不動産投資を始めるなら、前もって知っておきたいのが税金にまつわること。なぜなら不動産は、購入、維持、売却のすべてにわたって課税が付いてまわるからです。物件価格が高額なだけに、それにかかる税の額も相応に大きくなるので、ここを見落としてしまうと思わぬツケを払うことになるかもしれません。でも税金にまつわる十分な知識、理解があればそうした事態を回避することも可能なはずです。
このコラムでは、不動産投資に関連した税金の種類とその特徴について解説します。
もくじ
不動産投資と税金は“切っても切れない関係”
不動産投資と税金は、“切っても切れない関係”と言っていいほどです。たとえば購入時の印紙税、登録免許税、不動産取得税から始まって、維持にかかる固定資産税や都市計画税、不動産所得税、売却にかかる譲渡所得税などなど。これだけの種類の税金を相手にして、なおかつ利益を確保するには、やはり相応の知識が必要となります。
購入、維持、売却ごとにかかる税金の種類をよく知っておこう
では、不動産投資が初心者という方でもわかりやすいように、購入、維持、売却の各フェーズで発生する税の種類やその特徴を簡単にご説明しましょう。
「購入」フェーズ
印紙税(節税不可)
不動産購入の売買契約に伴う税で、契約書1通に対して課せられます。その額は売買契約書に記載された金額で異なってきます。たとえば、1,000万円超 5,000万円以下なら15,000円、5,000万円超 1億円以下では45,000円となっています。
登録免許税(節税不可)
購入した不動産が確かに自分のものであるという証明するためには不動産登記を行わなければなりませんが、登録免許税はこの際にかかる税です。なお、固定資産税評価額の1%に当たる額が課税されます。
不動産取得税(節税不可)
家や土地を購入するか家屋を建築した際に課される税。税額は下記の式で求められます。
- 土地:固定資産評価額の1/2×3%
- 建物:固定資産税評価額×3%
「維持」フェーズ
固定資産税、都市計画税(節税不可)
土地や建物など固定資産の価格から算定された税額を不動産が所在する市町村に納めます。なお、税額は下記の式で求められます。
- 固定資産税:固定資産評価額×1.4%
- 都市計画税:固定資産税評価額×0.3%
不動産所得税(節税可)
土地や建物など不動産を貸し付けることで得られる家賃・地代・権利金にかかる税。他の所得と合算して確定申告します。税率は5%から40%の6段階に区分されています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 | 40% | 2,796,000円 |
「売却」フェーズ
印紙税(節税不可)
購入時同様、売却時も売買契約書が必要となるため上記と同様の仕組みで課税されます。
登録免許税(節税不可)
売却に際して、金融機関から融資を受けて不動産購入時に設定された抵当権を抹消する必要があります。そのための登記にかかる税です。もちろん、自己資金などで購入した場合はこの限りではありません。
譲渡所得税(節税可)
手持ちの不動産を売却して譲渡所得が発生した場合に課される税。所得がマイナスの場合は課税対象となりません。売却益が出た場合にのみ納めます。なお、税率は不動産を売却した年の1月1日現在で所有期間が5年を超えている場合「長期譲渡所得」とそうでない場合「短期譲渡所得」で変わります。
- 短期譲渡所得: 所得税15%/住民税5%
- 長期譲渡所得: 所得税30%/住民税9%
不動産所得税と譲渡所得税は節税対策ができる
上記の表に示したように、いくつもの税目があるなかで、不動産所得税と譲渡所得税は節税対策が可能。ここをしっかり押さえておくことで、不動産投資でしっかり結果を出すことができます。なお、下記にそれぞれの節税対策を示しますのでご参考になさってください。
不動産取得税
不動産取得税の税額は下記の式で求められます。
上記の表から収入金額に対する税率、控除額が決まってくるので、あとは必要経費をどれだけ組み込むかで節税効果が左右されます。これを見てもわかるように、節税するにはいかに必要経費を計上するかが鍵。実際、固定資産税や都市計画税、火災保険や地震保険などの損保料、建物の修繕費や減価償却費などさまざまな経費が認められているので、それらを余すことなく申告するのがポイントです。
譲渡所得税
不動産取得税の課税対象となる譲渡所得額は下記の式で求められます。
したがって、こちらも不動産所得税の場合と同様、諸経費に当たる出費を余すことなく計上するのが節税効果を上げるうえで大切。なお、売却時にかかる経費として代表的なものには、仲介手数料や印紙税などがありますが、全体像を把握するのが難しいといった場合は「売却価格の5%」として計算してもよいことになっています。
まとめ
どうでしょうか。不動産投資にまつわる税の種類と節税対策についてなんとなくご理解いただけたでしょうか。節税についてはまた別の機会に改めて詳しく解説する予定ですので、とりあえず現段階ではこちらの内容をしっかり押さえておいてください。