不動産投資は株やFXと比較すると、大きく損をするリスクが少ない安定した投資先と言われることもあります。しかし、投資である以上、成功する場合もあれば失敗する可能性も考えられるでしょう。不動産投資の成功や失敗にはどのような実例があるのか気になる方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、不動産投資の成功例と失敗例についてご紹介します。実例を参考に実践的な知識を深められれば、より不動産投資で成功しやすくなるでしょう。
もくじ
不動産投資の3つの成功例
不動産投資に成功した事例をご紹介します。成功したケースはいずれも運や偶然ではなく、事前の目標設定と戦略が明確だったことが理由といえるでしょう。
【成功例その1】人気の立地で高い家賃収入を得られた
不動産投資の運用方法は、物件を貸し出して家賃収入を得る「インカムゲイン」を目的としていることが多いと言えます。株やFXはうまくいけば大きなリターンを得られる反面、常に市場の動きに目を光らせていなければいけません。また、失敗したときのリスクも大きいのが特徴でしょう。
インカムゲインを目的とした不動産投資は収入の変動が少ないため、安定して長期的な収益を目指すのに向いている手法です。
成功事例のオーナーは、老後資金のために中古ワンルームマンションに投資しました。年金対策を目的としていたことから資産価値の高い人気地区の物件を選び、直接売主から購入することで予算を抑えて安定した家賃収入源を得ることに成功しています。
【成功例その2】物件の売却差益を得た
収益悪化を見越して売却をし、差益を得ることができた成功事例です。保有する財産を売却することで得る差益を「キャピタルゲイン」といいます。物件の価値が上がらなければ収益が出ず、不動産価値や景気に影響を受ける不安定さはありますが、うまく時期を見極めて売却すれば大きな収益を得られる手法です。
この事例は物件を運用し始めて数年経ち、修繕積立金のアップが迫っていたためそのまま運用してもほとんど収益が出なくなる状態でした。周辺の情報を集めると、この物件がある土地は再開発の影響で価格が購入時よりも大幅に上がっており、物件を売却して約500万円の収益を得ることに成功しています。
不動産投資を行うときは、出口戦略である売却時の価値や売却のしやすさを視野に入れて購入することも大切です。退却時の被害を最小限に抑えるだけでなく、この事例のようにうまくいけば収益を得られることもあります。
【成功例その3】老後の住まいも得ることができた
この成功例は人気立地である恵比寿の物件を不動産業者から安く購入し、6万円の黒字を実現しました。物件を安く購入できたのは、築年数が経過した物件を安く紹介してもらえたのが大きな理由です。環境がよく人気の立地で借り手も付きやすく、安定した収入源を得ることに成功しました。
この物件のオーナーは、老後に自分が住む家にすることも想定して恵比寿の物件を購入しています。未婚だったオーナーは老後に不安を抱えており、終の住処に対する不安もありました。不動産投資で将来の収入源と老後に自分が住める家を手に入れたことで、安定した未来を手に入れたといえるでしょう。
老後の収入と住まいに関する不安は、現代を生きる人々の多くが感じている問題のひとつといえます。「東京の人気の立地に家をもっている」という事実は、今後精神的な支えになることも期待できるでしょう。
不動産投資の3つの失敗例
不動産投資で失敗するのはどのようなケースが多いのでしょうか。失敗には原因があるため、その原因を理解して成功に転換できるようにしましょう。3つの失敗例をもとに、リスク対策の重要性や失敗しないためのポイントを解説します。
【失敗例その1】家賃が下がって収益をきちんと得られなくなった
物件に入居者がいるうちは順調に家賃収入が得られますが、退去したあとにすぐに入居者が見つかるとは限りません。なかなか入居者が見つからない場合は、家賃を下げて入居者を募集しなければならないケースもあります。
家賃を下げて入居者を確保しても、それまでの空室期間が長いと想定していた利回りは得られなくなります。築年数が浅く駅から近いなど好条件の物件なら、退去者が出ても次の入居者は見つかりやすいですが、古く不便な立地の物件はすぐに次が見つかるとは限りません。
入居者がいても、築年数が古くなるにつれて家賃は下がっていくのが基本です。将来の家賃下落を見越して運用計画を立てることが求められます。
【失敗例その2】ランニングコストで収益を思うように得られなくなった
不動産を経営していくには、管理費や修繕積立金などの維持費がかかります。このランニングコストの見積もりが甘いと、収益を出すことは難しくなるでしょう。
ランニングコストを考えるにあたって重要なのは、家賃との割合です。例えば家賃75,000円で月当たりのランニングコスト9,000円のケースと、家賃57,000円で月当たりのランニングコスト8,000円のケースでは、表面的な数字では後者のほうがランニングコストは安く見えます。
しかし、割合計算すると前者は12%、後者は約14%となり実際の割合は前者のほうが低いことが分かります。家賃に対するランニングコストの割合が高いことは収益性が低いことを意味しており、ランニングコストは単純な金額ではなく割合での判断が必要です。特に修繕積立金は後に増額するリスクが高いため、あらかじめ増額を想定しておきましょう。
【失敗例その3】修繕やリフォームで莫大な費用がかかった
不動産投資は長期的な運用が前提の手法であり、運用計画も長期的な視点で考える必要があります。投資を始めた当初は必要なくても、時間が経つと修繕費用やリフォーム費用が必要になり、このような支出を見逃していると想定外の出費に慌てることになるでしょう。
このほかに、入居者退去時の設備入れ替え費用や経年劣化補修費用はオーナーが負担する必要があるため、どのような支出がどの程度のスパンで発生するのかを想定し、計画を立てる必要があります。これらのような突発的な支出が発生しても収益を維持できる物件を見つけましょう。
不動産投資に失敗してしまう主な原因
不動産投資には多額の金額が動くことが多いため、可能な限り失敗しないための立ち回りが大切です。失敗しないためには原因となるリスクを避ける必要があり、事前にリスクを把握しておくことで大きな損失を避けられるでしょう。
利回りだけで判断して購入する
失敗の主な原因の1つとして、物件を利回りだけで判断して購入してしまうパターンが挙げられます。数字上の利回りが良好だったとしても、入居者がいなければ家賃収入は0円になることを理解しておかなければなりません。空室リスクを考慮して投資しなければ、シミュレーション通りの利益は得られないでしょう。
物件の内容や周辺の環境をよく確認し、すぐに入居者が現れる魅力的な物件なのか判断する必要があります。インカムゲインを得る上で重要なのは、安定した収益を得られるかどうかです。物件の築年数や周辺の家賃相場も考慮し、需要がある物件なのかを慎重に判断しましょう。
1つの周辺施設に依存して購入する
「この物件に近くには大学があるから学生需要が途絶えないだろう」「便利な商業施設へのアクセスが良好だから需要が見込める」といったように、1つの施設を頼りに物件を購入すると、その施設がなくなったときのリスクが大きいと言えます。
学生需要を目当てに大学近くの物件を購入した場合、もしもその大学が移転してしまったら入居率は急激に下がることになるでしょう。大学そのものがなくならなくても、人気の学部が別のキャンパスに移転して人が減るという事態は実際に起こりうることです。
収益が出ないからといって売却しようにも、需要の減った物件では買い手がつかない可能性が高いでしょう。物件探しは何か1つに依存せず、総合的に判断することが大事です。
リスク対策をしない
不動産を経営していると、入居希望者が見つからない空室リスクや家賃滞納リスク、築年数が古くなることで起こる家賃下落リスクなど、さまざまなリスクが発生します。これらのリスクの対策を怠ると、思うように家賃収入を得られなくなったり、思わぬ出費で困ったりすることになるでしょう。
空室リスクは「3近(駅から近い、都心から近い、地価が高い)」の物件を選ぶ、家賃滞納リスクは家賃保証に加入することで対策が立てられます。家賃下落リスクも設備の入れ替えや建物の修繕で緩和は可能です。自分だけでは手に負えないと判断したときは、不動産投資会社や管理会社に相談することを心掛けましょう。
不動産投資で成功するための運用のポイント
不動産投資で成功するには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。重要なポイントを見逃していては、投資での成功は望めないでしょう。失敗の原因となる要素をできるだけ取り除き、成功率を上げる方法を模索することが大切です。
件が良い物件を購入する
物件を選ぶ時に意識するべき基準は、できる限り条件が良い物件を購入することです。なかでも立地は重要で、都心の駅から近い物件であれば設備が充実していない物件でも需要はありますが、どれだけ設備が充実している物件でも地方の山中にあっては入居者はなかなか見つからないでしょう。
賃貸需要は「購入するには高いが賃貸ならできる」場所に集まります。人口が多く地価が高い物件を扱うのが成功率を上げるためのポイントと言えるでしょう。
ほかには、築年数も需要に関わる大事なポイントです。物件の築年数によって受けられる融資が変わる場合もあるので、家賃の安定性も考慮して総合的に判断しましょう。
購入や売却のタイミングを考える
購入や売却の時期を慎重に検討することも大事です。物件の価格は一定ではなく、さまざまな影響を受けて変動します。できるだけ物件が安いときに購入し、高いときに売却するのが理想でしょう。
例を挙げると、2020年7月現在の不動産市場は値上がり傾向が続いている状態です。このような時は物件の購入は控えたほうがよく、売却に適している時期といえます。同じ物件でも購入価格によって利益には差が出るため、高騰が落ち着いてから購入したほうがよいでしょう。
しかし、市場が落ち着いているときには金融機関の融資条件が厳しくなるため、物件を購入しにくいというジレンマがあります。購入に適した時期に向けて、値上がり傾向にあるときは自己資金を貯めておくといった判断が重要です。
リスクヘッジを徹底して行う
不動産投資にどのようなリスクがあるのかを把握して、徹底したリスクヘッジを行いましょう。家賃滞納リスクや空室リスクのために管理会社に委託する、災害リスクのために火災保険に入っておくなど、不動産投資のリスク対策をしておくことでキャッシュフローの悪化を防げます。
各リスクに目を向けることも重要ですが、包括的に対処するために重要なのは信頼できる不動産投資会社や管理会社と取引をすることです。不動産に関するリスクは不動産のプロに任せるのがもっとも効率の良い方法といえるでしょう。
リスクヘッジにおいて、オーナー目線になって対応してくれ、実績のある事業者を見つけることも重要な対策のひとつです。
不動産投資を成功させるには、できる限り条件の良い物件を探し、徹底的にリスクを排除することが大切です。成功例と失敗例から原因を探し、自分の状況と照らし合わせて改善点を洗い出せれば、より成功に近づけるでしょう。