近年、年金受給開始年齢の引きあげや社会情勢の変化から、将来の不安を覚える人は少なくありません。老後資金を確保するために、給与以外の収入による資産形成に注目が集まっています。
なかでも人気なのが、融資を受けることで自己資金をあまり取り崩さずに始められる不動産投資です。なぜ不動産投資が資産形成として注目されているのか、理由や成功のポイントについて解説します。
もくじ
1.不動産投資は5つの点から資産形成に向いている
不動産投資は、老後資金の確保など将来の資産形成に向いています。資産を増やす方法として、株式や投資信託などもあるなか、なぜ不動産投資が資産形成に向いているのでしょうか。
安定した収入面や本業を続けながらでも投資ができることなど、不動産投資が資産形成に向いている5つの理由をご紹介します。
手間がかからないので本業に影響しない
不動産投資は手間と時間があまりかからない投資方法です。株式投資やFXなどはチャートを常に確認し、的確なタイミングで売買をおこなわなければならないので手が離せません。
不動産投資では多くの場合、物件の運用を管理会社に委託します。入居者募集や家賃回収、建物の管理といった業務をオーナーがおこなう必要がないため、手間がかかりません。本業があっても多くの時間を取られることなく運用できます。
価格変動しにくく安定している
資産形成において重要なポイントは、収益の安定性です。不動産価格や家賃収入は、株価のように日々価格が変動することはありません。長期的に見れば地価や物件の劣化によって物件そのもの価格が下落するおそれはありますが、家賃収入は安定しています。
株式投資のように短期間で大きな収益をあげるのは難しいものの、長期スパンで安定した収入を得られる不動産投資は、資産形成に向いている投資方法の1つです。
少ない資金で資産形成ができる
不動産物件を取得する際は、大きな費用がかかります。しかし、一般的な不動産投資では、購入する物件を担保にローンを組むことが可能です。さらに、フルローンを組めるケースでは、自己資金はまったく必要ありません。
ただし、ローンの返済を家賃収入でまかなえるよう、しっかりとした資金計画を立てることが重要です。家賃の下落や空室リスク、災害など不測の事態が発生しても無理なく運営できる返済金額にしましょう。
副業規定があっても問題ない
不動産投資は副収入にはなりますが、基本的に副業にはあたりません。もし、不動産を所有して家賃収入を得ることが副業となってしまうと、相続で物件を取得した人に不都合が生まれてしまいます。実際に多くのサラリーマンが不動産投資で資産形成をしており、副業規定のある会社や公務員の方でも安心して始められる投資方法です。
ただし、所有物件の数が増え過ぎると事業扱いとなり、副業規定に引っかかる可能性があります。ボーダーラインは建物5棟以上、所有部屋数10室以上です。また、公務員の場合は年間の家賃収入が500万円以下でなければいけません。ボーダーラインを超えると、確定申告の際に不動産の収入は副収入ではなく、事業収入扱いとなってしまいます。不安な場合は、最寄りの税務署や勤めている会社に相談しましょう。
生命保険の代わりになる
不動産物件のオーナーが万が一死亡した場合、残された家族はローンの残金を支払うことなく物件を相続できます。ローンを組む際に加入する団体信用生命保険によって、債務者が亡くなった場合や、高度障害を負って返済が難しくなった場合、ローンの残金が保険金で相殺されるためです。
相続した家族は、物件を売却して一時的にまとまったお金を手にすることもできますし、将来の資産としてそのまま保有し続けることもできます。残された家族にとって生命保険の代わりにもなる点も、不動産投資のメリットです。
2.不動産投資での資産形成に成功するためのポイント
長期間の不動産投資で着実に資産形成をおこなうためには、投資前にいくつかのポイントを押さえておきましょう。不動産投資はもともと安定した収益をあげやすい投資方法ですが、工夫次第でさらに成功する確率はあがります。
重要なポイントは、信頼のできる不動産業者を見つけることです。プロである不動産業者に的確なアドバイスをもらうことで、よりリスクの少ない投資計画を立てられます。す。
不動産投資で収益があがる仕組み
不動産投資で得られる収益には、インカムゲインとキャピタルゲインの2種類があります。
インカムゲインとは、投資対象から継続的に得る収入です。不動産投資の場合、物件を貸し出すことで得る家賃収入がインカムゲインにあたります。
一方、キャピタルゲインとは、投資対象を購入価格よりも高い価格で売却した場合に得られる差益のことです。不動産投資では、都市開発などで取得した物件の価格が上昇すれば、売却によって短期間で大きな収益を得られます。
安定したインカムゲインが得られる物件を選ぶ
資産形成を目的に不動産投資を始めるのであれば、長期間にわたって安定した家賃収入を得られるインカムゲインを重視して物件を選ぶべきです。キャピタルゲインを狙うと、短期的に大きな収益をあげる可能性はありますが、予測を立てにくいため、将来の資産形成という点ではおすすめできません。
物件を選ぶ際には、立地条件が良く生活利便性の整った物件を選びましょう。たとえば、最寄り駅からの距離や、スーパーやコンビニなど周辺環境の良いことが重要です。賃貸需要さえあれば、経済状況や経年劣化によって物件価値が下がっても、安定した収入が見込めます。
維持費も含めてしっかりとした投資計画を立てる
不動産投資をおこなう際は、綿密な投資計画を立てることが重要です。不動産投資は毎月安定した家賃収入を得られる一方、維持費も必要になります。管理費や修繕費、管理委託料といった維持費がどのくらいかかるのか、不動産投資を始める前に収支を把握しておきましょう。
また、投資計画を立てる際には、不動産投資の運営で起こりうる事態を予測しておかなければなりません。建物の経年劣化への対応や、災害で被害を受けた際の修繕、周囲環境の変化による家賃の下落といった想定外のトラブルにより、収益が減少するおそれもあります。
信頼できる不動産業者を見つける
不動産投資成功の鍵を握るのは、信頼できる不動産業者に出会えるかどうかです。本やインターネットなどで基本的な知識を身につけても、プロの経験や知識にはかないません。不動産業者と信頼関係を築いて、マイナス面も含めてアドバイスをもらいながら投資計画を立てることが重要です。
不動産業者を選ぶ際は、まず営業年数や実績数、従業員数や売上などの事業規模を確認しましょう。業績だけがすべてではありませんが、顧客の信頼を得ていなければ事業を続けられないため一定の判断軸になります。
3.不動産投資で資産形成をする際の注意点
資産形成目的での不動産投資は長期スパンとなるため、将来起こるすべての出来事を予測することはできません。金利や地価などコントロールの難しいリスクも存在します。しかし、リスクを事前に想定して、ある程度計画に組み込んでおくことが重要なポイントです。
不動産投資で資産形成をする際の注意点をいくつかご紹介します。
ローン金利があがる可能性もある
物件購入時に変動金利のローンを組んでいる場合、ローン金利が上昇する可能性を想定しておくことも重要です。一般的に、変動金利のほうが固定金利よりも金利は低いため、不動産投資でローンを組む場合は、変動金利を選ぶ人も少なくありません。しかし、変動金利は経済状況によって金利が変動するため、将来的に想定外の金利になるおそれもあります。金利が上昇しても無理なく返済できる資金計画を立てておきましょう。
確定申告が必要になる
不動産投資によって20万円以上の所得がある場合は、会社員であっても確定申告をする必要があります。正しく確定申告をしなかった場合は、追徴課税を課せられるおそれもあるので注意が必要です。
確定申告をおこなうと、とくに会社員など給与所得がある場合は、節税につながる可能性があります。不動産投資を赤字決算で運用している場合は、給与所得と通算することで個人として支払う所得税を軽減できます。
売却時に損をすることもある
資産形成を目的に不動産投資をする場合、収益の柱は家賃収入となるため、あまり売却益を見込んだ計画は立てません。しかし、状況の変化などで売却する際は、売却損が発生するリスクを考慮しておくことも重要です。
売却損のリスクを少しでも低減するために、物件購入時には立地や将来性などさまざまな観点からしっかりと検討しておきましょう。地価の上下動は、経済状況が大きく影響するため予測することは困難ですが、立地条件が良ければ影響を最小限に抑えられます。
4.【まとめ】現物資産の不動産投資は資産形成に向いている
不動産投資による資産形成をおすすめする理由は、目先の収益性だけではありません。価値が比較的安定している点や、現物資産を手に入れられる点も大きなメリットです。現物資産があれば、将来的に多少収益性が下落しても継続して収入を得られます。また、急にまとまった資金が必要になった際は、売却することも可能です。
さらに、不動産投資は手間や時間がかからないため、会社員や公務員など本業のある方でも無理なく資産形成に取り組めます。安定した収入のある現役時代にローンを組むことで、自己資金を抑えて始められる不動産投資を、老後の資産形成の方法としてぜひ検討してみてくださいね。