2015年の法改正で、相続税が実質増税となったことから、以前から相続税対策に有効とされてきた不動産投資への注目度がここへ来てさらに高まっています。確かに、資産を継承するなら現金や有価証券より、土地や建物で相続した方が有利なのは明らかです。でも、投資である以上、そこにはリスクもあります。
そこで、このコラムでは節税を目的とした不動産投資に潜むリスクについて解説。またリスクを回避し、安全に資産を運用、継承するためにはどんなことが重要かについてお話しします。
不動産投資が相続税対策に強い理由とは?
不動産投資は相続税対策として非常に有効です。なぜなら、相続する財産が1億円の現金なら丸々1億円に課税されるところ、土地や建物など不動産は購入価格より大幅に低い路線価などの評価額に対して課税されるからです。
しかも、その不動産がマンションで、かつ賃貸物件なら、建物については「借家権割合」が適用され評価額が約30%、土地は「貸家建付地」として評価額が約20%まで圧縮できるので一層有利になります。同じ価値なら、現金で相続するよりマンションなど不動産で相続した方が得策となれば、多くの人が不動産投資に注目するのは当然と言えるでしょう。
節税だけが目的の不動産投資はリスク大
マンション経営などの不動産投資は本来、長期的な運用により収益を上げ、資産を増やすことが目的です。そして投資だけに、そこにはつねにリスクが伴うもの。不動産投資で成果を上げる人は、このリスクと上手に向き合い、回避するために細心の注意と努力を怠りません。
ところが節税だけを目的に始めた人は、収益の追求は二の次にしがちです。しかも、不動産投資に付き物のリスクに対しても無関心で脆弱です。だから、節税用に購入した物件の評価額が何らかの理由で半分まで下落し、相続対策どころではなくなってから初めて事の重大さに気づいたりします。
また、賃貸物件の収益を下げる空室リスクやローンを組んで投資物件を購入した場合の金利上昇リスクにも無頓着。とくに投資用ローンの多くは変動金利タイプなので、いったん金利が上昇すると返済額も増えます。借入の金額が金額だけに、たとえ1%の金利が上がっただけでも総返済額に大きな差が生じるので、こうなると、せっかくの相続税対策が意味を持たなくなります。
やはり、節税対策だけを目的とした方にとって、不動産投資はリスクが大き過ぎると言わざるを得ません。
不動産投資には頼れるパートナーが必要
マンション経営など不動産投資を始めるには相応の心構えが大切です。参入するからには、節税をどうするかということだけでなく、投資を通じてどれだけの収益を上げていきたいのか自分なりにロードマップをつくり、どんなリスクが想定されるのかをしっかり把握しておきたいところ。
もちろん、初心者のうちは難しいこともあるでしょう。そんなときに頼りになるのが不動産投資コンサルタント。マンション経営が初めての方でも、節税が目的という方でも、安心して資産運用に取り組んでいただけるよう、適切なアドバイスを提供してくれるような、不動産会社と出会えるかがキーといっても過言ではありません。
まとめ
不動産投資が相続税対策になるというのは真実ですが、投資という限りはやはり収益の追求を目指すべきです。それには相応のリスクも伴いますが、そこを上手に回避して、安全に資産運用できるような、サポートの手厚いパートナーを見つけることも、成功の重要な要素です。
相続税対策のための不動産投資ではなく、不動産投資をした結果、相続性の対策もできる、というイメージで、投資という意識をもって臨むことが重要です。