欲張ると、どっちつかずの物件を購入してしまったり、無理な資金計画を立てることになったりして、失敗する可能性が高いので注意しましょう。
2.資金計画を立てる
「生活費を賃貸収入で確保するには毎月〇〇万円くらいのキャッシュフローが必要。物件価格が□□万円で実質利回り△%の物件なら条件に適う」というように、目的が決まれば収支や物件の目安が具体的になります。物件購入に充てられる自己資金を計算し、それに基づいて資金計画を立てましょう。
ただし、毎月の返済額が過大になっているような資金計画は、現実的ではありません。段階的に物件を増やして中長期のスパンで目的を達成するなどの見直しをします。
3.物件を探す
ターゲットが決まったところで、具体的な物件探しを始めます。物件を探すには、インターネットで検索するか、不動産会社に問い合わせをします。特定の不動産会社しか扱っていない物件というのはほとんどないので、インターネットである程度、候補を絞り込んでから、希望するエリアの不動産会社に問い合わせるのが効率的です。
物件探しと併せて、候補物件があるエリアの賃貸市場についても調べます。投資用として利回りや賃料を記載している物件もありますが、そうでない物件については次に行う収支のシミュレーションのためにデータが必要だからです。
4.収支のシミュレーションをする
購入する物件を決めるため、収支のシミュレーションを行います。必要な情報は、自己資金、借入額、月額家賃などです。シミュレーションは、無料のソフト・アプリやインターネットのサイトを使って自分で行えますが、不動産会社に依頼することも可能です。
シミュレーションでは、家賃や空室率などを自由に設定できるので、さまざまなパターンを想定したうえで、できるだけリスクの低い物件を選択するようにしましょう。
5.不動産投資ローンの事前審査に申し込む
不動産投資では、ローンを組んで物件を購入するのが一般的です。このため、購入する物件が決まったら、不動産投資ローンの事前審査を申し込みます。審査に必要な書類は、身分証明書(免許証・健康保険証など)、収入証明書(源泉徴収票、確定申告書等)、購入希望物件に関する資料などです。詳しくは審査を受ける金融機関に確認してください。
6.重要事項説明を受けて契約をする
売買契約を締結する前に、必ず宅地建物取引士が重要事項説明を行います。重要事項説明の内容は、「物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」に分かれます。
例えば、売買後に売り主が知らなかった契約締結に影響するような欠陥が明らかになった場合に、売り主が負う責任の範囲などを定めた「契約不適合責任」などもここで説明されます。
記載している内容に納得したら、売買契約を締結します。
7.決済と物件の引き渡しをする
売買契約を結んだら、購入価格から手付金を引いた残金を支払います。物件の引き渡しは、残金決済の確認後に行われます。
引き渡し後は速やかに、所有権移転など必要な登記手続きをします。登記をしないと、その物件の所有者であることを第三者に対して法的に主張できません。また、登記には書類作成など専門的な知識が必要なため、司法書士に依頼するのが一般的です。
どれがおすすめ?マンション投資の種類
マンション投資にはいくつかの種類があります。どの種類のマンションを所有するかによって必要となる初期費用や得られる収入などの条件も異なってくるため、まずはマンション投資の種類を把握しておくことが大切です。
ここでは「新築区分マンション」「中古区分マンション」「新築一棟マンション」「中古一棟マンション」の4つについて、それぞれの違いや特徴を解説していきます。
新築区分マンション
「区分マンション」とは、マンション一棟のうちの「1室」を指します。区分マンション投資の場合、一棟マンションよりは取得に要する費用や、修繕・管理費などの経費の負担が少ないのが特徴です。
新築区分マンションは、清潔感があり最新の設備が整っています。入居者からも人気が高く、投資用マンションとしては安定した賃貸需要を期待できます。空き室リスクが抑えられるのは大きな魅力でしょう。
一方で、新築区分マンションの物件価格は、中古区分マンションに比べて割高です。新築の場合、宣伝費や広告費などの諸費用を含むため販売価格が高いだけでなく、購入後の物件価格の下落幅が大きい傾向があります。中古区分マンションに比べると利回りも低く場所も駅近というより少し離れたところに建つ傾向が多いため、事業計画をしっかり立てるなどの対策が必要です。
中古区分マンション
中古区分マンションは新築区分マンションよりも初期費用が安く、初心者でも始めやすいマンション投資のひとつです。しかし、取得した時点である程度築年数が経過していることが多いため、運営コストや修繕コストがかかることをあらかじめ想定しておく必要があります。
中古区分マンションの場合、新築マンションのように物件価格に販売活動費を上乗せしているケースはあまりありません。物件本来の資産価値に基づいた価格で取得できるため、不動産価格や家賃の下落幅が小さいのが特徴です。
また中古区分マンションでは、物件のこれまでの入居実績を確認できることから、家賃収入の金額や空室率などの収支をある程度シミュレーションできます。取得費用を抑えつつ、安定した運用が期待できるでしょう。
新築一棟マンション
一棟マンションとは、マンション一棟すべてを購入する投資方法です。一棟を丸ごと購入するため、得られる収入は大きくなります。しかし購入費用は非常に高く、新築であれば億単位の購入資金が必要になることも珍しくありません。
一棟マンション投資の場合、部屋数が多いことから空室率は区分投資に比べ低くなります。家賃収入がゼロになるリスクは少なく、手元に入る収入が多いのも魅力です。また、新築一棟マンションは耐用年数が長く、減価償却を長期間にわたって行えるため、節税効果も高いでしょう。
購入から10年間は多額の修繕費用が必要になる可能性も低く、多額の出費に収支を圧迫される心配もほとんどありません。その反面、新築一棟マンションにおいても新築区分マンションと同様に、不動産価格や家賃の下落リスクは高い傾向があります。
中古一棟マンション
中古一棟マンション投資の場合、新築一棟マンションに比べると初期費用を低く抑えながら、多くの入居者を集めることが可能です。中古一棟マンションを購入する投資家の中には、安く購入した中古マンションに大規模修繕を行い、新築顔負けの設備を備えて競争力を高めるという人もいます。
複数の所有者がいる区分所有マンションの場合、大規模修繕の可否を所有者たちの多数決で決めます。そのため、反対者が多ければ大幅な改修や修繕は難しいと言えます。一方、一棟所有の場合には、所有者であるオーナーの一存で決められるため、自由に大規模修繕を行えるのが魅力です。
とは言え、一棟マンション投資は新築・中古ともに多額の資金が必要になります。ある程度の投資実績や知識がないと難しく、経験の豊富な投資家向けのマンション投資と言えるでしょう。
マンション投資のメリット
マンション投資は、リスクとリターンのバランスが良い投資商品です。例えば、株式投資やFXは、ハイリスク・ハイリターンの投資商品と言われています。ローリスク・ローリターンの商品には、個人向け国債や定期積立が挙げられるでしょう。
対してマンション投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」と言われ、リスクとリターンの度合いとしては中程度に位置します。ここでは比較的リスクが低く、中長期にわたってリターンが見込めるマンション投資のメリットについて見ていきましょう。
少額から始められる
「投資用ローン」を利用してマンション投資を行えば、初期費用に多額の自己資金を費やすことなく物件を購入できます。投資用マンションの購入にあたり、取得にかかる費用を全額自己資金で賄うよりも、投資用ローンを利用したほうが「レバレッジ効果」を得やすいのもメリットのひとつです。
レバレッジとは「テコの原理」のことで、マンション投資におけるレバレッジ効果とは「少ない自己資金で高額な物件を購入し、投資効果を上げて収益性を高める」ことを指します。
ここでは、投資用ローンを活用したレバレッジ効果を、わかりやすく例を挙げて説明しましょう。以下Aでは、家賃6万円の区分所有マンションの1室を自己資金のみで購入します。Bでは投資用ローンを組み、同じ条件の区分所有マンションを3室購入すると仮定します。
A:自己資金 1,000万円 物件価格 1,000万円 年間家賃収入72万円
B:自己資金 1,000万円 物件価格 3,000万円(投資用ローン2,000万円借り入れ、金利3%) 年間家賃収入216万円
A:利回り7.2% 年間収益額=72万円
B:利回り7.2% 年間収益額=156万円(年間家賃収入216万円-投資用ローン年間利息額60万円)
(管理費や修繕費などの経費は考慮していません)
このように同じ自己資金額・利回りでも、投資用ローンを利用してレバレッジを効かせた収益は84万円も高くなります。
本業の収入の補填になる
不動産投資は、「長期的に安定した家賃収入が毎月入る」という点が大きなメリットです。そのうえ、業務の大半を管理運営会社に委託できるので、日常的な手間もあまりかかりません。
このため、「収入を増やしたいが、本業が忙しくて副業などをやる時間がない」という人などには、うってつけの収入源と言えるでしょう。
管理運営に手間がかからない
マンション投資では、入居者募集や建物の清掃業務などの物件管理業務を不動産管理会社に委託できます。所有者自身で行わなければならない業務はほとんどありません。物件の管理業務を不動産管理会社に委託する場合、報酬として「管理委託費用」を支払います。管理委託費用の相場は、「家賃収入の5%前後」です。
修繕費やメンテナンス費などの諸費用が別途発生した場合には、これとは別にその実費を不動産管理会社に支払います。マンション投資は株やFXなど日々の価格変動を注視する投資商品とは異なり、時間や手間がかからないため、会社員の副業にも向いています。
私的年金の代わりになる
マンション投資で得られる家賃収入は、老後の年金代わりになります。少子高齢化にともなう年金受給年齢の引き上げにより、世間の老後の生活に対する不安はさらに高まっている状況です。マンション投資により継続的な収入を得ることは、大きな魅力と言えるでしょう。
老後の生活資金を得るための資産運用と聞くと、難しい印象をもつ方も多くいます。しかしマンション投資の場合、優良な物件を購入し信頼できる管理会社に日々の業務を委託すれば、オーナー自身がやることはほとんどありません。「老後の生活が不安」「老後のことまで考える余裕がない」という方にこそ、検討してほしい投資方法といえるでしょう。
生命保険の代わりになる
投資用ローンに申し込む際に「団体信用生命保険」に加入すれば、万が一の場合に家族に無借金のマンションを残せます。投資用ローンは住宅ローンと同じく、団体信用生命保険への加入を義務付けているものがほとんどです。
団体信用生命保険とは、ローンの返済中に借入者に高度障害や死亡などの事態が生じた場合に、ローンの残額の支払いを免除する制度のことをいいます。借入者が万が一死亡してもマンションを残せるため、遺族はその後も継続した家賃収入を得られるでしょう。
通常の生命保険では毎月保険料を別途支払う必要がありますが、団体信用生命保険では保険料をローンの金利に含んでいるものが多いため、家賃収入を得つつ保障も受けられます。
節税対策になる
確定申告をすることで、所得税・住民税などの節税効果が期待できます。マンション投資では、物件の取得にかかった費用や投資用ローンの利息・固定資産税などを経費として計上できるため、課税所得を減らせるのがメリットです。
また、不動産所得が赤字になった場合、赤字分を会社の給与所得と合算できます。課税所得を算出する「損益通算」が認められており、節税効果を得られます。とはいえ、実際の収支が黒字であれば節税効果はメリットとなりますが、実際の収支も赤字である場合は単に資産を損失しているだけにすぎません。
あくまでも節税はマンション投資の複利として捉え、マンション投資で利益を得ることを最優先に運用することが大切です。
インフレに強い
インフレとは、物価が上がり貨幣価値が下がることです。したがって、現金の資産価値は目減りします。一方、不動産価格や家賃は物価に連動して上昇すると考えられているため、不動産投資物件はインフレに強い資産と言えるのです。
加えて、貨幣価値が下がるため、ローン債務も実質的に目減りします。これは、投資用ローンを組んでいる人にとっては、相対的に返済負担が軽くなることを意味します。
レバレッジ効果を得られる
マンション投資では、ローンを組むことによって、「小さい資金で大きなリターン」が期待できます。これを「レバレッジ効果」と言います。
例えば、購入費用2,000万円・年間手取収入120万円のマンションに投資するケースを考えてみます。この物件を現金で購入した場合、投資利回り(年間手取収入÷自己資金×100)は6%です。一方、自己資金500万円+ローンで購入した場合の投資利回りは24%になります。
レバレッジ効果の活用は、マンション投資の重要なポイントと言えるでしょう。
分散投資ができる
一棟建ての物件は、大きな収益を得やすいものの、施設の移転や災害など周辺環境の変化によって収益が一気に悪化する可能性もあります。
一方、区分マンションであれば、地域を分けて複数所有することができるため、こうしたリスクを軽減できます。地域を分けて複数のマンションに投資する際には、学生、単身者、ファミリーなど借り手の属性にバリエーションを持たせると、よりリスクを低減できる可能性が高いでしょう。
投資以外の用途としても利用できる
マンション投資は現物資産を購入するため、自分自身や家族のライフステージの変化などに応じて、居住用としても使えるメリットがあります。
例えば、将来的に副業や趣味のためのセカンドルームとして活用できるマンションを購入して、当面は賃貸することで家賃収入をローン返済に充てるといった使い方です。また、子どもの大学進学に合わせてマンションを購入し、卒業後は賃貸して家賃収入を受け取るということもできます。
マンション投資で失敗した5つの事例
マンション投資で失敗する理由は、いくつも考えられます。ここでは、「利回りや価格の安さに飛び付いた」「節税しか考えなかった」など、ありがちな失敗の事例を5つ紹介します。ぜひ参考にしてください。
利回りの高さに惹かれて投資した失敗事例
Aさんは、郊外の駅近くにある想定利回り10%の中古マンションを購入しました。「ちょっと郊外だけど、駅に近いので問題ないだろう」と考えたそうです。
ところが、最寄り駅は各駅停車しか止まらず、中心部まで早く行ける急行などには3駅先で乗り換える必要がありました。さらに、その急行が停車する駅と比べて終電が30分ほど早かったのです。
こうした事情から、会社勤めをする人にはまったく人気がなく、近くに大学などもないことから、入居者がなかなか見つからなかったため、家賃を大幅に値下げせざるを得ませんでした。
競売物件に投資した失敗事例
価格の安い物件を探していたBさんは、都心近くにある中古マンションを競売で手に入れました。競売物件は内覧ができないため、多少の不安はあったものの、立地がよく築年数もさほど古くないことから購入を決断しました。
購入後、部屋に入ってみると、故障している設備もあるなど状態の悪さは想像をはるかに超えるものでした。結局、リフォームにかかった費用を含めた総投資額は、近隣の似た条件のマンション相場を上回ってしまったということです。
節税目的で始めた失敗事例
不動産投資が節税になるという話を聞いたCさんは、早速ローンを組んで投資用マンションを購入しました。そもそも、マンション投資で節税するためには「本業の収入と損益通算して赤字になる」ことが条件です。つまり、マンション投資自体は赤字であることが前提になります。
Cさんの場合、当初は想定どおりの赤字でうまく損益通算ができていました。しかし、再開発の影響で周辺に新築の賃貸物件が増えたことから数か月間、空室になってしまったのです。このため想定以上の大幅な赤字となり、資金は持ち出しになってしまいました。
建物の管理を怠ってしまった失敗事例
所有するマンションが遠隔地にあるため、Dさんは購入時に1回確認した以外、物件を見に行くこともなく、業務はすべて管理会社に任せっきりにしていました。当初は順調だったものの、数年後に契約更新のタイミングで空室になると、次の入居者がしばらく見つからず、管理会社からは家賃引き下げを勧める連絡が届いたのです。
不審に思い現地に足を運んだDさんが目にしたのは、あまりにひどい物件の状態でした。外壁は汚れ放題で一部が剥がれ落ちているほか、ゴミ置き場の外にまでゴミが散乱している始末です。管理会社が何もしていないも同然なのは一目瞭然でした。Dさんは他の所有者と連絡を取って管理会社を訴える相談をしているとのことです。
周辺施設に依存してしまった失敗事例
Eさんが購入したマンションは、「近くに大型商業施設がある」ことが売り文句でした。事実、その大型商業施設はにぎわっており、入居者もすぐに決まり、滑り出しは順調だったのです。
しかし、リストラの一環で大型商業施設が閉鎖されると、入居者も引っ越してしまいました。大型商業施設には近かったものの、駅からはやや離れていたこともあって数か月間空室になってしまい、賃料を引き下げて何とか入居者を確保しました。マンション自体の資産価値も下がったため、「売るに売れない状況」だとEさんは話しています。
マンション投資を始めるために必要な準備
マンション投資は、不動産会社や管理会社など、プロに業務を委託することで、忙しい経営者やビジネスマンでも手軽に始められます。とは言え、何の準備もせずに始めるのはリスクが大きく過ぎます。
ここでは、マンション投資を順調にスタートさせ、失敗のリスクを抑えるために、事前にしておくべきことを説明します。
不動産投資の基礎を学ぶ
不動産投資で最終的な決断をするのはオーナーです。そのため、少なくとも不動産投資の基礎くらいは学んでおかないと、大事なときに判断を誤る可能性が高くなります。
インターネットを検索すれば、不動産投資に関する記事がいくらでも見つかります。いくつかの記事を読んで、疑問点やより深く知りたい点が出てきたら、書籍や公的機関の報告書などを利用するのが効率的です。セミナーや経験者の話を聞くのも有効ですが、ある程度の知識を身に付けてからのほうが深く理解でき、質問などもしやすいでしょう。
自己資金を用意する
不動産投資ではローンを利用するのが一般的です。ただし、購入資金を全額借り入れるフルローンの場合も含め、契約時に発生する諸費用は自己資金で支払うのが一般的です。
また、空室で家賃収入がないときのローンの返済や、設備の故障や災害などによる突発的な支出などについては、自己資金で賄わなければなりません。ある程度の自己資金を用意しておかないと、失敗のリスクは高くなると言えるでしょう。
安定した企業で収入を増やす
前の項目でも説明したように、不動産投資でも所有者が自己資金でローン返済をしなければならない可能性があります。このため、上場企業・大手企業や官公庁勤務で、安定した給与所得を得ていると、金融機関の審査で有利になります。
逆に、創業したてや業績不振の企業に勤めている場合は、金利や借入期間などローン条件が厳しくなる可能性があるので注意してください。
マンション投資のリスク対策
投資である以上、マンション投資にはさまざまなリスクがついて回ります。しかし、マンション投資のリスクは、事前に対策を行っていれば避けられるものがほとんどです。ここでは、マンション投資の代表的なリスクである「空き室リスク」「家賃滞納リスク」「家賃変動リスク」「自然災害リスク」への対策について解説していきます。
空き室リスクへの対策
マンション投資における最大のリスクファクターが空き室です。入居者がいなければ収入がゼロになるだけでなく、ローン返済にも影響が出ます。
空き室リスクを最小限に抑えるには、入居率の高い不動産管理会社を選ぶことがポイントです。同じマンションであっても、管理する不動産管理会社によって入居率が変わることも珍しくありません。不動産管理会社を選ぶ際は、入居率だけでなく管理している物件数も確認しましょう。担当者と実際に会ってみることも大切です。
そのほか、物件自体の集客力も重要です。物件を選ぶ際は、需要の高いエリアや交通の便のよい立地を重視します。郊外よりも都会のほうがよいですし、駅から遠い立地よりは駅近のほうが賃貸需要を望めます。
立地は設備とは違い購入後に取り換えることはできません。候補エリアの人口はもちろん、周辺施設や環境についてもしっかりリサーチして物件を選びましょう。
家賃滞納リスクへの対策
入居者が家賃を滞納すると、その間はマンションの所有者に収入が入ってきません。特に、1室所有の区分マンション投資の場合、家賃滞納は死活問題です。家賃滞納リスクに備えるためには、信頼できる不動産管理会社に入居審査・家賃回収を依頼するのがおすすめです。入居審査時に入居者の保証人として家賃保証会社を付けるのも有効でしょう。
家賃保証会社は入居者が家賃を滞納した場合に、入居者の代わりに所有者へ家賃の支払いを行います。近年は家賃滞納リスクの対策として、連帯保証人ではなく家賃保証会社の利用を義務付ける物件所有者が増えているのです。
家賃変動リスクへの対策
新築時は10万円の家賃で入居者が集まったとしても、築年数が経ったり近隣環境が大きく変化したりすると、今までと同じような家賃で入居者が集まらなくなることがあります。結果的に、家賃を減額しなければいけなくなり、収支が悪化することを「家賃変動リスク」といいます。
家賃変動リスクに備えるには、修繕費の積み立てを計画的に行うことが大切です。建物は月日が経つにつれて老朽化していきます。古くなるほど入居者の確保が難しくなる傾向があるため、定期的なメンテナンスが必要です。
また、物件が立地する周辺環境の変化によっても、家賃は変動します。商業施設や企業・学校などが撤退してそれまでの利便性が保たれなくなる、近くにより新しく高性能な物件が建つなど、安定した賃貸需要を確保できなくなれば家賃を下げざるを得ません。
周辺環境による家賃変動リスクを減らすにも、物件選びが重要です。周辺の環境を十分にリサーチしたうえで、投資する物件を選定しましょう。
自然災害リスクへの対策
自然災害リスクに備えるには、耐火・耐震基準を満たした建物を選ぶのが有効です。特に日本は地震大国であるため、地震対策は最優先事項といえます。自然災害から逃れることはできませんが、最大限の備えとして1981年6月1日以降に建築確認を受けた「新耐震基準」を満たしている物件を選びましょう。
新耐震基準とは「震度6強〜7程度の揺れでも倒壊しない」構造基準です。近年は大規模な地震が相次いでいるため、マンション選びの際には物件が「新耐震基準」と「旧耐震基準」のどちらを満たしているのかを確認するようにしましょう。
不動産価格下落リスクへの対策
不動産は他の投資商品に比べて価格安定性の高いことが特徴ですが、値下がりのリスクは当然あります。不動産価格が下落する理由としては、「周辺環境の変化」「経済環境の変化」「少子化による需要低下」などが考えられます。
いずれの場合でも、賃貸需要が高いエリアある好立地の物件であれば、価格下落のリスクを相対的に低く抑えることができます。
建物の老朽化リスクへの対策
マンションは価値の大部分が建物部分であるため、何もしなければ老朽化に伴い物件価格や家賃は値下がりします。このための対策は、定期的なメンテナンスや大規模修繕、場合によってリノベーションを実施し、資産価値の維持・向上を図ることです。
また、メンテナンスや大規模修繕での支出を見込んだ、余裕のある収支計画を立てておくことをおすすめします。
デフレリスクへの対策
デフレとは、物価が下がり、貨幣価値が上昇することです。デフレ時に不動産価格や家賃は、物価連動で下落すると考えられます。賃料が下落すると収入が減るため、ローンの返済に支障を来す可能性もあります。あらかじめ、収入減少を見越して毎月の返済額を設定しておくといいでしょう。
デフレ時でも不動産価格が下落しにくい、好立地の物件を選んでおくのもポイントです。
資金流動化リスクへの対策
不動産は高額なうえ、買い手によってニーズに違いがあるため、売却するのに時間がかかります。インカム型の不動産投資は長期保有が原則ですが、資産価値を維持する意味でも、物件を選ぶ際に売却しやすいかどうかを考慮しておくことは重要です。
複数の物件に分散投資するのもひとつの方法です。エリアやタイプが異なる複数の物件を所有していれば、買い手のニーズに対応できる幅が広がるだけでなく、個別の物件価格は安くなるため売却できる可能性が上がります。
金利上昇リスクへの対策
ローンには固定金利型と変動金利型の2つのパターンがあります。不動産投資ローンでは、当初の金利設定が低い変動金利型を選ぶのが一般的ですが、金利が上昇すると返済額が増えることに注意してください。
自己資金の割合を増やすことで借入金額を減らすと、借入期間が短くなり、安い金利のうちに完済できる可能性が高くなります。借入期間の圧縮は、繰り上げ返済をすることでも可能です。また、より金利の安い金融機関を探して、ローンの借り換えを行うことも考えられます。
倒産リスクへの対策
管理会社は管理、家賃徴収や物件の日常的な管理を代行する重要な存在です。「家賃の振り込みが遅れる」「担当者が頻繁に変わる」といったことは、管理会社の経営状況が悪くなっている兆候の可能性があります。管理会社が倒産すると、敷金や家賃が回収できないことが多いので、管理状況の確認、経営状況の調査などを行います。
経営状況が悪化していたら、早めに管理会社を変更するなどの対策を講じます。管理会社を変更したら、入居者への通知を忘れないようにしましょう。特に家賃の支払口座の変更は、滞納やトラブルにもつながるため、オーナーからの通知であることを明確な書面で行う必要があります。
マンション投資で成功するための対策
マンション投資では、長期的に安定した収益を確保し、できるだけ高値で売却すれば、最終的に大きなキャッシュフローを手にすることができます。そのためには、賃貸物件としての安定性と資産価値の維持が重要なポイントとなります。
利回りだけで判断しない
家賃収入は、利回りが高いほど多くなりますが、それが安定したものでなければあまり意味はありません。特に、新築や空室の中古物件の利回りは、想定に基づく計算なので実現性をよく精査する必要があります。
「物件の間取りやグレードが地域の賃貸需要に見合っているか」「家賃が周辺相場とかけ離れていないか」「安定した需要が見込めるか」などを、しっかりチェックしましょう。
条件の良い物件を選ぶ
周辺の施設や交通利便性などの外部環境は、賃貸需要を決定する大きな要素です。例えば、再開発により賃貸需要が拡大するケースがある一方で、他のエリアの再開発により需要が低下するケースもあります。将来的な変化を見据えて、慎重に立地を選びましょう。
また、状態が良くない物件は、リフォームなどに多額の費用がかかるうえ、工事のため空室期間も長くなります。さらに、維持管理コストが高くなる可能性もありますから、できるだけ状態が良い物件を選ぶことをおすすめします。
信頼できる管理会社に管理を委託する
経営者やビジネスマンにとってマンション投資は、物件購入後に発生する業務のほとんどを管理会社に委託できる点がメリットです。それだけに、徹底した管理を行ってくれる信頼できる管理会社に依頼することが大切です。管理の徹底は、資産価値の維持という点からも重要です。
どんなに信頼できる管理会社でも、担当者による質のバラつきなどはあり得ますから、定期的に物件を見に行くなど、管理状況を自分で確認することは必要です。
まとめ
マンション投資は初心者にも始めやすい投資です。しかし投資である以上、リスクを伴います。リスク対策の面でも信頼できる不動産会社・管理会社を探しましょう。特にマンション投資では、空室リスクがつきものです。空室リスクは、入居者付けに強く高い入居率を誇る不動産会社を利用することで回避できます。