2019年6月3日に金融庁が発表した報告書によると、夫婦で老後30年間生活する場合、2,000万円程度の資金が必要になるといわれています。これは「老後2,000万円問題」として報道で大きく取り上げられ、覚えている人も多いでしょう。
その後、政府はNISA(少額投資非課税制度)のような資産形成を促す取り組みを続ける意向を示しています。これを機に、株式投資や不動産投資といった資産形成の手段を模索している人も多いのではないでしょうか。近年、投資は一般のサラリーマンでもチャレンジする人が増えています。たとえ高額資金を持ち合わせていなくても、100万円の自己資金があれば不動産投資は可能です。
そこでこの記事では、100万円でできる不動産投資の方法やメリットなどを紹介します。100万円でできる不動産投資の方法を知っておくことで、投資をしようか迷っている方も安心してチャレンジできるでしょう。
もくじ
100万円でできる不動産投資の3つの方法
株式会社不動産経済研究所の調査によると、首都圏におけるマンションの平均価格は6,000万円を超えており、上昇傾向にあります。このような状況の中、「たった100万円で本当に不動産投資が可能なのか……」と疑問に感じる人もいるのではないでしょうか。自己資金が100万円で不動産投資する場合、主に3つの方法があります。
不動産投資ローンを組んで物件を購入する
自己資金100万円での不動産投資を検討している場合、不動産投資ローンを組んで物件を購入するのも手段のひとつといえます。住宅ローンと同様に、金融機関からお金を借り入れて期日までに返済していく仕組みです。
住宅ローンの場合、自宅の購入が目的なので個人の返済能力が重視されます。一方の不動産投資ローンの場合は、投資によって利益を得ることが目的で、審査で重視されるのは個人の返済能力に加えて物件の収益性です。
また、不動産を購入する際にかかる諸費用の目安は、物件価格の3%程度です。そのため、自己資金100万円で購入できる物件価格は3,300万円程度になります。
100万円以下で購入できる物件を探す
突然の失業や金利アップへの懸念から、できるだけローンを組みたくないと考えている人もいるのではないでしょうか。
このような場合、100万円以下で購入できる少額投資物件を探すのも手段のひとつです。100万円以下の物件ならローンの返済の必要はなく、入居者から得た家賃などの収入はすべて手元に残ります。
ただし、100万円以下の物件はそれほど多くないため、見つけるのはなかなか難しいといえるでしょう。物件が見つかった場合でも、築年数が古かったり立地条件が悪かったりする可能性が高く、リフォームを検討しなければいけないこともあります。
J-REITを利用する
自己資金100万円での不動産投資を検討している場合、J-REITを利用するのも選択肢のひとつでしょう。J-REITは不動産ファンドのことで、次のような仕組みで成り立っているビジネスです。
- 利用者が投資法人が発行した証券を取得
- 投資法人が利用者から集めた資金で不動産を購入
- 投資法人が不動産を経営・管理
- 不動産経営で得た利益を利用者に分配
J-REITは1口数万円単位でも利用できるケースもあるため、自己資金100万円でも不動産投資が行えます。
自己資金100万円で不動産投資を始めても良い?得られるメリットは?
自己資金100万円でスタートして、本当に利益が得られるのか不安に感じている人も多いのではないでしょうか。多額な自己資金を準備せず、たとえ100万円でもさまざまなメリットが得られます。
資産運用を早めに始められる
自己資金が100万円の場合、より資金を増やしてからスタートするよりも早い段階で不動産投資が始められます。資金が増えるまで時間をかける必要がないため、そのぶん早く資産の拡大を期待できるのがメリットのひとつです。
会社員として働いている場合は毎年得られる収入がおおよそ決まっており、昇給や賞与は見通しがつかないものです。もしすでに100万円の自己資金があるなら、より早く資産を拡大するためにも、すぐ投資にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
レバレッジ効果がある
多額の資金を用意して不動産投資を始める場合に比べ、少額からスタートした方がレバレッジ効果を得られることもメリットといえます。レバレッジ効果とは、自己資金が少ない状態でより多くの利益を得ることです。
自己資金とあわせて不動産投資ローンを利用すれば、100万円よりも高い物件の運用もできます。より高いレバレッジ効果を求める場合は、利回りのよい少額投資物件を見つけることが大切です。
自己資金を減らせば残りの資金を他に回せる
貯金に余裕がない場合、今後の生活に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。すでに100万円以上の貯金がある場合、自己資金を100万円に抑えることで残りのお金を他の支出に回せるので安心です。
自己資金を100万円に抑えておけば、車の買い替えや海外旅行といったプライベートでの支出はもちろん、入居者を確保するための広告費やリフォームが必要になった場合にも対応できます。
100万円で不動産投資を始める場合の注意点
貯金額は人によって異なりますが、100万円ならすぐに準備できるという人もいるのではないでしょうか。
自己資金100万円で不動産投資する場合、早めにスタートできたりレバレッジ効果が期待できたりとメリットも多いですが、注意しなければならない点もいくつかあります。
融資審査が厳しくなる場合がある
自己資金100万円で不動産投資をスタートする場合、ローンの審査が厳しくなることがあるので注意が必要です。不動産投資ローンの審査は、個人の返済能力に加えて物件の収益性が重視されます。
貯金に余裕がない場合や年収がそれほど高くない場合は、不動産投資ローンの審査が通らない可能性も考えられます。審査に通っても融資限度額を引き下げられることもあるため、一定以上の収入がない場合はJ-REITの利用を検討してみましょう。
借入金額が大きくなる
不動産投資ローンを利用する場合、頭金が必要なケースが一般的です。自己資金が少ないということは頭金の金額に限りがあるため、そのぶん借入金額が多くなってしまうことに注意しましょう。金利がアップした場合、借入金額が多くなるほど返済額に影響します。
入居者は安定して確保できるとは限らないため、空室が続くことでローンの返済にも影響しかねません。そのため、少ない自己資金で不動産投資をスタートする場合は、長い目で見た返済計画を立て万が一のリスクに備えましょう。
物件の購入には初期費用がかかる
不動産投資で物件を購入するときには仲介手数料や不動産取得税など、さまざまな初期費用がかかります。そのため、100万円という自己資金で購入できる物件を見つけた場合も物件価格以外にかかる費用を総合的に把握しておくことが大切です。
不動産会社や物件によっては、仲介手数料が割引されたり無料だったりするケースがあるものの、税金については義務なので支払わなくてはなりません。購入する物件によっては自己資金100万円では不足してしまう可能性も押さえておきましょう。
自己資金100万円で行う物件選びのポイント
好条件の少額投資物件が見つかれば、自己資金100万円でも不動産投資をスタートできます。しかし、少額投資物件はそれほど多くないため、場合によっては他の物件の検討が必要です。
自己資金100万円で不動産投資をスタートする場合の物件選びのポイントを押さえておきましょう。
無理なく返済できる価格の物件にする
自己資金100万円で不動産投資をスタートする場合、無理なく返済できる価格の物件を見つけることがポイントです。例えば人気エリアの駅チカ物件の場合、郊外の類似物件よりも価格が高いケースが多いでしょう。
無理をして高い物件に投資すると、返済が苦しくなり今後の生活に影響を及ぼす可能性もあります。不動産投資をスタートする場合は、無理なく返済できる価格の物件を購入しましょう。
ワンルームマンションの物件をメインにチェックする
マンションの間取りは単身用からファミリータイプまでさまざまで、部屋数が少ないほど価格は安い傾向にあります。自己資金100万円で不動産投資をスタートする場合、少額でも投資しやすいワンルームマンションの物件をメインにチェックするのがおすすめです。
築年数が古かったり立地条件が悪かったりするファミリータイプの少額投資物件を探すよりも、駅チカで人気エリアのワンルームマンションを狙った方が高いレバレッジ効果が期待できます。
中古物件を検討してみる
自己資金100万円で不動産投資をスタートする場合、新築だけでなく中古物件を検討してみるのも選択肢のひとつでしょう。同じエリアの類似物件で比較すると、新築よりも中古物件の方が安いのが一般的です。
できるだけ物件価格を抑えて不動産投資をスタートしたいなら、中古物件も視野に入れて探してみるのがおすすめです。中古物件でも立地条件が良ければ人気が高いため、安定して入居者を確保しやすいでしょう。
キャッシュフローを考えて物件を選ぶ
他の投資方法と同様に、不動産投資にもリスクがないとは限りません。100万円の自己資金で不動産投資を成功させたいなら、利回りやキャッシュフローを考えて物件を選ぶことが大切です。不動産におけるキャッシュフローとは、毎月得られる家賃収入と支出の差、つまり手元に残る利益を指します。
不動産投資をスタートする前にシミュレーションサイトなどを活用し、ローンの返済額に対してどれだけの収益が見込めるかを把握しておきましょう。
自己資金を抑えて不動産投資がしたいなら不動産会社へご相談を!
企業などに勤務している場合、得られる収入には限りがあるため「今のうちに、不動産投資で資産形成をしておきたい……」と考えている人もいるでしょう。不動産投資は自己資金が100万円からでもスタートできるため、始めやすい投資のひとつです。
できるだけ自己資金を抑えての不動産投資を検討しているなら、不動産投資に関する豊富な知識やノウハウを持ち合わせた不動産会社がおすすめです。
まとめ
不動産投資は少額からでもスタートできるため、それほど敷居が高くないといえるでしょう。不動産投資を成功に導くには知識を深め、キャッシュフローを考慮して物件を選ぶことが大切です。