投資用の不動産を選ぶ際、アパートやマンションなど複数の案件から優良物件を見極めます。ワンルームに投資したり投資信託の仕組みを活用したり、幅広い選択肢に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、アパート一棟からレンタル物置まで、不動産投資を徹底的に解説します。押さえておきたいリスクも詳しくピックアップしているため、投資前のリサーチに役立てられるでしょう。後半では、選び方のポイントもご紹介します。
もくじ
不動産投資の主な種類
代表的な投資物件として挙げられるのは、アパートやマンションです。一棟で購入する以外に、部屋数を限定して区分投資を行う選択肢もあります。さらにコストを抑えるためには、J-REIT(不動産投資信託)も有益です。一般的に知られる5種類の不動産投資の概要をご紹介します。
アパート一棟投資
特定の土地と建物(アパート)を購入し、運用する方法が「アパート一棟投資」です。2階建てや3階建ての物件がアパートとして取り扱われるため、小規模の共同住宅を運用したい方に魅力的な選択肢といえるでしょう。
木造の物件が多く、法定耐用年数が短い点が特徴です。リフォームや修繕の観点から考えると、運用コストが高くなる可能性もあります。
マンション一棟投資
「マンション一棟投資」はアパートよりも規模が大きい投資です。一般的には、鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造がマンションに該当します。
規模は都心部のタワーマンションから郊外の4階〜5階建てまで豊富なため、物件価格や運用コストもさまざまです。家族向けやワンルームマンションなど、部屋のタイプも数多く展開しています。投資用の中古物件も見られますが、投資額が高いマンション一棟投資は特に入念な準備が必要といえるでしょう。
ワンルーム投資 / 区分投資
一棟をまとめて購入するのではなく、一室単位で投資を行うのが「ワンルーム投資」です。「区分投資」の名前でも知られています。ほとんどの場合、投資の対象となるのは部屋数の多いマンションです。
土地と建物の大部分には費用が発生しないため、不動産投資の中でも取り組みやすい種類といえます。分散投資をしたい方や投資費用を抑えたい方は魅力を実感できるでしょう。
戸建て投資
「戸建て投資」は一軒家と土地を購入し、家賃収入を得る方法です。特性上、主にファミリー層の入居を目的とした投資といえるでしょう。
比較的出入りが激しい共同住宅に対し、長期間の家賃収入が見込めます。一方、借り手が見つからなければ収入がなくなる点はデメリットです。将来的に自分が住むという選択肢を残すこともできます。
J-REIT(不動産投資信託)
一般的な不動産投資と異なる性質を持つのが「J-REIT(ジェイ・リート)」です。「不動産投資信託」ともいわれるとおり、投資信託の枠組みで運用を行います。土地や建物に直接投資するのではなく、運用会社を通して間接的に投資するイメージです。
資金は複数の投資家から集められます。1人当たりの投資費用は少額で、ワンルーム投資よりも少ない資金でスタートすることが可能です。投資関係の知識が乏しい方や、建物の管理が苦手な方に適した方法といえるでしょう。
不動産投資の種類別のメリットとリスク
どのようなかたちで不動産投資を始めるか、魅力だけでなくリスクも押さえた上で選択する必要があります。一見メリットに思える不動産投資でも、むやみに挑戦するのは賢明とはいえません。リスクヘッジを適切に行えるよう、運用方法によって異なるデメリットをしっかり理解しておきましょう。5種類の不動産投資について詳しく解説します。
アパート一棟投資
アパートを一棟購入するためには、土地と建物を含めた多額の資金が必要です。ローンを活用すると短期的な負担は減るものの、収入や自己資金によっては融資が認められない可能性もあります。一方、建物が利用できなくなっても土地を有効活用できる点はメリットです。
メリット | デメリット・リスク |
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木造の建築物は、鉄筋コンクリートなどに比べて短い法定耐用年数を定めています。減価償却期間は短期ですが、総合的な節税効果は大きく感じられるでしょう。
マンション一棟投資
投資費用が特に高額な傾向にあるマンション一棟投資は、収入属性の高い投資家に向いた方法といえます。大規模な物件を購入する場合、億単位以上の出費を要するケースもあるためです。
メリット | デメリット・リスク |
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部屋数が多いため、空室リスクを分散できる点はメリットでしょう。土地や建物の規模を考慮すると、他の物件タイプに比べて準備期間が重要です。優良物件を探すためのリサーチや、環境を整えるための手続きに長い時間を要する可能性があります。
ワンルーム投資
「安い物件に投資したい」と考えている方は、ワンルーム投資のメリットを生かせるでしょう。1室から投資をスタートし、資金が増えれば投資先を追加できます。ただし、管理面での自由度が低い点には注意が必要です。
メリット | デメリット・リスク |
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ワンルーム投資では、老朽化でリフォームを実行したり一部を修繕したりといったタイミングは、投資家自身で決定できません。空室リスクを回避するためには、複数への投資も視野に入れた方が良いでしょう。
戸建て投資
戸建て投資は家族で住むケースが多く、入居から退去までの期間が長い傾向にある点も魅力的です。
メリット | デメリット・リスク |
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庭やガレージなどの清掃・メンテナンスを入居者に任せられるため、定期的に足を運ぶ手間が省けます。家賃収入は安定させやすいものの、空室になると収入がゼロになるリスクは理解しておきましょう。他の不動産よりも利回りが高く、管理の頻度が低い物件を探している方にはメリットの大きい選択肢です。
J-REIT(不動産投資信託)
「不動産投資を始めたいが、運用に自信がない」という方は、J-REITを視野に入れても良いでしょう。1万円からスタートできる投資信託もあるため、不動産投資の中でも手軽さが魅力的な方法といえます。
メリット | デメリット・リスク |
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費用面だけでなく管理・メンテナンス面でもメリットはありますが、自由度が低い点には注意が必要です。自分で運用手順を考えたり、修繕のタイミングを決めたりしたい方はデメリットに感じるかもしれません。
新築物件と中古物件の投資で有利なのはどちらなのか
物件を選ぶ際の大まかな区分として、新築・中古の2種類があります。いずれも利益を得るためには有効的な選択肢であり、「どちらの方が有利か」を決められるものではありません。希望に適した物件を選ぶためには、それぞれが持つメリット・デメリットの理解が大切です。
メリット | デメリット・リスク | |
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その他の不動産投資の種類
より幅広い選択肢から投資先を見極めたい方は、民泊やシェアハウスといった方法も検討してみましょう。駐車場用に土地を運用したり、物置をレンタルして収入につなげたりといった不動産投資もあります。
土地のエリアや資金によって、適切な運用方法を選ぶ参考材料になるでしょう。6種類の不動産投資について、特徴とメリット・デメリットを解説します。
民泊
民泊への不動産投資は、リスク・リターンともに高いといわれる方法です。管理組合の中には民泊を許可しないケースもあるため、入念なリサーチに加え法律の知識も重要といえます。
メリット | デメリット・リスク |
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入居者と契約する方法とは違い、宿泊の都度国籍を問わずコミュニケーションが取れる点は魅力的です。一方、日本と外国の違いが明らかになりやすい場でもあるため、思わぬトラブルに発展するかもしれません。民泊として運用するための手続きも必要なため、準備を怠らないよう注意が必要です。
シェアハウス
近年、複数人で同じ建物に入居する「シェアハウス」が人気を高めています。シェアハウスに適した物件を購入したり、リフォーム・リノベーションを行ったりすることで運用が可能です。
メリット | デメリット・リスク |
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戸建て投資と同様にひとつの住宅を購入するケースが一般的ですが、複数の人が入居するため空室リスクの軽減につながります。アパート一棟投資と戸建て投資のメリットを兼ね備えた方法ともいえるでしょう。
ただし、入居者同士の距離が近いためトラブルへの対策も大切です。他の不動産投資に比べて管理費用が負担になりやすい点も把握しておきましょう。
福祉施設
高齢化社会といわれる昨今において、福祉施設は有益性を実感しやすい投資先ともいえます。土地が広く、建物の規模も大きい場合が多いため資金は多く備えたほうが良いでしょう。
メリット | デメリット・リスク |
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最寄り駅から近い物件は需要を期待できますが、福祉施設の場合は車を利用する関係者が多く見られます。利便性の観点ではなく、競合率を基準とした立地条件が重要な要素です。福祉施設の形態によっても、リターン・リスクの度合いは変動すると考えましょう。
駐車場・駐輪場
建物を管理する作業を面倒に感じる場合は、駐車場や駐輪場として貸し出す方法もあります。住宅に比べてメンテナンスは手軽ですが、「利益を出せるかどうか」が見極めにくい点はデメリットです。
メリット | デメリット・リスク |
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すでに所有している土地を利用するケースも見られますが、事前のリサーチは入念に行う必要があります。月極・時間貸しの選択によって運用方法も異なるため、有益性を判断してから実践に進みましょう。
レンタル物置
物置(トランクルーム)と土地を購入し、希望者に貸し出すことで利益につなげる方法もあります。家に住むわけではないため、水回りや電気関係といった管理費用がほとんどかかりません。
メリット | デメリット・リスク |
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レンタル物置の需要は、エリアによって大きく変動します。広い土地を手に入れやすいエリアの場合、レンタル物置というサービスが必要ないケースも多いためです。スペースを設けにくい都心部や、交通量が多いエリアなど利益が見込める要素を明確にする作業が必要といえるでしょう。
借地権
土地の購入費用に負担を感じる方は、「借地権」を購入して運用するのもひとつの選択肢です。所有者である地主に賃料を支払い、建物の所有権は投資家自身にある状態で運用を始めます。
メリット | デメリット・リスク |
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投資費用は抑えられますが、地主が設定した賃料は継続的に支払わなければなりません。物件の建て替えなどに承諾が必要となるケースもあるため、全体を所有するよりは自由度が低い方法ともいえます。固定資産税や取得税が投資家に課税されない点は、借地権ならではのメリットです。
不動産投資の種類を選ぶポイント
さまざまな種類が挙げられる不動産投資ですが、運用に適した選択肢は各投資家によって異なります。リスクの度合いやコストなど、不動産が持つ特性を生かせる方法に注目しましょう。利益を左右する要素も重要なポイントです。ここからは、自分に適した基準で選ぶためのコツを4つの項目に分けてご紹介します。
投資の難易度で選ぶ
投資そのものの難易度は、目標や計画を決める上で重視したいポイントです。自分に見合わない難易度でスタートした場合、思うように続けられず失敗を招く可能性もあります。特に初めて投資する方は、可能な限り難易度が低いものを選んだほうが良いでしょう。
初心者向けといわれるのは、管理の手間が省けるJ-REITです。少額から始めて、続けるうちに知識も蓄えられます。不動産市場の値動きをチェックするためにも役立つでしょう。
運用や管理のしやすさで選ぶ
土地や物件を購入した後は、数十年先の未来も考えながら運用を続ける必要があります。会社勤めで忙しい方や、自宅から遠いエリアに投資した場合は管理面で負担を感じるかもしれません。長期運用を前提としたシミュレーションを立て、無理なく続けられる運用方法を見極めることも大切です。
「手間がかかっても自分が思うように管理したい」と考える方は、自由度の高い一棟投資を選択するのも有益といえます。
リスクの低さで選ぶ
投資先を選ぶ際は、「どのようなリスクがあるか」を詳しく理解する意識が大切です。メリットのみに注目すると、リスクヘッジが十分にできず損失を生む可能性もあります。以下のような内容で、リスクの度合いを明確にしておきましょう。
【空室リスク】
空室リスクは複数の部屋や物件を持つことで回避可能です。アパートやマンションの一棟投資では空室リスクは分散されています。ワンルーム投資や戸建て投資は空室リスクが高いといえますが、複数の物件を持つことでリスクを抑えられるでしょう。
【立地リスク】
立地に起因する地価の上下や需要の増減を立地リスクといいます。近年増え続ける大型台風や集中豪雨による災害も重要なファクターになりました。複数の土地に投資物件を持つことで立地リスクを分散できます。大型マンションの一棟投資など、複数所有することが難しい物件は、立地リスクが高い物件といえるでしょう。
家賃収入の多さで選ぶ
投資家が得る利益を左右する要素のひとつが、家賃収入です。ローン契約の場合は月々の返済額にも影響するため、返済期間も踏まえた上でどの程度収入が得られるかシミュレーションしてみましょう。
立地条件が良くても、建物の劣化が激しい場合は家賃が下がりやすくなります。空室率が低く、利益になる金額を見極める力も必要です。物件タイプによって傾向も異なるため、可能であれば家賃収入の多い不動産を選べるようリサーチしましょう。
まとめ
不動産投資の選択肢には、アパートや戸建て住宅など複数の種類があります。シェアハウス・レンタル物置といった方法も選べるため、メリットやリスクをしっかり理解しておきましょう。自分に合った運用方法を見極めるためにも重要な情報です。
物件選びに悩んだときは、「リスクを回避できるか」「利益は見込めるか」といったポイントに注目しましょう。