「価格が安い」「高利回り」だからという理由で、地方の物件を購入してマンション経営を始める方が少なくありません。しかし、実際には思うように収益を上げられず、ローンだけが残るといった最悪のケースも少なくなく、理想と現実の間には大きなギャップがあるのが実情です。
このコラムでは、都心部の不動産投資事情と比較しながら、地方でマンション経営を行うリスクなどについて明らかにしていきます。
都心回帰傾向の今、地方に投資するのはリスキー
現在、国内の総世帯数は約4,700万世帯。これに対して住宅戸数は約7,400万戸と、現段階でも明らかに供給過剰の様相を呈しています。にもかかわらず賃貸用アパートやマンションの着工数は年々増加傾向に。
当然のことですが、人口減少の傾向が大きい地方でこの競争率では入居者の確保さえ困難でしょう。ましてや人も企業も都心回帰の傾向がある今ではなおさら。大型商業施設や企業・工場の撤退、大学のキャンパス移転など、何かひとつでもきっかけがあれば、すぐにでも空室が発生し、その翌月から収益がゼロになるリスクもあります。
捕らぬ狸の皮算用で取り返しのつかないことに
「地方の物件は安価で高利回り、自己資金が少なくてもフルローンで購入でき、しかも回収率抜群」──、これは不動産会社が自社物件を広告宣伝する際の常套句です。確かに「安価で高利回り」「フルローンで購入できる」というところまではその通りかもしれませんが、「回収率抜群」という文言には要注意。すべては、入居者があって初めて可能になる“想定上”のことにすぎず、いざ蓋を開けてみたら“捕らぬ狸の皮算用”で終わってしまったという事例が数え切れないほどあるからです。
それが、中古物件による投資なら痛手も小さくて済むかもしれませんが、全額ローンで購入、長期返済となると取り返しがつきません。かといって、アパート、マンション、戸建てとどれをとっても新築ばかりが立ち並ぶ地方で、中古物件で勝負しても苦戦を強いられるだけでしょう。
都心部では地方と逆のことが日々起きている
もともと生活環境や利便性に劣る地方ではマンション需要は低く、入居者の確保も困難になりがち。しかし、都心なら市場の流動性も高く、つねに活況を呈しているので、優良中古物件に投資すれば、入居希望者が途絶えることがなく安定した家賃収入が確保できます。また地方と異なり、都心部のマンションは築10年程度であれば内外装、設備ともに新築とそん色ないので人気も高く、継続的な稼働、収益が期待できます。
しかも、国内の人口減少が顕著になるなかで、都心部には地方からの転入が続いており、バブル時期などに全国へと散らばっていた企業や生産拠点、大学のキャンパスも次々と戻ってきています。まさに、地方とは逆のことが日々起きているのが都心部。どちらがマンション経営に有利かは言うまでもないでしょう。
まとめ
「不動産ビジネスは立地がすべて」──とは、業界でよく言われること。前述のように、今や人口減少や住宅の供給過剰が進む地方は、不動産投資にはもはや鬼門でしかありません。やはり、マンション経営で成果を上げるなら第一級の都心部がおすすめです。