不動産投資による資産形成を検討していて、不動産投資のやり方が知りたいという方もいるのではないでしょうか。
不動産投資では不動産投資用物件の購入前に、目標を設定することが重要です。目標達成のための不動産投資を考え、物件購入・管理・売却までをトータルに把握することで、成功に導くやり方の検討ができます。
不動産投資を始めるのなら、目標設定から実際の運用までのやり方を知っておきましょう。そこでこの記事では、不動産投資の具体的な流れや必要な準備についてご紹介します。
不動産投資に必要な準備は?
不動産投資を始めるにあたっては、まず投資の考え方について勉強することが必要です。融資を受けて投資を行うという考え方を理解し、物件選びの前に投資の目標を設定しましょう。目標達成のための戦略を立案することも必要な準備です。
投資の考え方について勉強する
これから不動産投資を始めようとする初心者の方は、まず投資の考え方を勉強することが必要です。不動産投資ではマンションやアパートという実物資産を購入し、不動産投資用物件のオーナーとして賃貸経営を続けていきます。
不動産投資用物件を購入する場合には、数百万円や数千万円単位の高額な投資を行いますが、多くの投資家は金融機関で不動産投資ローンを組むことが一般的です。
融資を受けるということは借金をするというイメージが強いですが、不動産投資のためのローンは一般的な借金とは考え方が異なります。融資によって安定した収益を生む実物資産を手に入れれば、将来的なキャッシュフローなどで多くのメリットを享受することが可能です。
投資の目的・目標額の設定をする
あらゆる投資方法に共通していえることですが、不動産投資は資産を増やすためのものです。不動産投資によって何のために資産を増やすのか、いつまでにどのくらいの利益を得たいのかを明確にしましょう。
不動産投資では、家賃収入(インカムゲイン)と物件の売却益(キャピタルゲイン)から利益を得ます。毎月安定した家賃収入が得られることは不動産投資の大きなメリットですが、不動産投資ローンを完済するタイミングで不動産投資用物件の収益性は大きく変わることに着目しましょう。
たとえば、ライフステージの変化に合わせて、10年後や20年後に数百万円の不労所得を得るという目標が考えられます。購入する不動産投資用物件が区分マンション(ワンルームマンション)なのか1棟マンションなのかで収益性は変わるため、投資を始める前に目標を立てることが必要です。
投資の戦略を考える
不動産投資の目標を立てたら、それを実現するための戦略を立てることが必要です。アーリーリタイアやマイホームの購入、あるいは老後の生活資金のためなど、目標に合った戦略を考えましょう。
前述の通り、不動産投資用物件の購入にあたっては不動産投資ローンを組むことが一般的です。これは不動産投資用物件そのものを担保とするローンであり、物件の収益性を加味して高額な融資が受けられます。金融機関によって融資の基準は異なるため、信頼できる不動産会社と相談し、有利な条件でローンを組める金融機関の情報を得ましょう。
不動産投資ローンの返済に加えて管理費や修繕積立金などの費用も踏まえ、長期的な観点でキャッシュフローを計算して、現実的な戦略を立てることが重要です。
不動産投資用の物件を購入するまでの流れ
不動産投資を始めるにあたっては、現実的な計画を立てた上で、目標達成に適した不動産投資用物件を購入することが重要です。ここでは適切な物件の選定から引き渡しまでの流れを見ていきましょう。引き渡しのタイミングでは売買契約と融資の実行、さらに残金精算も必要です。
1.不動産投資用物件を探す
不動産投資用物件を購入するにあたっては、まずは物件探しをする必要があります。インターネット上でも物件情報は検索できますが、断片的な情報からだけではリスクの正確な評価ができません。
実績の豊富な不動産会社をパートナーとして、目標達成に適した物件の紹介を受けるのが良いでしょう。自分の融資可能額を超えた物件は多くの自己資金が必要になるため、金融機関の融資条件も踏まえて、不動産会社から信頼できる情報を得ながら進めるのがスマートです。
2.物件の契約をする
購入する不動産投資用物件を決めたら、物件の契約内容について確認した上で本契約に進みます。契約の流れはさまざまですが、基本的にはまず売主や仲介業者に対して「買付証明書」を提出することで、購入の意思を伝えるのが一般的です。
物件の概要や契約内容については宅地建物取引士から「重要事項説明」を受け、不動産売買契約書を確認して本契約を結びます。
3.不動産投資ローンの申し込みをする
購入する不動産投資用物件の売主や仲介業者に対し買付証明書を提出したら、金融機関で不動産投資ローンの事前審査を受けます。
金融機関に対しては収入や身分などが証明できる書類を提出し、売主に対しては契約の成立を前提として「手付金」を支払うことが一般的です。
事前審査に通り物件の本契約を結んだら、不動産投資ローンの本審査を受けます。本審査に通れば、金融機関とは「金銭消費貸借契約」に加え、購入する物件を担保とすることを証明する「抵当権設定契約」の締結が必要です。
4.残金決済を行う
不動産投資用物件の引き渡しに際して、売主との本契約と融資の実行とともに必要なのが「残金精算」です。売主に対しては手付金を支払っているため、物件の引き渡しの時点で残金の決済を行います。
売主が残金の決済を確認したら、いよいよ物件の引き渡しです。物件を引き渡すと売主から買主へ所有権が移転されるため、「所有権移転登記」の手続きも行います。これは金銭消費貸借契約や抵当権設定契約と合わせて、司法書士に手続きを依頼するのが一般的です。
5.保険に加入する
不動産投資用物件の購入にあたっては、火災保険や地震保険もあわせて契約することが一般的です。運用する不動産投資用物件が火災などで損傷を受けた場合、その修繕はオーナーの責任となるため、天災によるリスクを低減するためには必須といえます。
地域によっては風水害のリスクが高い場合もあるため、補償内容をしっかりと確認しましょう。なお、区分マンションを購入する場合でも、自分が所有する部分に関しては保険に加入しておくことが重要です。
投資用物件を決定するまでの手順
不動産投資用物件を購入するにあたっては、まずインターネット上に掲載された情報から大まかに比較検討をして、希望条件とのすり合わせを行いましょう。現実にどのような物件があるのか把握したら、不動産会社から物件の紹介を受けます。実際に物件を確認して、契約前にシミュレーションを行うことも重要です。
1.Web上に掲載されている物件を探す
不動産投資用物件を探す際には、まずインターネット上に掲載されている情報をもとに大まかに比較検討をしましょう。希望するエリアや沿線など、条件を絞って検索すると家賃や物件価格の相場も把握できます。
注意点としては、希望に合う物件が見つかっても入居者がいる場合、室内の現状までは把握できないことです。内見ができる中古マンションは空室リスクを抱えていますが、内見ができないなら購入時点から家賃収入を得られるという見方もできます。
2.不動産会社に問い合わせをする
不動産投資用物件のエリアや物件価格など、希望する物件の条件が定まったら不動産会社に問い合わせをしましょう。インターネット上で確認できる内容は部分的なので、物件を取り扱う不動産会社から詳細な情報を取得します。
問い合わせをすれば希望条件に合う物件の紹介も受けられるため、不動産投資の目標も同時に伝えると良いでしょう。条件に合えば非公開物件の紹介が受けられる場合もあります。
3.実際に物件をチェックする
紹介された不動産投資用物件が魅力的であっても即決はせず、現地に足を運んで物件を確認することが重要です。不動産会社から伝えられる情報が豊富でも、物件の立地やエリアの利便性、雰囲気、魅力は実際に見てみなければ分からないこともあります。
入居者がいれば内見はできませんが、外観や周辺環境をチェックするだけでも多くの情報が得られるでしょう。入居者の気持ちになって物件の魅力や課題を把握することが重要です。入居率が高い物件ほど収益性は高いため、満室を維持しやすい物件かどうかをしっかりと確認しましょう。
4.シミュレーションをして契約するかを決める
エリアの魅力も加味して不動産投資用物件を選んだら、契約の前にキャッシュフローのシミュレーションを行いましょう。
物件の運用中には家賃収入を得られますが、管理費や修繕積立金などの支出も発生します。不動産投資ローンの返済も必要であるため、完済までに赤字経営にならないかどうかをシミュレーションすることは重要です。一時的に空室が発生するリスクも加味して、目標が達成できる物件であることを納得した上で契約しましょう。
物件管理におけるポイントは?
不動産投資用物件は運用中にさまざまな管理が必要になりますが、管理業務は管理会社に委託するのが基本です。安定して不労所得を得るために、信頼できる管理会社と契約しましょう。家賃収入だけでなく売却益も加味し、出口戦略を立てることも重要です。
管理は管理会社に委託するのが基本
不動産投資を行う投資家は不動産投資用物件のオーナーとなりますが、専業の大家とは異なり物件の管理をする必要はありません。多くの場合、特に副業で不動産投資をする場合には、物件の管理は管理会社に委託するのが基本です。
物件の管理には建物管理と入居者管理の2種類があり、前者では共用部分の修繕や清掃、後者では入居者募集や家賃回収などを行います。
不動産投資は不労所得を得られる投資方法といわれますが、これを実現するには管理会社と連携することが必要です。また、管理をしっかりと行っていない物件は入居者にとっての魅力がなくなっていきます。
物件の管理を管理会社に委託することは、安定した家賃収入を得るためにも必要といえるでしょう。
物件の売却タイミングを考えておく
不動産投資では、安定した家賃収入を得ながら不動産投資用物件という実物資産も所有できます。物件を売却する際には売却益が得られるため、不動産投資の利益が確定するのは売却のタイミングです。
経済的損失を最小限に抑えて投資から撤退するための戦略を「出口戦略」と呼びます。不動産投資においても出口戦略は重要であるため、売却のタイミングも想定しておきましょう。
たとえば、比較的短期の不動産投資で考えておきたいのは、物件の売却益にかかる税率の変動です。物件の所有期間が1月1日時点で5年以内なら、売却益にかかる所得税は30%、住民税は9%が課税されます。5年を超過している場合は所得税15%、住民税5%となり、長期保有のほうが税額を抑えられる仕組みです。
不動産投資の確定申告のやり方と準備
不動産投資における収入や支出は「不動産所得」に区分されます。会社員としての給与所得と同じく所得税や住民税の課税対象ですが、詳細な収支の内訳は確定申告で提出することが必要です。不動産投資における確定申告のやり方や準備について見ていきましょう。
確定申告に必要な書類
不動産投資を行う場合の確定申告では、確定申告書Bや青色申告決算書(不動産所得用)のほかに、以下のようなさまざまな書類が必要です。
- 源泉徴収票
- 不動産売買契約書
- 売渡精算書(物件購入時にかかった費用の明細書)
- 譲渡対価証明書(土地と建物の案分割合を示す証明書)
- 家賃送金明細書(家賃回収を管理会社に委託した場合に必要)
- 賃貸借契約書
- 不動産投資ローンの返済予定表
- 固定資産税納税通知書
- 保険証券(火災保険・地震保険などを契約している場合のみ必要)
- 修繕の見積書・請求書・領収書(修繕を行った場合のみ必要)
これらの書類をもとに収入や支出を正確に計上し、確定申告書を作成します。取得までに時間がかかる書類もあるため、早めの準備を心掛けましょう。
確定申告を行う手順
不動産投資をしている人が確定申告をする際は、収支内訳書の作成が必要です。地代家賃や減価償却費、修繕費用や税理士報酬など、不動産収入を得るためにかかった経費をすべて計上します。運用するマンションの戸数や、物件ごとの家賃収入や敷金なども明記することが必要です。
確定申告書Bには第一表と第二表があり、前者には給与所得や不動産所得の内訳、後者には源泉徴収票の内容を転載します。
必要な書類をそろえたら、確定申告は基本的に2月15日から3月15日の間に行うことが必要です。税務署に直接または郵送で提出できるほか、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用してインターネット上でも確定申告できます。
まとめ
不動産投資では目標の設定や出口戦略の立案など、物件選びの前にしておくべき準備があります。目標達成のための不動産投資用物件を選び、管理を徹底して不動産投資を成功に導くには、不動産会社のサポートも不可欠です。