うまく運営すれば、大きな利益や安定した収入を得られる不動産投資。しかし、不動産投資には少なからずリスクもあります。できるだけリスクを軽減しながら、安定したリターンを確保するためには、生じるリスクはどの程度なのか、どう対処すべきなのかを正確に把握しておくことが重要です。
この記事では、不動産投資で発生するおそれのある8つのリスクについて、収入に関係するものと支出に関係するものの2種類にわけて詳しく解説します。これから不動産投資を始める方は、しっかりとリスク対策をしてくださいね。
もくじ
不動産投資で生じるリスク
不動産投資のリスクは大きく2種類。漠然ととらえていても、いざという時に適切な対処ができません。それぞれのリスクについてどのような対策や対処が必要なのかを、具体的に考えておくことが重要です。
こちらでは、不動産投資で生じるリスクの基礎知識をご紹介します。あいまいに理解している部分をなくして、リスク回避や軽減につなげましょう。
不動産投資のリスクは2種類
不動産投資のリスクは、大きく「収入の減少」と「支出の増加」の2種類に分けられます。どちらも不動産投資の収益性に大きな影響をおよぼすリスクです。
収入が減少する代表的なリスクは、空室や家賃滞納、物件価値の下落などです。一方、支出が増加するリスクとしては、定期的なメンテナンスや災害で物件が損傷した際に発生する修繕費用や、ローン金利の上昇があげられます。
リスクの種類ごとに対策を考えておく
リスクを少しでも軽減するためには、種類ごとに対策を考えておくことが重要です。「なんとなくリスクが怖いから」と資金だけを用意していても、適切な対処はできません。
「空室に対してどう対処するか」「修繕費用はどの程度必要か」「災害に対する備えはできているか」といった形で、それぞれのリスクに有効な対策・対処方法を検討しておきましょう。リスクを正確に把握し、事前に対策を講じることで、損害を最小限に抑えられるなど、リスクの軽減や回避につながります。
不動産収入にかかわる4つのリスク
不動産投資で起こりうるリスクのうち、収入にかかわる4つのリスクについて説明します。投資物件からの収入が下がると、収益性の悪化に直結するので注意が必要です。
投資計画を立てる際には、ここでご紹介するリスクを必ず盛り込んでおきましょう。不動産投資を成功させるためには、リスクも含めてできるだけ計画通りに運用することが重要です。
空室リスク
マンションやアパートの賃貸経営で、もっとも大きなリスクといえるのが空室です。空室になると家賃収入がなくなり、資金計画に影響が出てしまいます。とくに、物件購入のためにローンを組んでいる場合は、返済が困難となるおそれがあるため注意が必要です。
ローンの返済がどうしてもできない場合は、物件を売却する手段もありますが、購入価格より高額で売れるとは限りません。そのため、空室リスクに備えて、十分な資金を準備しておくことが大切です。また、どの程度の期間であれば空室でも支障なく運営できるかも、事前にシミュレーションしておきましょう。
家賃滞納リスク
空室同様、家賃収入に打撃を与えるリスクが家賃滞納です。入居者に悪意がなくても、入金忘れなどで滞納が発生することもあるので、ローンの返済資金には余裕をもっておきましょう。また、家賃を滞納したまま強制退去になってしまうと、滞納家賃だけではなく、居室の修繕費用もほとんど回収できないケースが多いです。さらに、督促や訴訟に発展すれば、弁護士や裁判所に費用を支払わなければならず、大きな損害を被るおそれがあります。
家賃滞納リスクを減らすために、日頃から入居者と良好な関係をつくっておきましょう。入居者の状況を把握しておくことで、トラブルを未然に防げる可能性があります。
万が一、家賃滞納が発生した際は、速やかな対応が重要です。滞納期間が長くなるほど、入居者も支払いが難しくなってしまいます。こまめなフォローができない場合は、不動産物件の管理を専門業者に委託することも検討しましょう。
家賃下落リスク
不動産物件の賃料は、物件の劣化具合や周辺環境の変化によって変わってくるため、家賃下落リスクは避けられません。投資期間中にどの程度家賃が下落するのかを事前にしっかりと検討して、投資計画に盛り込んでおくことが重要です。
また、ローンを組む際は、家賃の下落まで見込んで返済計画を立てるようにしましょう。
不動産価格下落リスク
家賃の下落とも関連するリスクですが、所有している不動産物件の価格そのものも下落します。物件価格が下がる要因は、おもに建物の経年劣化です。また、周辺環境の変化によって地価が下落した場合も、物件全体の価格が下がってしまいます。
所有物件の価値が下がると、家賃が下がるだけではなく、売却時の損失にもつながってしまうので注意が必要です。何年計画でどのような投資プランにするのかを、不動産価格の下落も含めて事前によく検討しておきましょう。
支出増加につながる4つのリスク
支出が増加すると、資金繰りによっては物件を手放すことになりかねません。
不動産投資で支出をともなう4つのリスクについて詳しく解説します。
修繕リスク
不動産物件は経年劣化します。物件価値や家賃をできるだけ低下させないためにも、定期的に修繕をおこない、常に物件を健全な状態に保っておかなければなりません。また、定期的な修繕以外にも、台風などの被害に対する修繕も必要です。
とくに中古で物件を購入する際は修繕費用を慎重に見積もることが重要です。販売価格だけではなく、どの程度の修繕費用が必要になるかも含めて検討しましょう。
金利上昇リスク
ローン金利は、政策金利や経済情勢によって変動します。ローンを組む際は、将来的に金利が上昇する可能性を見込んで返済計画を立てることが重要です。
また、できる限り返済期間を短くすることも、金利上昇リスクの回避につながります。返済期間が短ければ、金利上昇自体が起こらない可能性が高く、仮に金利が変動しても影響は限定的です。自己資金とローン金額のバランスを考えて、無理のない資金計画を立てましょう。
地震・火災リスク
地震や火災が起きた際は、通常の修繕ではまかなえない規模の被害を受けることもあります。しかも、地震や火災はいつ発生するか予測がつかないため、事前に備えることもできません。火災については、入居者や管理者がどれだけ気をつけていても、近隣の火災による被害を受けるおそれがあるので注意が必要です。
万が一に備えて修繕費用に余裕をもった計画を立てることも重要ですが、地震と火災のリスク対策としては保険加入がもっとも有効です。被害が発生しなければ保険費用は無駄になってしまいますが、せっかく取得した資産の価値を維持するためにも、保険には必ず加入しましょう。
倒産リスク
売主の不動産会社や、管理を委託している会社が倒産してしまうことも、不動産投資のリスクです。不動産投資を始める際は、実績やサポート体制などをしっかりとチェックして、信頼のできる不動産会社や管理会社を選びましょう。
とくに不動産の管理を委託している会社が倒産すると、入居者が支払った家賃や敷金を回収できなくなるおそれがあります。不動産管理会社の動向には日頃から注意して、万が一危ない兆候が見られる場合は、代わりの管理会社をすぐに探し始める行動力が大切です。
不動産投資のリスク対策5選
不動産投資で成功するためには、事前のリスク対策が欠かせません。不動産投資では、経済情勢や周辺状況の変化といった、避けられないリスクも発生します。十分な対策を講じることで、トラブルが起こっても、影響を最小限に抑えられるでしょう。
不動産投資で重要なリスク対策を5つご紹介します。リスク対策で鍵となるのは、信頼のできる不動産会社をみつけることです。自分1人では不安なことも、プロのアドバイスを受ければ、解決策がきっと見つかりますよ。
入念な立地調査
立地条件が悪化すると、空室リスクが高まるほか、家賃の下落にもつながってしまいます。
そのため、将来性も含めた入念な立地調査が欠かせません。
周辺地域の経済状況や、駅や病院といった公共施設の動向など、さまざまな角度から調査、分析をおこないましょう。自分だけで集められる情報には限界があるので、周辺の不動産事業者に相談するのもひとつの手です。
入居状況の把握
1棟投資の場合は周辺の入居状況を、区分(ワンルーム)投資の場合は購入する物件の入居状況を確認しておきましょう。立地調査とも関連しますが、入退去も含めた正確な入居状況の把握は個人では難しいので、信頼のできる不動産会社を見つけて、細かい情報を収集する必要があります。
建物を細部まで確認
購入する物件の状態は、資産価値や家賃収入、修繕費用に大きな影響を与えます。付帯設備や日頃のメンテナンス状況、劣化している箇所など、建物全体を念入りに確認しましょう。
とくに中古物件で1棟投資をする場合は、修繕やリフォームにかかる費用の見積りが非常に重要です。物件価格だけではなく、修繕費用も含めて投資計画を立てておけば、購入後に思わぬ出費が発生しても焦ることがありません。
綿密な収益シミュレーション
不動産投資では、綿密な投資計画を立てることが大切です。家賃の下落や想定外の出費も見込んで、できるだけ正確な収益シミュレーションをしておけば、リスク発生時の影響を最小限に抑えられます。
また、投資計画を立てる際は、多くの経験をもつプロの意見が欠かせません。ほかのリスク対策とも共通しますが、信頼のできる不動産業者を必ずみつけて、助言を受けながら計画を立てましょう。
余裕をもった自己資金を用意
不動産投資の収益計画は長期間にわたるため、不測の事態が発生することもあります。万が一の事態にも冷静に対応できるよう、自己資金には余裕をもっておくことが大切です。
とくにローンを組む際は、収入減少や支出増加のリスクをふまえて、無理のない返済計画を立てましょう。
不動産投資のリスクは事前に対策を立てて回避する
不動産投資で生じるリスクは、事前の十分な対策によって、軽減や回避することが可能です。投資を始める前に、さまざまな角度からリスク分析をおこなっておきましょう。
しかし、個人では十分な調査ができないことが多く、経験不足から誤った判断をしてしまう危険性があります。そのため、信頼のおける不動産事業者をみつけて、適切なアドバイスを受けましょう。
さらに、物件の販売と建物管理・賃貸管理を一貫しておこなっている不動産会社が、パートナーとしておすすめです。物件の販売と管理、両方に責任を持つ不動産会社であれば、将来性も含めた責任感のあるアドバイスやきめ細かい管理に期待できます。
リスク対策を万全にして、ぜひ不動産投資を成功させてくださいね。