建築協定についてわかりやすく解説! 生活環境を守るために住民が決めた重要な取り決め

建築協定についてわかりやすく解説! 生活環境を守るために住民が決めた重要な取り決め|株式会社イー・トラスト

建築協定とは、町並みや生活環境を守るために、地域住民が自ら決めた重要な取り決めです。建築協定には、対象区域の建築物に関する細かいルールが定められています。また、新しく土地の権利者になった場合にも適応されるため、あらかじめ確認しておかないと知らないうちに協定違反になってしまうかもしれません。

今回の記事では、新しく建築物を作る際に確認すべき建築協定について、具体的な内容も含めてわかりやすく解説します。

建築協定は建築基準法で定められている

建築協定についてわかりやすく解説! 生活環境を守るために住民が決めた重要な取り決め

土地の権利者や地域住民が定める建築協定ですが、好き勝手にルールづくりをできるわけではありません。協定の成立には行政の認可が必要で、建築基準法によって要件が定められています。

建築基準法に定められた要件について、詳しくみていきましょう。

建築協定は行政によって認可される

建築協定は、地域住民や地権者の合意だけでは効力を発揮しません。建築基準法第71条にのっとって、特定行政庁による認可が必要です。

また、建築協定に盛り込むべき内容も、建築基準法によって定義されています。具体的には「建築協定区域」「建築物に関する基準」「協定の有効期間」「協定違反があった場合の措置」の4項目です。地域住民や地権者全員の合意によって作成された建築協定を提出すると、市町村による公告や意見聴取といった手続きが進められます。

運営委員会の存在が不可欠

定めた建築協定を円滑に運営するため、一般的に地域住民を中心に構成される運営委員会が設置されます。新たな建築物や改築などの内容が、ルールに沿っているかを審査するのが運営委員会の主な役割の1つです。

違反があった場合、運営委員会は違反工事の停止や是正の措置を請求できます。違反が改善されなければ、裁判所への提訴などの措置が必要です。

住民の合意があれば変更も可能

建築協定は、状況や環境の変化に合わせて変更できます。ただし、変更する際も地域住民、地権者全員の合意が必要です。また、新しく建築協定を定める際と同様、特定行政庁に申請して認可を求めることになります。

建築協定を廃止する場合も、特定行政庁への申請と許可が必要です。建築協定を定めた地域住民の過半数の賛成があれば、申請のうえ許可されれば廃止できます。

建築協定の具体的な内容

建築協定の具体的な内容

建築協定には、建物の階数や色といった実に細かい点まで定めることが可能です。一方で、建築協定の対象地域には決まりがあり、どこでも自由に定められるわけではありません。

指定できる内容や対象地域、有効期限など、建築協定の具体的な内容について詳しくご紹介します。

建築物は色など細かい点まで指定

建築協定を定める大きな目的は、地域住民の住環境を守ることです。「敷地境界線から外壁の後退距離の最低限度」「建築物の耐火性」「建築物の用途」といった建築物の基本的なルールを定めることで、一部の人が不利益にならないようにしています。

さらに「建築物の階数」や「建築物の色彩や意匠」といった細かい点まで、建築協定で指定することが可能です。例えば、歴史ある町並みのある地域では、コンビニエンスストアの看板の色まで地域協定に合わせて変更されているケースもあります。

対象区域は条例で定められている

建築協定の対象となる区域は、自治体の条例で定められています。建築協定を作ろうと思っても、対象区域でなければ特定行政庁から認可は得られません。

建築協定を定める際には、地域の自治体で対象区域を確認しましょう。建物の色に至るまで厳しく規定できる建築協定だけに、適用できる地域については自治体がきちんと管理しています。

有効期限は地域によって異なる

建築協定の有効期限は、一般的に10年です。ただし、地域によっては、有効期限が異なる場合もあります。

また、建築協定の内容に、有効期限の更新について定めておくことも大切です。自動更新の旨が定められていない場合、有効期限で建築協定が失効してしまいます。期間終了までに意義が申し立てられなかった場合、自動的に同期間を延長すると規定するのが一般的です。

撤去を求められることもある協定違反

建築協定は建築基準法で守られた厳格なルールのため、協定違反の建築物は撤去を求められるおそれがあります。刑事罰がないことから軽く考える方も少なくありませんが、建築物の撤去請求が裁判所に認められた事例もあるため注意が必要です。

また、地権者が変わった場合でも、既に定められている建築協定が適用されます。新しい地権者は現在の建築協定に合意したわけではありませんが、改正には全員の合意が必要です。

不動産を購入する際には、地域協定の有無や内容を事前にしっかりと確認しておきましょう。

実際の運営方法

実際の運営方法

建築協定を実際に運営するのは、ほとんどの場合地域住民です。運営委員会を設置して、新しい建築物の審査や協定違反がないかを管理監督します。

建築協定の具体的な運営内容について詳しくみていきましょう。

地域住民が運営にあたる

一般的には、地域住民が建築協定の運営にあたります。ルールを定めた対象区域内の住民であれば、円滑に運営できるためです。

建築協定は「建築協定運営委員会」を設置して活動します。

活動内容は多岐にわたる

建築協定運営委員会のもっとも重要な活動は、建築計画の審査や協定違反の建築の確認などです。しかし、建築協定を円滑に運営するために、実際の活動内容はさらに多岐にわたります。

例えば、違反建物への具体的な対応や、新しい住民への対応も含めた協定の啓蒙活動などです。また、建築協定の更新や改正を行う際の内容づくり、会議体の手配なども運営委員会で行います。

一人で建築協定を作ることも可能

基本的には地域住民や地権者の総意によって定められる建築協定ですが、一定の条件を満たせば一人で作ることも可能です。住宅分譲事業者などが整備した地域で、分譲前に建築協定を作る際は事業者のみで特定行政庁の認可を受けることになります。

ただし、一人協定の場合は、土地の所有者が増えなければ効力を発揮しません。認可から3年以内に、対象区域の土地所有者が2名以上になることが発効の条件です。

【まとめ】新しく建築物を作る際は建築協定をしっかりと確認する

【まとめ】新しく建築物を作る際は建築協定をしっかりと確認する

建築協定とは、地域住民が対象となる区域の町並みや生活環境を守るために定められた重要なルールです。地域住民が編成した「建築協定運営委員会」が運営し、物件の審査や協定違反への対応などを行っています。

建築協定に違反しても、刑事罰はありません。しかし、強制執行などが認められた事例もある、法的拘束力をもつルールです。地権者が変わった場合でも適用されるため、不動産を購入する際は、建築協定の有無や内容をしっかりと確認しておきましょう。
 
 

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