不動産経営は代表的な資産運用の手段です。現物資産を得られるので、景気に左右されにくい安定した資産を形成できます。
しかし、十分な知識がないと、不安で不動産経営にはなかなか踏み出せません。そこで今回は、不動産経営の仕組みからメリット、リスクまで詳しく解説します。これから不動産経営を始めてみたい方は、ぜひ参考にしてください。
もくじ
不動産経営とは？
不動産経営は、購入した物件を運用して利益を得ます。“不動産投資”ともいわれますが、物件を維持管理して“顧客（入居者）”から家賃収入として収益を得るため、経営的側面の強い投資方法です。
ここでは不動産経営の基本的な仕組みと、代表的な方法をご紹介します。
不動産経営が儲かる仕組み
不動産経営で収益を得る方法は、大きくわけて2つあります。インカムゲインとキャピタルゲインです。
インカムゲインとは、保有している財産を保持したままで得られる収益です。不動産経営では、おもに物件を第三者に貸し出すことで得られる家賃収入を指します。また、共益費や礼金、更新料もインカムゲインの一種です。
一方キャピタルゲインは、保有している資産を売却することで得られる収益です。不動産経営では、取得した物件を購入時より高く売却できた場合にキャピタルゲインを得られます。
不動産経営は4種類
不動産経営は大きく、1棟マンション、アパート、区分（ワンルーム）、戸建ての4種類にわかれます。
1棟マンションやアパート経営は、物件を1棟丸ごと買い上げる方法です。複数の部屋から家賃収入を得られるため、大きな収益が期待できます。
区分（ワンルーム）投資による不動産経営は、1室のみ購入して運用する方法です。初期費用を抑えられ、管理も部屋のみとなるので手間がかかりません。
戸建て住宅を貸し出して家賃収入を得る方法もあります。戸建住宅は入居者の出入りが少ない傾向があるので、比較的収入が安定している点がメリットです。
不動産経営のメリット
不動産経営は、とくに会社員や自営業などで本業のある方から、第2の収入源として注目されています。不動産経営が注目されている理由は、おもに資産性と収益性が高いことです。
不動産経営のメリットについて詳しくご紹介します。
不動産という収入の安定した資産が手に入る
不動産経営をすると、収入の安定した資産が手に入ります。不動産は景気変動に強い実物資産です。株や為替のように、資産としての価値が毎日上下動することはありません。
たとえばインフレが起こると、通貨の価値が下がり、現金や預貯金の価値も目減りしてしまいます。しかし、実物資産の場合はインフレになると価格が上昇するので、不動産経営で保有している資産価値は下がりません。
安定した副収入が得られる
不動産経営では、家賃収入によって長期間安定した収入を得られます。家賃収入は自分が働かなくても入ってくる、いわゆる不労所得です。ローンを完済すれば、さらに収入は増加します。
会社員や自営業の方は、不動産経営によって本業とは別の安定した収入源を作ることが可能です。副収入があれば、会社の倒産やリストラなど万が一の事態に備えられます。
節税対策になる
副業としての不動産経営は節税対策にもなります。節税効果が期待できるのは、所得税と住民税です。
建物取得時の費用を減価償却費として経費計上して不動産所得を赤字にし、本業の給与所得と損益を合算することで、所得税と住民税を軽減できます。
また、不動産経営は相続税の節税にも効果的です。不動産に対する相続税は、実際に売買される「時価」よりも安い「評価額」で算定されます。つまり、不動産の資産価値と同額の現金を相続する場合と比較して、課税額を抑えることが可能です。
不動産経営のリスク
不動産経営には多くのメリットがある反面、リスクもともないます。どれだけ慎重に運用していても、避けられないリスクもあります。不動産経営を成功させるためには、リスクを理解し、影響をできるだけ抑えられるよう、事前に対策を講じておくことが重要です。
不動産経営で考えられるおもなリスクをご紹介します。
空室によって収入が減少する
空室は不動産経営における最大のリスクです。空室が出てしまうと、家賃収入が途絶えてしまいます。家賃収入が得られなくなれば、単純に収入が減少するだけではなく、ローンを組んでいる場合は返済計画に影響が出るおそれがあるので注意が必要です。
また、家賃滞納が発生しても、空室同様に家賃収入を得られなくなります。場合によっては、退去後の原状回復費用も負担しなければなりません。
不動産経営をおこなう場合は、家賃収入が一時的に減少しても対応できるよう、余裕をもった資金計画を立てましょう。
修繕費用が必要になる
不動産物件は定期的なメンテナンスや修繕が必要です。物件価値を維持するためにも、建物を常に健全な状態に保っておきましょう。
修繕の範囲は、エアコンや洗浄機能付き便座といった居室内の設備から、建物によってはエレベーターやオートロックなどの設備まで多岐にわたります。ただし、区分（ワンルーム）経営であれば、建物自体の修繕費用は管理費でまかなわれるので、特別に用意する必要はありません。
また、地震や火災、水害といった災害により想定外の修繕が発生することもあります。資金計画を立てる際には、想定外の事態も含めて修繕費用をしっかりと盛り込んでおきましょう。
ローン返済中に金利が上昇する可能性がある
ローンを組んで不動産物件を取得する場合は、ローン金利の上昇も大きなリスクです。ローン金利が上昇すると、利回りが悪化するので投資計画に影響します。
返済が長期間にわたるほど、金利が上昇する可能性が高まり、上昇した際の影響も大きくなるため、ローン期間は慎重に検討しましょう。物件取得時の自己資金比率を高めて、ローンの返済額を抑えることも金利上昇対策の1つです。
不動産経営に失敗しないためのポイント
不動産投資で少しでも失敗のリスクを減らすためには、事前の十分な調査や検討が重要です。ただし、どれだけ細かい計画を立てようとしても、個人で想定できる範囲は限られてしまいます。そこで、信頼できる不動産業者を見つけて、プロのサポートを受けながら不動産経営に取り組みましょう。
不動産経営で失敗しないために重要な4つのポイントを詳しくご紹介します。
不動産投資をする目的を明確にする
不動産経営にチャレンジする前に、投資する目的を明確にしておきましょう。目的や目標が決まっていないまま不動産経営を始めると、資金計画があいまいとなり、失敗しやすくなってしまいます。
また、不動産取得時には多額の費用がかかるため、目的をもって綿密な計画を立てなければ、ちょっとした金額の差異から無理な資金計画になりかねません。準備できる自己資金やローン金額からどの程度の利回りを得たいのか、何年計画なのか、最終的に物件をどうするのかなど、さまざまな視点でしっかりと検討しましょう。
不動産経営の知識を身につける
不動産経営には、文字通りの経営的側面にくわえて、投資的側面もあります。実際に不動産を運用する際は、さまざまな情報の分析と知識が必要です。
税制や経営の基礎から利回りの考え方、実際に必要な費用など、収益をあげるために必要な知識を身につけておきましょう。知識が不足したまま不動産経営を始めてしまうと、失敗するリスクが高まります。
不動産経営に必要な資金計画を立てる
不動産経営で重要なのは、無理のない資金計画です。自己資金とローンのバランス、毎月の家賃収入、空室や滞納による収入の減少、想定外の修繕費用など、全体の収支を可能な限り細かく分析して計画を立てましょう。
不動産経営の得意な不動産業者を選ぶ
信頼できる不動産業者を選ぶことも重要です。より綿密な投資計画を立てるためには、プロである不動産業者のサポートは欠かせません。
不動産業者を選ぶ際は、営業年数や事業規模、取り扱い物件数などから慎重に検討しましょう。信頼のできる不動産業者が見つかれば、不動産経営の力強いパートナーになってくれます。また、販売から管理、売却までを一貫して対応できる会社はパートナーとしておすすめです。
【まとめ】不動産経営をこれからはじめるなら区分（ワンルーム）投資も検討
安定した資産形成の手段として、不動産経営は注目されています。会社員や自営業など本業のある方でも、不動産経営なら安定した副収入を得られる可能性があります。
不動産経営にはいくつかの種類がありますが、費用を抑えたい方や、初めての投資で不安のある方には区分（ワンルーム）投資がおすすめです。初期費用が比較的安いうえ、管理の手間もあまりかかりません。リスクを抑えながら不動産経営をすることができます。用意できる資金や状況に応じて、無理のない不動産経営をしてくださいね。
