不動産投資は株や投資信託と違い、まとまった購入資金が必要なのが特徴です。そのため、多くの方が融資を利用しています。中には、自己資金に不安があって融資にも踏み込めない方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、不動産投資に必要な自己資金について解説します。具体的な内訳や自己資金ゼロでのリスクを理解すれば、最低限どの程度自己資金を用意すれば良いのか見えてくるでしょう。初期費用を抑えるコツや、資金を調達する具体的な方法も紹介します。
もくじ
不動産投資に必要となる自己資金や目安
投資用の不動産を購入する際は、仲介手数料をはじめとする諸費用がかかります。自己資金を用意するためには、不動産投資にはどのような諸費用があり総額いくらになるのかチェックしておきましょう。
頭金はたいがい物件価格の10%といわれていますので、諸費用と合わせれば何%の自己資金を用意すれば良いか見極められます。
自己資金として頭金や諸費用がかかる
投資物件をローンで購入する場合は、頭金と不動産取得の諸経費が自己資金として必要になります。諸経費は物件の価格や借り入れ額によっても変動しますので、見積もりをもらって資金計画を立てましょう。以下は、不動産投資の主な諸経費です。
- 不動産投資会社への仲介手数料
- 司法書士報酬
- 登録免許税
- 印紙税
- 金融機関への融資手数料
- 不動産取得税
- 火災保険料
- 地震保険料
- 固定資産税
上記の諸経費と頭金、物件価格が不動産投資での総額の内訳になります。投資契約する会社によって必要経費は異なりますので、目安として覚えておきましょう。
自己資金の目安は物件価格の20%〜30%が一般的
物件を購入する際の自己資金は「借入の頭金」+「諸費用」です。頭金は10%〜20%、諸費用は5%〜10%くらいが相場なので、合計すると20%〜30%の自己資金を用意しておけば良いことになります。諸費用は固定で定められているものから計算すると、必要な自己資金額がわかりやすいでしょう。
仲介手数料 | ・取引額200万円以下の場合:取引額の5%以内 ・取引額200万円以上400万円以下の場合:取引額の4%以内 ・取引額400万円以上の場合:取引額の3% |
---|---|
印紙税 | 不動産売買契約書に記載された金額によって異なる。 ・100万円以下の場合:200円 ・200万円以下の場合:400円 ・300万円以下の場合:1,000円 ・500万円以下の場合:2,000円 ・1,000万円以下の場合:10,000円 ・5,000万円以下の場合:20,000円 |
登録免許税 | ・新築物件の場合:評価額×0.4% ・中古物件の場合:評価額×2.0% |
不動産取得税 | 固定資産課税台帳に登録されている不動産価格×4% (※軽減措置により令和3年3月31日まで3%) |
消費税 | 10%(土地は非課税) |
これらの他、住宅ローンの手数料や火災保険が自己資金額を左右する費用となります。借入する金融機関や返済プランによって住宅ローンの手数料は大きく変わりますので、見極めが大切です。
自己資金ゼロでも不動産投資はできる
自己資金の用意が前提とされる不動産投資ですが、自己資金ゼロでも購入は可能です。購入する不動産を担保にすることで、全額融資が認められるケースもあります。ただし、それには不動産の資産価値が重要です。
「将来的に需要が高まる」といった見込みがある物件や、「空室が少ない」など返済が確約できる条件が融資には有利になります。
また、安定した収入源があること、大手企業に勤めていること、勤続年数が長いことなど社会的信用力も有効に活用すると良いでしょう。
自己資金なしで不動産投資をする3つのリスク
自己資金なしでの不動産投資は、初期費用の負担を和らげるために有益な方法です。しかし、資金面のみを重視してスタートすると思わぬ結果を招くかもしれません。
融資そのものの契約に関わるケースもあるため、自分にとって最適な選択肢を見極めましょう。自己資金なしで投資するリスクを、3つのポイントから解説します。
融資の審査に通りにくくなる
金融機関が融資の可否を判断するひとつが、自己資金の有無です。自己資金がない状態で融資を依頼しても、「返済能力がない」と認識される可能性があります。十分な資金を備えたケースに比べると、審査の難易度は高くなると考えましょう。
収入の属性が低い場合、融資を受けられるハードルはさらに高まります。自己資金の少なさが審査落ちに影響するのであれば、ある程度蓄えてから申請したほうが安心です。不動産の価値と返済能力のバランスを考慮しましょう。
金利上昇のリスクが高い
自己資金の有無を基準に考えると、自己資金0円でローンを組んだほうが借入額の合計も高くなります。このとき理解したいのが、金利が上昇するリスクです。借入額が大きくなるほど、最終的に加わる利息も増額します。
金利が上昇した場合、本来必要な購入費用よりも大幅なコストを要するかもしれません。キャッシュフローがマイナスになる可能性も高まります。将来的な予測が困難なため、金利上昇のリスクも想定しながらシミュレーションを重ねることが大切です。
返済の負担が大きい
初期費用を抑えることにこだわると、結果的に金銭的な負担が増幅する可能性があります。低金利の状況が続いても、借入額が多ければ最終の支払総額は大きくなるためです。月々の出費が増えると、キャッシュフローの悪化にも影響します。
「余剰資金がない」という理由で自己資金を減らしたい場合は、支出が増加するリスクも視野に入れましょう。ローン返済以外にも、修繕やリフォームなどの出費も考慮する必要があります。
不動産投資の初期費用を抑えるコツは?
自己資金に余裕がない方は、頭金・諸費用2つの面から節約を実践するのがおすすめです。全額融資にこだわるのではなく、ひとつひとつの項目にかかる費用を減らすよう意識しましょう。
依頼先によって価格が変動する諸費用は、大幅な減額につなげることも可能です。2つの項目に分けてそれぞれ詳しく解説します。
頭金を減らす
頭金を設定している場合は、最低ライン用意できる資金で打診してみましょう。少しでも初期投資できる資金があるのであれば、全額融資してもらうのではなく頭金を減らす方法がおすすめです。
全額融資は審査のハードルが上がるだけでなく、借り入れできる金額も減額になってしまいます。頭金を減らして希望額を融資してもらいましょう。
諸費用を見直す
諸費用は、購入価格の3%程度が目安とされています。3%を上回る場合、依頼先を見直すのもひとつの方法です。仲介手数料や司法書士報酬は、依頼先を変えることで大幅な減額が期待できます。
諸費用の価格は、法によって基準が定められているものではありません。事業者が自由に設定できるので、他の機関に相談する選択肢も考えておきましょう。
不動産投資に効果的な資金調達方法
効率的に資金を調達するためには、銀行の選定も重要な工程です。ファクタリングサービスを利用すると、より効率的な資金調達を実現できるでしょう。
初期費用として費やす金額も大切ですが、金融機関を選んだり便利なサービスを利用したりといった選択肢も視野に入れられると安心です。資金調達方法のコツを2つご紹介します。
自分に合った銀行を選ぶ
金融機関の選択肢に挙げられるのは、3つのパターンです。金利や審査のハードルに傾向があるため、以下の表を参考に特徴を押さえましょう。
地方銀行 | 都市銀行 | 信用金庫 | |
---|---|---|---|
融資の難易度 | 中間 | 高い | 低い |
金利 | 中間 | 低い | 比較的高い |
特徴 | ・地域密着型 ・銀行によって融資スタイルが異なる |
・全国に展開している ・長期借り入れができる |
・地域の社会的関係を重んじる ・融資の期間が長い ・不動産投資会社の仲介でスムーズに進みやすい |
不動産投資においては、「融資の難易度が低いこと」「長期借り入れができること」は外せないポイントです。将来的な運用益を考えると金利も考える必要があります。しかし、一番は信用力です。融資の審査が通るどうか不安な方は、不動産投資会社に相談してみましょう。
不動産投資会社の提携銀行であれば、不動産会社を通じて投資物件の実績が認められています。そのため、不動産投資目的の融資であれば融通が効きやすいのが特徴です。
ファクタリングを利用する
将来得られる収入を、前倒しで受け取れる方法が「ファクタリング」です。一般的な融資とは異なり、入居者を売掛先に設定して資金調達を行います。早急な資金調達が必要なシーンで有効な手段といえるでしょう。
ただし、別途手数料が発生するので注意が必要です。不動産によっては利用できないケースがあるため、ひとつの選択肢として認識しておきましょう。家賃収入が見込まれる状況において、金融機関から融資を受けられない場合に役立つシステムです。
まとめ
不動産投資を始める際には、頭金や手数料などの自己資金が必要です。自己資金なしで始めることもできますが、融資のハードルが上がったり返済負担が増えたりといった可能性も考慮しましょう。
返済シミュレーションを立てた上で、生活に合った金額を検討することが大切です。