繰り上げ返済は利息を減らし、トータルコストを抑えるという意味で非常に有効な方法です。しかし、繰り上げた分月々の返済額を減らすのか? はたまた期間を短縮するかで悩まれる方も多いよう。それぞれに一長一短がありますが、どちらが賢い選択なのでしょうか。
生活を考えると返済額軽減が助かる?
ローンの支払いは、将来を考えると早く済むに越したことはありません。ですが、この支払い、決して軽くはないのが現実です。将来的に上がると考えていた給与がなかなか伸び悩んだり、転職等によって収入が減ったりとなると、月々の支払いが重くのしかかることも十分に考えられます。その他、子供が産まれて教育費などの出費を予定している方もいるかもしれません。こうした事情から、繰り上げ返済によって月々の返済額を軽減する方も少なくありません。
総合的におとくなのは返済期間短縮型?
次に、返済期間短縮型の繰り上げ返済についても考えてみましょう。結論から言うと、返済額軽減と比較した場合、返済期間短縮型は利息等の関係で総支払額が安くなります。以下、それぞれの条件を比較してみましょう。
借入条件
借入額 | 38,000,000円 |
返済方式 | 元利均等 |
返済頻度 | 毎月 |
返済金利 | 2%(固定金利) |
返済期限 | 30年 |
繰り上げ返済 | 8年後、1,500,000円 |
返済額軽減型
繰り上げ返済なしの場合
総支払額 | 38,000,000円 |
利息合計 | 12,563,750円 |
月々支払い | 140,455円 |
繰り上げ返済ありの場合
総支払額 | 50,208,412円 |
利息合計 | 12,208,412円 |
月々支払い | 133,431円 |
上記の結果を見ていると、総支払額には355,338円の差がありました。1,500,000円を繰り上げすることで、ここまで大きな違いがあるのです。なお、月々の支払いも7,000円程度減らせています。
返済期間短縮型
繰り上げ返済なしの場合
総支払額 | 50,563,750円 |
利息合計 | 12,563,750円 |
月々支払い | 140,455円 |
繰り上げ返済ありの場合
総支払額 | 49,765,258円 |
利息合計 | 11,765,258円 |
月々支払い | 140,455円 |
返済期間短縮型ではなんと、総支払額との差が798,492円にもなりました。なんと、返済額軽減型の2倍以上も利息合計が減っている計算になります。
返済額軽減型(A) | 返済期間短縮型(B) | 差額(A-B) | |
---|---|---|---|
総支払額 | 50,208,412円 | 49,765,258円 | +798,492円 |
利息合計 | 12,208,412円 | 11,765,258円 | +798,492円 |
月々支払い | 133,431円 | 140,455円 | -7,024円 |
総返済期間 | 30年 | 28年8ヵ月 | 1年4ヵ月 |
まとめ
このように、どちらが“おとく”なのかだけを比べれば、圧倒的に返済額軽減型が優位です。さらに、返済期間が減るという身軽さもあるため、おすすめと言えます。ちなみに、繰り下げ返済を行う場合には、金融機関から手数料を請求されるケースも少なくありません。実際に利用する場合は、事前に確認を行うよう気をつけましょう。