副業で収入源や収益を増やすことを考えて、マンション経営を検討しているという方もいるのではないでしょうか。マンション経営には安定した不労所得を得ることができるなどの豊富なメリットはあるものの、副業としてできるかどうかは気になるポイントでしょう。
そこでこの記事では、副業でもマンション経営はできるのかについてご紹介します。併せて、その魅力や注意点、マンション経営の成否を分けるポイントを解説しますので、安定経営のための準備や物件選びができるでしょう。
メリットだけでなく注意点やリスクも踏まえ、副業でのマンション経営を成功に導きましょう。
もくじ
副業でもマンション経営はできる?
副業でのマンション経営について考えるとき、会社の許可が下りるかどうかは気になるポイントでしょう。結論からいえば、条件次第では副業でもマンション経営はできます。マンション経営は大規模でなければ副業にあたらないことや、就業規則を守って行う必要があることについて解説します。
マンション経営は副業にはあたらない
マンション経営では投資家が物件のオーナー(大家)になり賃貸経営を行います。いわゆる大家業を会社員や公務員が行うことは副業にあたるというイメージを抱くかもしれませんが、実際には多くの場合で副業にはあたりません。
なぜなら、マンション経営が「不労所得」を得る投資方法だからです。オーナーの多くは建物や入居者の管理業務を管理会社に委託しており、オーナーには賃貸経営から収益を得るための実務が伴いません。
転勤によりやむなく住宅を貸し出す場合や、相続した物件の賃貸経営をしながら会社員として働く場合もあります。収益物件を運用することは株式投資やFXのように投資を行っているとみなし、本業以外で行う仕事、つまり副業を行っているとはみなさないのが一般的です。
事業規模の場合は事業扱いとなる
マンション経営が副業とみなされないのは、賃貸経営の規模が小さい場合です。規模が大きくなると、不動産貸付けの事業を行っている、つまり副業を行っているとみなす場合があります。
不動産投資が事業的規模とみなされるのは、独立した室数がおおむね10室以上、あるいは独立家屋がおおむね5棟以上の場合です。10室以上の区分マンションや区分アパート、もしくは5棟以上の戸建て物件を運用していれば、原則として事業的規模とみなします。
「5棟10室」の条件を満たさない場合でも、実質的に大規模であれば事業規模とみなす形です。この判断基準は税法上でも同様であり、事業的規模に該当するなら所得金額の計算方式が異なる場合もあります。
会社員や公務員の副業禁止規定に沿う必要がある
会社員の場合、所属する会社によって就業規定はさまざまです。会社員の副業は法律で禁じられているわけではなく、会社ごとの判断によります。近年では政府主導の働き方改革の影響もあり、副業や兼業を認める企業は増えている状況です。
基本的には、本業に支障のない範囲であればマンション経営は投資とみなすことが多いでしょう。ただし会社側の許可が必要なケースもあるため、実際に始める前に確認を取っておくことが大切です。
公務員の場合は、国家公務員法・地方公務員法で自営の禁止、人事院規則で自営の判断基準が定めてあります。5棟10室以内および年間の家賃収入が500万円未満であれば、その他の規則を逸脱しない範囲でマンション経営が可能です。基準を超える場合は許可を申請する必要があります。
マンション経営で副業をするメリットやおすすめの理由
マンション経営は小規模であれば会社員でも公務員でも問題なく行えます。単に可能というだけではなく、マンション経営は他の副業にはないメリットが豊富です。大きな自己資金も労力もかけずに将来的な収入源として活用でき、生命保険の代わりとしても使える、マンション経営の魅力を見ていきましょう。
継続した収入を確保できる
マンション経営を行えば、運用する物件に入居者がいる限りは毎月安定した家賃収入を得ることができます。株式投資やFXのような、値動きに依存する収益の乱高下はありません。
また、マンション経営では銀行から融資を受けて物件を購入するのが一般的です。実際の収益はローンの返済額を差し引いて計算する必要がありますが、ローンの完済後には家賃収入の大部分が収益として手元に残る傾向にあります。長期運用で収益性が高まるため、リタイア後や老後の収入源としても有力と言えるでしょう。
自己資金が少なくても始められる
マンション経営で購入する物件は1,000万円や1億円を超える高額な商品で、価格だけ見れば大きな自己資金が必要に思うかもしれません。しかし実際には、金融機関で「不動産投資ローン」を組むことが一般的です。
不動産投資ローンは購入する物件自体を担保とし、収益性の高い物件に対しては金融機関が積極的に貸し付けを行います。さらに、会社員や公務員の場合は安定した月収があるため、自営業者より審査で優遇を受けやすいこともポイントです。
マンションの管理を委託できる
マンション経営を行うにあたり、建物や入居者の管理が必要です。共用部分の清掃や修繕、家賃の回収やクレーム対応など、大家としての業務は多く見えるかもしれません。
しかし、これらの業務はすべて管理会社に委託できます。管理会社に建物管理や入居者管理を委託することで、オーナーは実務を行う必要がありません。一般的な副業では実務をともなうため、時間的にも健康的にも本業を圧迫することもあるでしょう。本業に集中しながら収入源を確保できることもマンション経営のメリットです。
節税対策になる
マンション経営の収支は家賃収入から支出を差し引いて計算しますが、税金は収入から必要経費を差し引いた所得に対して課税を受けます。
マンション経営の必要経費で特に大きいものは物件の購入費用です。ただし、建物に関しては一括で経費計上するのではなく、取得価額に対して償却率をかけた「減価償却費」を毎年計上していきます。
支出が少ない年でも減価償却費を必要経費に計上でき、さらに不動産所得の帳簿上の赤字を給与所得と「損益通算」できるため、節税対策になるのもマンション経営のメリットです。
生命保険の代わりにできる
マンション経営と生命保険は無関係に思えるかもしれませんが、不動産投資ローンを組む場合には「団体信用生命保険」、通称「団信」の加入が必須です。団体信用生命保険は団体で加入する生命保険で、債務者が死亡した際などには残債を一括で返済できます。
債務者が団体信用生命保険に加入することで、金融機関は貸し倒れのリスクを回避できる仕組みです。万が一の際にもローンを一括返済でき、家族に残債のない収益物件が残せることもマンション経営のメリットです。
副業でマンション経営をする際の注意点
マンション経営には多くのメリットがあり、時間を無駄にせず将来の備えとしても有益と言えます。メリットが豊富なマンション経営ですが、本業に対しての配慮は忘れないようにしましょう。本業に支障のない範囲内で、許可を取って行うことが重要です。最低限のルールを守り、適切にマンション経営を行いましょう。
会社内でマンション経営の業務はしない
マンション経営が会社から許可を受けるためには、本業に支障をきたさないことが必須条件です。就業時間中にクレーム対応や事務処理など、マンション経営に関する業務を行うことは避けましょう。
副業を就業時間中に行うことは、就業規定に違反するケースが大半です。この事態が発生すると大きなトラブルに発展する恐れもあるため、マンション経営に関する業務は就業時間外に行いましょう。
事業規模の運用なら事前許可を取る
マンション経営が小規模であれば副業には該当せず、投資として行える可能性が高いといえます。しかし事業規模に該当する場合には、会社員であれば就業規定に、公務員であれば法律に違反すると考えましょう。
マンション経営に失敗する主な原因
マンション経営は計画的に行えばメリットを享受できますが、安易な判断で始めると失敗するリスクがあります。管理業務を自分で行うことは、本業がある状態では難しい場合もあるでしょう。節税効果や利回りなど、魅力的なワードだけを信用しすぎることも失敗を招きます。マンション経営に失敗する主な原因を3種類に分けて見ていきましょう。
物件管理を自分だけで行う
マンション経営が副業に向いていると言えるのは、建物や入居者の管理業務を管理会社に委託する場合です。建物の清掃や修繕、クレーム対応や家賃の回収など、マンション経営に必要な業務は多岐に渡ります。これらの業務を行うには時間が必要で、業務内容によっては対応する時間を選べません。
管理業務が行き届いていない物件は経年劣化が早まり、入居者の不満も大きくなっていきます。入居者がいない物件からは家賃収入を得ることができないため、適切な管理業務を行うことは必須です。
しかし、本業の就業時間中は管理業務に対応できないため本業との両立に無理が生じます。やむなく就業時間中に業務を行ってしまえば、懲戒免職などの事態に発展する恐れもあり危険です。マンション経営を副業で行うなら、管理会社に管理業務を委託することは必須と考えましょう。
節税だけを目的として始める
マンション経営で得る節税効果は、減価償却費の経費計上と、不動産所得・給与所得の損益通算によります。損益通算とは、不動産所得の帳簿上の赤字を給与所得の黒字で相殺し、課税される所得金額を低減できる仕組みです。給与所得に変化がなくとも、損益通算により所得税や住民税を抑えることができます。
しかし、損益通算による節税効果を生むのは帳簿上の赤字になった場合のみです。大きな節税効果を求めてマンション経営を始めるということは、赤字経営を目指してマンション経営を始めることを意味します。
株式投資やFXと同じく、マンション経営は収益を求めて始めるのが本来の姿です。減価償却費を有効活用しながら、場合によっては損益通算も活用するというのが、マンション経営の節税効果であると考えましょう。
物件やエリアの調査を徹底せずに始める
マンション経営において収益を生むのは物件であり、物件は特定のエリアに所在しています。物件の魅力は入居率に直結し、状態によっては購入後に修繕費がかさむため、物件の調査は必須です。また、エリアの利便性や成長性も物件の収益性を左右するため、事前の調査は不可欠といえます。
物件に何らかの問題があった場合、大規模な修繕やリノベーションにかかる費用は高額です。さらに物件の立地が原因で入居者を集めることができなかったとしても、建物は土地の上に建っているためエリアの変更はできません。
物件価格が安いほど利回りは高く見えますが、安さの原因を把握することが必要です。インターネット上の物件情報からは判断できない事実も多いため、物件やエリアの事前調査を徹底して行いましょう。
マンション経営をする際に考えなければならないリスク
マンション経営を成功に導くためには、失敗事例の原因とともに、さまざまなリスクを把握することが重要です。建物や入居者の管理業務は管理会社に委託できますが、賃貸経営のリスクヘッジはオーナーの義務といえます。マンション経営の収益に関わる4つのリスクを見ていきましょう。
空室のリスク
マンション経営では毎月の家賃収入から収益を得ますが、入居者がいない物件からは家賃を回収できません。安定した家賃収入を得ることのできる点はマンション経営の大きなメリットですが、空室リスクに注意することは重要です。
不動産投資ローンを組んでいる場合には、毎月の返済額は家賃収入から支払います。家賃収入が回収できない月には自己資金を切り崩す必要があるため、空室リスクを抑えるための管理業務の徹底や自己資金の備えが重要です。
家賃滞納のリスク
空室リスクともに考えておくべきリスクが家賃滞納リスクです。満室経営を行っていたとしても、入居者が家賃を滞納すれば家賃収入を得ることができません。
家賃滞納リスクの対策は、物件選びや入居者募集の段階で、家賃滞納リスクが低い入居者をターゲットにすることです。
また、不動産会社を経由して「家賃保証会社」と契約すれば、家賃の立て替えや取り立てを委託できます。入居者は入居時や契約更新時に手数料の支払いを要しますが、家賃滞納リスクの対策として有効です。
修繕金のリスク
マンション経営では、収入に関してだけでなく支出に関してもリスクがあります。物件は運用期間が長くなるほど経年劣化や老朽化が進行していくため、大規模修繕に備えた「修繕積立金」の用意が必要です。
大規模修繕では外壁やエントランス、エレベーターや配管などを修繕するため、総額で数百万円以上かかることもあります。修繕積立金の金額は物件により異なりますが、毎月の家賃収入から差し引いて計算することが必要です。空室リスクや家賃滞納リスクに備えつつ、修繕積立金も滞りなく支払うことを目指しましょう。
税金のリスク
マンション投資による収入は不動産所得に区分され、給与所得と合算して所得税や住民税を支払います。不動産の所有者にかかる固定資産税の支払いも必要です。運用する物件によっては都市計画税や消費税もかかります。
税金は修繕積立金よりも計算が複雑で、しっかりと計算して準備しておかなければ想定した手残りを得ることができません。毎月の修繕積立金だけでなく各種税金も発生することを想定し、支出に耐えられるマンション経営を目指しましょう。
マンション経営に成功するためのポイント
マンション経営を成功に導くためには、失敗の原因やリスクを踏まえたうえで、適切な物件選びをすることが重要です。最初は購入しやすく入居率も高い、好立地なワンルームマンションがおすすめと言えるでしょう。優良物件を選ぶだけでなく、実績のある不動産会社から管理業務などの適切なサポートを受けることも重要です。
ワンルーム投資から検討してみる
不動産投資を始めるにあたっては、マンション・アパート・戸建てなどから目当ての物件を選択します。一般的に、マンションはアパートや戸建てよりも耐久性が高く、オートロック・防犯カメラ・エレベーターなどの設備も豊富です。
物件そのものの機能性や安全性という意味で、マンションは入居者からのニーズが高いと言えるでしょう。ただし、1棟マンションは高額で経営の規模も大きいため、初心者はワンルームマンション投資から始めるのもおすすめです。
マンションを1戸という単位で購入する「ワンルームマンション」であれば、経営リスクを抑えた投資が可能です。物件の価格も比較的安価であり、これから不動産投資を始めようとする方にとっては打ってつけの選択肢と言えるでしょう。
好立地の物件を優先して選ぶ
物件という言葉のイメージから、マンション経営は建物を運用するという印象が強いかもしれません。実際には、入居率に対して影響が大きいのは、建物がどこに建っているかです。
賃貸マンションの入居者からすれば、まず利便性の高いエリアを選定し、同エリアの中で魅力的な物件をピックアップします。同じ建物が過疎地に建っているか都市部に建っているかでは、入居率に差が生じるのはイメージしやすいでしょう。
最寄り駅や繁華街から近く、通勤・通学や買い物にも便利であるような、好立地な物件を選ぶことも重要です。好立地な物件であれば空室リスクが低く、家賃も高めに設定しやすくなります。人口が多く、将来的にも入居者は減少しない、都市部の好立地な物件を優先的に選びましょう。
実績のある不動産会社を活用する
総合的に考えると、都市部の好立地なワンルームマンションを購入することが、初心者でもマンション経営に成功できるポイントです。購入を検討するにあたっては、物件探しや物件管理に信頼性の高い、豊富な実績のある不動産会社を活用しましょう。
まとめ
副業でマンション経営を行うなら、小規模でリスクの低い、ワンルームマンションの購入が良いでしょう。都市部の好立地な物件であれば、本業に支障をきたさない範囲で、安定した家賃収入を得ることができます。マンション経営には空室や家賃滞納などのリスクもありますが、信頼できる管理会社に管理業務を委託すれば、リスクを抑えた安定経営が可能です。