不動産投資に興味はあっても、新型コロナによる影響が気になってなかなか手を出せない方もいるのではないでしょうか。
コロナ禍で不動産投資を取り巻く環境がどのように変わり、なぜ不動産投資が注目されているのかを知ることで、今が始めるべきタイミングなのかどうかが判断できます。
融資審査対策や物件選びのポイントも知り、Withコロナ時代に合った物件を購入しましょう。そこでこの記事では、新型コロナが不動産投資に与えた影響について解説します。
もくじ
新型コロナが不動産投資に与えた影響や今後の可能性
新型コロナは全世界の社会・経済に大きなインパクトを与えており、日本における不動産投資にもさまざまな影響を与えています。例えば、入居者が求める住環境の変化や、不動産価格の下落です。コロナ禍による影響や今後の展望を6つに分けて解説します。
コロナ禍による住宅需要の増加
新型コロナの影響で外出を控え、自宅で長時間過ごす方も多いでしょう。そのため、コロナ禍以前は気にならなかった住環境に目が向きやすく、長時間過ごしても居心地の良い住宅の需要は拡大する可能性があります。
また、趣味や運動で外出する機会も減っている状況です。室内でできる趣味を持とうとする方や、トレーニングルームを求める方が増える可能性もあり、部屋数の多い住宅のニーズが高まることも考えられます。
リモートワーク化の促進による物件ニーズ
政府は以前から働き方改革を推進していますが、コロナ禍で働き方はますます多様化し、リモートワークを推奨する企業が増えています。最近ではリモートワークをする場所として選択されるのは、感染リスクの低い自宅であることが多いでしょう。
住宅にホームオフィスとしての機能も求める方は増えており、家族に影響しない作業空間やWeb会議に支障のない背景といった、生活空間と分離したスペースのニーズが高まることも考えられます。
大企業が地方に移転する可能性
新型コロナの影響によるリモートワークの推進により、オフィスと住居の位置するエリアが切り離されつつあります。2021年1月の東京都の人口は、24年8か月ぶりに前年同月を下回り、7か月連続で転出超過が続いている状況です。
以前には東京都の人口減少は2025年からと予測されていましたが、新型コロナの影響を受けて前倒しになっています。この状況下で大企業が本社機能を地方へ移転する動きもあり、地方物件の需要が拡大することも考えられるでしょう。
不動産投資から撤退する人が増加する可能性
新型コロナが不動産投資に与えるマイナスの影響として、よく聞かれるのが賃貸経営の収入減です。運用する物件のターゲットやエリアによっては新型コロナの悪影響を受けやすく、収入減を理由に不動産投資から撤退していく不動産投資家が増えることも考えられます。
ただし、求める収入の基準は不動産投資家によって異なり、まだまだ収益率の高い物件があっても複数物件合わせたトータルの運用結果で売却を判断する方もいるでしょう。そういった不動産投資家が手放した掘り出しものを発見する可能性も高まるので、これから参入する不動産投資家にとってはむしろチャンスとも考えられます。
不動産価格が下落していく可能性がある
新型コロナを原因とする経済危機を「コロナショック」と呼びます。コロナショックの影響はさまざまな業界に波及しており、不動産価格が今後下落するだろうと予測する不動産投資家は少なくありません。
一方で、価格下落のタイミングでの投資を狙う不動産投資家も多いと考えられるでしょう。価格下落は参入障壁を下げるので、新規参入者は有利に不動産投資を始められる可能性があります。
銀行は新型コロナ感染状況が影響
2020年の緊急事態宣言発令を受け、多くの企業で経営環境が悪化し、現在も事業立て直しに追われる企業が多い状況です。金融機関は企業支援を重視し、緊急性の低い不動産投資に対する融資は後回しにされてきた背景があります。
また、多くの金融機関は勤務体制を変更しており、現在は審査・手続きに時間がかかるようです。不動産投資に対する融資状況はやや厳しくなっていますが、近いうちにAfterコロナ時代に向けて経済を回す方向にシフトすることで、コロナ禍以前と同様の対応に変わることが考えられます。
このように、誰も経験したことのない未曾有の経済危機であるコロナ禍においてはさまざまな情報や予測が飛び交っているようです。しかし、実際には都心部における不動産投資の状況を見ると、新型コロナによるマイナスの影響はそれほど大きくありません。
テナントや店舗への投資は注意が必要
飲食業界は新型コロナの影響で経営環境が悪化している業界の代表格です。閉店を余儀なくされた店舗や倒産の危機にある企業は多く、テナントにフォーカスした不動産投資は長期の空室リスクが伴う恐れもあります。
テナントや店舗への投資は慎重になる必要がある状況といえるでしょう。Withコロナの現状だけでなくAfterコロナ時代も見据え、長期的にニーズの高い物件・ターゲットを検討することが大切です。
新型コロナで不動産投資に注目が集まる3つの理由
新型コロナによって不動産投資を取り巻く環境はさまざまな面で変容していますが、コロナ禍で不動産投資に注目が集まっています。今、不動産投資に注目が集まっている理由は一体何なのか、3つに分けて詳しく解説します。
資産形成の重要性が高まったため
Withコロナという言葉が生まれるほど新型コロナ関連の問題は長期化しています。収入減や雇用の不安から経済的なリスクの高まりを感じ、資産形成の必要性に駆られる方が増えている状況です。
若年層を中心に投資家は急増していますが、各業界は先行き不透明な状況が続いており、多くの新米投資家は株式や投資信託の難しさに直面しています。金融資産でうまく利益を出せない投資家を中心として、不動産投資に注目が集まっているようです。
現物投資は不況に強いため
株式は投資先の企業が業績不振に陥れば不利益を被り、FXは為替相場が予想に反して上下すれば損失を出します。まだまだ先行き不透明感の強いコロナ禍では金融資産の運用は難しく、たった1日で大きく資産を減らしてしまうケースも珍しくありません。
しかし、不動産投資で運用する投資用不動産は実物資産です。投資用不動産の価値も一時的には下落しますが、入居者がいる限り家賃収入は得られます。不況だからといって家賃を急激に下げる必要もなく、1日で資産を失うようなリスクがありません。
インカムゲインとキャピタルゲインがあるため
投資商品の利子・配当による利益を「インカムゲイン」、購入額と売却額の差益を「キャピタルゲイン」と呼びます。不動産投資においては家賃収入がインカムゲイン、物件売却による利益がキャピタルゲインに当たります。
金融資産のインカムゲインは非常に不安定ですが、家賃収入は家賃支援給付金・住宅確保給付金といった制度もあって不況でも安定的です。投資用不動産は数十年スパンで運用するのが基本なので、コロナショックのような不況で価値の下がったタイミングで買い、将来価値が上がってから売ればキャピタルゲインも得られます。
コロナ禍は不動産投資を始めるべきタイミングなのか
住居は生活において必須なので、コロナ禍でも賃貸需要は下がっておらず、最低限の生活保障として政府による家賃補助もあります。一方で投資用不動産の価格は下落傾向にあり、参入するなら今がチャンスといえるでしょう。
収入減によりローンを返済できず物件を手放す方もおり、経済悪化に伴って競売物件や任意売却物件が増えることも考えられます。掘り出しものを割安で購入できる可能性もあるなど、不動産投資はコロナ禍の今こそ狙い目です。
コロナ禍でも円滑に不動産投資の融資を受けるための対策
政府がAfterコロナに向けて舵を切れば、金融機関の融資方針はコロナ禍以前の状態に戻る可能性もあります。しかし、融資審査は引き続き厳しい状況も考えられるので、円滑に融資を受けるための対策が必要です。不動産投資ローンの融資審査対策を3つに分けて解説します。
属性を高める
金融機関は個人の属性が一定水準以上かどうかを審査します。例えば、年収の高さや勤続年数です。金融機関には「年収の何倍までが貸付限度額」という基準があります。勤続年数が長いほど給与収入の安定性を証明できる他、年収の不安定な個人事業主より大企業の社員や公務員のほうが有利です。
また、金融機関との取引実績も審査します。審査を受ける金融機関で積立定期預金を組んだり、取引実績のある方から紹介を受けたりすると有利です。
収益性の高い物件を選ぶ
不動産投資ローンは非常に高額な融資を引けますが、これは個人の年収だけでなく、投資用不動産の収益性を期待するからです。不動産投資ローンは家賃収入を主な返済原資とするので、収益性が高い物件を選べば高額な融資を引きやすくなります。
ここで重要なのは、将来にわたって安定した家賃収入を得られる物件であることです。立地が良く高利回りで、将来的にも高い入居率を維持できると見込める物件を選びましょう。
自己資金を増やす
不動産投資ローンには頭金を必要としないローンと、物件購入に付随する諸費用もカバーするローンもありますが、かなりの高属性でなければ頭金を入れるのが基本です。
頭金を減らすほど初期費用を抑えられますが、金融機関は物件価格に対する自己資金の比率、つまり自己資金比率を重視します。自己資金の投入量を増やし、融資額を少なくすることで、融資を受けやすくなるでしょう。
コロナ禍での物件選びのポイント
コロナ禍で日本人の働き方や衛生観念は変容しており、住宅に求められる機能も変わってきています。例えば、リモートワークがしやすい住宅や、感染リスクの低い住宅が求められているのが特徴です。コロナ禍における物件選びのポイントを4つに分けて解説します。
地方の物件を視野に入れる
コロナ禍ではリモートワークやオンライン授業が推進され、都心に住むことにこだわらない方が増えています。東京都では転出超過が続いており、地方へ引っ越す方が増えている状況です。
転入より転出が多いというだけで、東京都の人口が激減したわけではありませんが、転入の多い地方の賃貸需要は高まっていると考えられます。地方の物件も視野に入れるとよいでしょう。ただし資産価値を考えた場合、長期運用するなら都心の新築マンションがファーストチョイスであることに変わりはありません。
衛生面を考慮した物件を選ぶ
マンションにはエントランス・廊下・エレベーターといった共用部分があり、入居者であれば誰でも自由に利用できます。入居者は専有部分(住戸)に住みますが、ドアを一歩出れば感染リスクが心配になるという方も少なくありません。
コロナ禍では共用部分の衛生状態が気になる方は多いため、衛生面に配慮した物件選びを心掛けましょう。例えば、エントランスが自動ドアかドアノブ付きかでは、入居者の警戒心・ストレスは変わってきます。
リモートワークがしやすい物件を選ぶ
コロナ禍の長期化により、リモートワークを取り入れる企業が増えています。Afterコロナ時代にもリモートワークが拡大・定着するとは限りませんが、少なくとも現在はホームオフィス環境を求める層が厚くなっているので、リモートワーカーにとって住みやすい物件を選ぶのがポイントです。
1日中部屋で過ごすことを想定して、部屋の広さや部屋数の多さ、断熱性や防音性を重視します。インターネット回線は必須なので、高速な光回線が利用できる物件を選びましょう。
信頼できるパートナーに相談して決める
コロナ禍は全ての不動産投資家にとって未経験の事態です。不動産投資のプロであっても見通しを立てるのは難しく、初心者ならなおさら困難でしょう。
このようなタイミングで不動産投資を始めるなら、親身になって相談してくれたり、優良物件を紹介してくれたりするパートナー(不動産投資会社)が必要です。信頼できるパートナーを選び、物件選びのアドバイスをもらいましょう。
まとめ
不動産投資に挑戦するなら、新型コロナの影響を受け、物件価格が低下している今こそ狙い目です。立地や設備の良さなど基本的なポイントを押さえつつ、衛生的かつリモートワークがしやすい環境の物件を選べば、比較的安定した運用が期待できるでしょう。
物件選びに当たっては、キャリアの長い不動産投資会社に相談することが大切です。物件選びから建物管理・入居者管理、さらに将来の物件売却まで、トータルにサポートできるパートナーを選びましょう。