マンション経営をしたいと思ったときに、初期費用がいくらかかるのか気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、マンション経営の初期費用の目安や内訳についてご紹介します。
必要な初期費用を知ることで、自己資金で足りるかどうか、あといくら用意するべきかがわかります。
自己資金で足りる場合は、すぐに計画を実行にうつすことが可能です。自己資金が足りない場合は、記事の後半で紹介している「初期費用を抑える方法」をぜひ参考にしてください。
もくじ
マンション経営の初期費用の目安
まずおさえておきたいポイントは、相場と支払いタイミングの2点です。相場はマンションの状態やエリアなどによってかなり幅があります。
また、支払いのタイミングを知ることで、「いつまでにいくら用意すればよいのか」という資金計画が立てやすくなるでしょう。
相場は60万円から
マンション経営でかかる初期費用の相場は60万円〜で、初期費用に物件価格が乗ります。
かかるかストの幅は広く、マンションの価格に比例してコストが高くなることも特徴です。地方よりも都心、中古よりも新築、区分マンションよりも一棟マンションのほうがコストはかかります。
新築の場合は購入価格の5%〜10%程が目安、中古の場合は10%〜20%が目安です。
たとえば中古マンションを1,700万円で購入する場合は、最低でも85万円以上の初期費用を用意しましょう。
支払いのタイミング
頭金は物件決定のタイミングで支払う必要があるため、契約よりも先に支払わなくてはなりません。目安としては購入価格の5%〜10%ほどです。
契約時に10%ほどの手数料や税金、未入居の物件なら住人の募集費用など諸経費として家賃の2か月分ほどの費用がかかります。そのほかにも費用がかかることがあるため、余裕をもってお金を用意しておきましょう。
マンション経営の初期費用の内訳
次に、内訳の詳細をひとつずつ解説します。
ただし、場合により初期費用の内容や価格が変わってくることもあります。あくまでも目安として参考にしてください。
物件の取得費用またはローンの頭金
初期費用の中でも大きな割合を占めるのが、物件の取得費用です。たとえば、マンションの購入費用、建築費、外構工事費、付帯工事費、別途工事費などに費用が発生します。
新築の一棟マンションを購入する場合、中古マンションや区分マンションに比べて特に高額となります。
購入資金が足りない場合は、ローンの頭金が必要です。銀行からの融資を受けるためには、購入価格の20%ほどを用意しておきましょう。
たとえば3,000万円のマンションの場合は、600万円ほどの頭金です。頭金を少なくすると金利が増えることがあるため注意しましょう。
仲介手数料
仲介手数料は、物件購入時に不動産会社に支払う手数料と、管理会社に住人の募集業務などを委託する場合に支払う手数料の2種類があります。
物件購入時に不動産会社に支払う仲介手数料の上限は、「売買価格×3%+6万円+消費税」です。ただしあくまでも上限額であり、算出した金額より安くなることもあります。
もうひとつ、入居者の募集等にかかる手数料も必要です。マンション経営では入居者の募集や家賃の集金、入居者のクレーム対応など、業務がたくさんあります。
すべて個人で行うことは大変なので、管理会社に委託するとよいでしょう。
その場合、管理会社には「募集家賃の数%」の手数料を支払います。パーセンテージは企業によりますが、相場は募集家賃の5%ほどです。そのほかにもシステム料や事務手数料などの別料金が発生することもあるため、事前によく確認しましょう。
税金
マンション購入時には、不動産登録免許税、固定資産・都市計画税、不動産取得税などがかかります。納税する総額はマンション価格の7%〜10%ほどが目安です。
税金 | 正確な税額を知る計算式 | 価格の目安 |
---|---|---|
不動産登録免許税 | 建物評価額×2%+土地評価額×2% | マンション価格の2%〜2.5%ほど |
固定資産税 | (建物評価額+土地評価額)×1.4% | 都市計画税とあわせて、マンション価格の2%〜3%ほど |
都市計画税 | (建物評価額+土地評価額)×0.3% | 固定資産税とあわせて、マンション価格の2%〜3%ほど |
不動産取得税 | 土地評価額×0.5×3%+建物評価額×3% | マンション価格の2%ほど |
そのほかにも印紙税などがかかりますが、印紙税については後述します。
不動産登録免許税とは、マンションを登記するときにかかる税金です。司法書士に手続きを依頼するケースが多いため、報酬の支払いも発生します。
固定資産・都市計画税は、マンションという固定資産を所有している限り支払わなくてはなりません。不動産取得税は、マンションを取得してから半年〜1年後に1物件につき1回支払う税金です。
保険料
火災保険や地震保険、施設賠償責任保険など、各種保険料がかかります。火災保険と地震保険の相場は、それぞれ10年分で3〜5万円ずつが目安です
保険内容や加入期間により金額が異なり、長く契約するほど保険料が安くなります。保険には種類がありますが、マンション経営をするにあたり、火災保険と地震保険は加入が必要です。
法律で義務づけられているものではありませんが、備えとして入っておくべきでしょう。
火災保険に加入することで、火災などが原因でマンションが損壊したときに補償があります。
火災だけではなく、水災や落雷、爆発、破裂、風災などが原因の場合も対象です。(保険会社、契約内容による)
ただし、地震が原因の場合は火災保険の対象外となるため、地震保険にも加入したほうがよいでしょう。
地震保険は単体で加入できないため、火災保険とセットで加入します。
登記費用、印紙代
登記費用は、登録免許税や司法書士に手続きを依頼したときに支払う報酬や手数料など、登記に関するすべての費用です。
登記の手続きは司法書士に依頼するケースが一般的で、登録免許税でかかった実費と報酬を含め後に請求されます。報酬はおおよそ10万円ほどが目安です。
印紙税は、マンション購入時にかわす契約書や不動産投資ローンを組みときに交わす契約書にかかる税金です。契約書に収入印紙を添付することで、納税証明になります。
税額は購入価格により異なることに注意しましょう。2020年3月31日までに作成された契約書に添付する収入印紙は、軽減措置が適用されます。
下記は契約金額(マンションの価格)ごとの税額をまとめたものです。
契約金額 | 通常の税額 | 軽減措置された税額 (2020年3月31日までの契約書) |
---|---|---|
100万円超〜500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超〜1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円超〜5,000万以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円超〜1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円超〜5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
詳細は、国税庁のホームページで確認できます。
マンション経営の初期費用を抑える方法
初期費用を抑えるには、仲介手数料を節約することがポイントです。仲介手数料を安く、または0円にするにはどうしたらよいかを解説します。
売主の物件を探す
マンションの売買では、仲介業者が売主と買主の間に入る方法が一般的です。しかし、仲介業者を入れずにマンションの所有者と直接取引をする方法もあります。売主と直接取引をすれば、仲介手数料はかかりません。
ただし、専門的な知識を持つ業者による仲介がないことが、デメリットになることもあります。不動産の売買では専門的な知識が必要となる場面が多く、知識がない個人が行うことにはリスクがあることも理解しておきましょう。
マンション経営のメリットは?
マンション経営で安定した収入を確保できれば、将来の不安を軽減できるのではないでしょうか。ここでは、4つのメリットを解説します。
長期的に安定した収入が得られる
マンションは耐用年数も長く、毎月安定して家賃が入ってくることがメリットです。鉄骨鉄筋コンクリート造りのマンションの耐用年数は47年といわれており、木造の22年と比べると長いことが特徴です。
しかし、必ず47年で寿命がくるわけではありません。しっかりメンテナンスをすることで、100年は建て替えなくてもよいともいわれています。
ローンを組んでマンションを購入した場合でも、建て替えを必要とするまでは家賃収入で残債をまかなえるでしょう。ローンを完済したあとの家賃収入は収益となります。
景気変動の影響が少ない
住居は生活に不可欠なので、ニーズが低下しにくいこともメリットでしょう。景気によってニーズに悪影響を及ぼすことはほとんどないはずです。
ただし、マンション経営の準備をしている段階であれば、インフレによって悪影響を及ぼすことがあります。インフレが起こるとマンションの価格相場が上がり、想定よりも初期費用が増えることがあるためです。
逆にすでに初期投資を終えている段階でインフレが起こると、マンションの資産価値が上がり、良い影響となるでしょう。
節税になる
マンション経営にかかる諸費用は、経費として計上できます。経費は所得から控除できるため、節税になることがメリットです。減価償却で建物部分の取得費用も経費にすることができます。
会社員をしながら副業としてマンション経営をしている方は、損益通算による節税対策が可能です。申告上の不動産収支が赤字にできた場合、給与所得の課税が少なくなります。
さらに、相続税の面でも節税効果が期待できるでしょう。現金ではそのままの金額が相続税評価額となります。
しかし、マンションを所有する場合は、同金額相当の価値があったとしても40%〜50%ほどの相続税評価額にすることが可能です。
生命保険の代わりになる
マンションの購入でローンを組むと「団体信用生命保険」という銀行が指定する保険が必ず組み込まれます。
ローンを組んだ人(マンション経営のオーナー)が死亡した場合、相続人となる家族などがローンの残債を負担しなくてもよいという内容です。
ローンは生命保険により完済されるので、相続人となる家族は返済の心配をする必要はありません。借金をせず、資産となるマンションと毎月の家賃収入を得られます。
個人的に生命保険に入る場合、月々何万円もの負担が必要です。しかし、マンション経営をするだけで生命保険の代わりとなるため、個別の保険代を節約することができます。
まとめ
マンション経営にかかる初期費用は、マンション購入費用やローンの頭金だけではありません。仲介手数料や税金、保険料、そのほかの諸費用もかかりますので、余裕をもって用意しておくと安心です。
自己資金が足りないなと思った場合は、今回の「初期費用を抑える方法」を実践してみましょう。