共有不動産の売却はトラブルになる? 取引をスムーズに進めるための方法を解説

共有不動産の売却はトラブルになる? 取引をスムーズに進めるための方法を解説|株式会社イー・トラスト

遺産相続で不動産を共有することになったものの、売却となると「トラブルなくスムーズに進むか不安」という方も多いのではないでしょうか。

共有不動産の売却では、共有名義人全員の同意が必要です。一般的な不動産売却とは異なる点が多いため、思わぬトラブルに発展するケースも少なくありません。

この記事では、共有不動産の売却で起こりがちなトラブル事例と対策、スムーズに取引を進めるためのポイントをわかりやすく解説します。

権利を複数で所有する共有不動産

権利を複数で所有する共有不動産

共有不動産は、複数の共有者がそれぞれの持分に応じた所有権を持つため、売却する際には注意が必要です。共有者全員の同意を得られない限り、売却手続きを進めることはできません。

正確には共有名義不動産

共有不動産とは、正式名称を「共有名義不動産」といい、一つの不動産を二人以上で共同所有することです。
たとえば、遺産相続で兄弟で家を相続するケースや、親子で二世帯住宅を購入するケースが考えられます。この場合、それぞれの所有者は、不動産全体に対して「共有持分」と呼ばれる所有割合を持っています。
共有不動産の管理行為については、共有持分の過半数で決めるのが基本です。また、不動産を賃貸に出して家賃収入が発生した場合、その収入はそれぞれの持分に応じて分配されます。
このように、共有不動産は複数の所有者が関わるため、管理や費用負担について事前にしっかりと話し合い、ルールを決めておくことが大切です。

売却には全員の同意が必要

共有不動産の売却には、共有名義人全員の同意が必須です。これは民法第251条に基づく重要な原則であり、共有物の処分に関する基本的なルールとなっています。最高裁判所も昭和42年2月23日の判決で、この原則を明確に支持しました。

つまり、共有者のなかで1人でも反対する人がいれば、その不動産は売却できません。この規定は共有者の権利を保護し、共有財産の重要な変更に関して全員の利害が考慮されることを保証するものです。

そのため、共有不動産の売却を検討する際には、事前に共有者全員で十分な協議を行い、売却条件について合意形成を図ることが不可欠です。

共有不動産には3つの売却方法がある

共有不動産には3つの売却方法がある

共有不動産を売却するには、全員の同意を得て売却する方法、持分のみを売却する方法、名義を1人に変更してから売却する方法があります。それぞれのメリット・デメリットを把握し、状況に応じて最適な方法を選びましょう。

名義人全員の同意を得る

不動産の名義人全員が売却に合意し、協力して売却活動を行う方法です。共有者全員が売却に賛成している場合、この方法がもっとも円滑かつ高値で売却できます。なぜなら、不動産を一つの商品として市場に出すことができ、買い手を見つけやすくなるからです。また、共有者間で意見の相違やトラブルが発生するリスクも低減できます。

ただし、名義人全員の同意を得るためには、それぞれの事情や希望を考慮し、十分な話し合いと合意形成のプロセスが必要です。

持分のみを売却する

自分の持分のみを第三者に売却する方法もあります。ほかの共有者の同意を得る必要がなく、自由に売却を進められる点がメリットです。

しかし、一般の個人や不動産業者が、共有持分のみの不動産を購入することはほとんどありません。ほかの共有者と不動産を共有すると、自由に処分したり利用したりできなくなるためです。たとえば、建物を建て替えたくても、ほかの名義人の同意を得られなければ実現できません。

このように共有持分のみの購入には、不動産運用において多くの制約が伴うため、買い手が限られるほか、売却価格も相場より低くなるおそれがあります。

自分の持分を売却したい場合は、ほかの共有者に買い取ってもらう方法も効果的です。特に、その不動産を実際に利用している共有者であれば持分が増えるメリットがあるため、売却がスムーズに進むでしょう。

名義を1人に変更する

複数の共有者のうちの1人が、ほかの共有者全員の持分を買い取ることで、単独名義の不動産として売却できます。不動産の所有権を完全に取得するため、ほかの共有者の同意を得ることなく、自由に処分できる点がメリットです。

ただし、誰が最終的な所有者となるかを、名義人全員で議論しなければなりません。話し合いが長引くと、売却までに時間を要するおそれがあります。

共有不動産で起こりがちなトラブル

共有不動産で起こりがちなトラブル

複数人が相続する共有不動産では、権利者の意見の相違からさまざまな問題が発生します。権利の行使が制限されたり、売却時の合意形成が難航したり、一部の共有者による独断の売却がなされたりと、深刻なトラブルに発展するケースが少なくありません。

共有者全員の権利が活かされていない

共有不動産において、名義人全員の権利が十分に活かされていないケースが多く見られます。例えば、共有者の1人のみが不動産に居住し、ほかの共有者が利用できていない状況が代表的です。

また、夫婦で購入した共有不動産に、離婚となったあと、一方のみが居住を続けるケースも少なくありません。こうした状況では、居住していない共有者の権利が実質的に制限されてしまいます。

さらに、共有者間で意見が対立し、不動産の利用方法や管理方法について合意形成ができないことで、一部の共有者の意向のみが反映される事態も発生します。共有不動産の価値を最大限に活用できないと、共有者全員にとって不利益が生じかねます。

共有者の合意が取れなくて売却できない

不動産の共有者間で頻発するトラブルの一つが、売却に関する意見の対立です。民法の規定では、不動産の売却には共有者全員の同意が必要とされていますが、実際には合意形成が困難なケースが多く見られます。

相続によって取得した不動産を複数の相続人で共有する場合、経済的な理由から売却を望む相続人と、思い入れから売却に反対する相続人の間で対立が生じやすくなります。また、共有者のなかに行方不明者や連絡が取れない人がいる場合、その人の同意を得ることができず、売却手続きを進められない事態が起こるかもしれません。

さらに、相続が何代にもわたって発生し、共有者が多数になったケースでは、全員の意思確認すら困難となる可能性があるでしょう。こうした状況では、不動産の有効活用が妨げられ、管理不全に陥るリスクが高まってしまいます。

買取業者に1人が売却してトラブルになる

共有不動産を巡るトラブルで特に厄介なのが、共有者の1人が自分の持分を買取業者に売却してしまうケースです。ほかの共有者の同意を得ずに売却が行われるため、後々大きなトラブルに発展するおそれがあります。

共有不動産は複数の共有者が所有権を持つため、仮に買取業者が介入し、共有者の1人から持分を買い取ったとしても、ほかの共有者の権利はそのまま残ります。 結果として、ほかの共有者が売却の無効を主張したり、共有物分割請求訴訟を起こしたりするケースも少なくありません。

また、買取業者が売却に同意しない共有者に対して執拗な営業活動を行い、トラブルをさらに悪化させるケースも見られます。

不動産の共有でトラブルを避けるための方法

不動産の共有でトラブルを避けるための方法

不動産の共有は相続や購入で発生しますが、共有者間で意見が分かれると大きなトラブルに発展するリスクがあります。そこで、遺産分割時の対応や専門家への相談など、事前に対策を講じることが重要です。

遺産分割時に共有しない

不動産を遺産として相続する際、所有権を複数人で共有すると、トラブルが発生しやすくなります。売却や改築といった重要な決断をする際に、全員の同意が必要となり、意見が合致しなければ大きな問題に発展しかねません。

また、共有者の誰かが亡くなった場合、その相続人が新たに共有者となるため、関係がより複雑化し、管理も困難となるでしょう。

トラブルを未然に防ぐためには、遺産分割協議の段階で、不動産の分割方法や活用方法について時間をかけて話し合うことが大切です。共有という一時的な解決策ではなく、将来を見据えた選択を心がけましょう。

早期に専門家に相談する

トラブルを回避するには、早い段階での専門家への相談が重要です。不動産の共有者間で意見の相違や利害関係が生じた際、感情的な対立に発展する前に、弁護士や不動産の専門家に相談することで、法的な観点からの適切な解決策を見出せます。

特に、相続による共有の場合、権利関係が複雑になりやすいため、専門家のアドバイスは非常に有効です。また、共有物の管理や使用方法、将来的な売却などについて、専門家の助言を得ながら共有者間で明確なルールを設定することで、トラブルを回避できます。

さらに、共有持分の分割や譲渡などの法的手続きを検討する際も、専門家のサポートがあれば円滑な解決につながります。

相続した土地の税金については、以下の記事を参照してください。

【まとめ】共有不動産の売却はていねいに合意形成を図る

【まとめ】共有不動産の売却はていねいに合意形成を図る

共有不動産を売却するには、主に「全員の同意を得て売却する」「持分のみを売却する」「名義を1人に変更して売却する」という3つの方法があります。

共有不動産では、権利者間の意見の相違からトラブルが発生しやすく、売却時の合意形成が難航するケースも少なくありません。トラブルを避けるためには、遺産分割時に共有を避けることや、早期に専門家へ相談することが重要です。売却を進める際は、共有者間で話し合い、慎重に合意形成を図りましょう。

イー・トラストでは、不動産売却の査定・買取りをおこなっていますので、共有不動産の売却を考えている方はお気軽にご相談ください。

また、中古マンション経営、投資・収益物件のご案内・投資のコンサルティング等、不動産取引に関して幅広くご案内をしています。仲介だけではなく、マンション管理や賃貸管理、建物修繕等をグループ会社で一括して行い、多様なニーズにお応えすることが可能です。
 
 

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