諸外国に比べて日本には資産運用が浸透していない、とはよく言われることです。最近では、様々な形での運用方法が広まり、比較的資産運用を始めやすくはなっていますが、それでも運用が一般的とまでは言えない状況です。
なぜ日本人は資産運用をしないのか、なぜこれからの時代は資産運用をすることが必要であるのかについて考えてみましょう。
日本人は資産運用をしない?
まず、日本人の資産構成について、日本銀行調査統計局による「資金循環の日米欧比較」を見てみましょう。日本、米国、ユーロ圏の家計の金融資産構成を比較してみると、
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日本
現金・預貯金が約51パーセント、株式や投資信託などの投資が約16パーセント -
米国
現金・預貯金が約13パーセント、株式や投資信託などの投資が約52パーセント -
ユーロ圏
現金・預貯金が約33パーセント、株式や投資信託などの投資が約31パーセント
という結果になりました。ですが、保険・年金・定型保証などの比率は日米欧で大きな差はなく、おおむね30パーセント前後です。それではなぜ、日本人は資産を運用せず貯金に回してしまうのでしょうか。
戦後の好景気を経験している日本人にとって、バブルを経験するまで資産価値は放っておいても上がるものでした。そういった時代を経て、多くの資産を形成した今の高齢者層が資産運用に関心を持たないのも当然と言えばそうかもしれません。
高齢者層には、貯金すらせずタンス預金として手元で保管する人たちもいるほどです。目に見える現金に価値がある時代の人たちにとっては、資産運用など必要のないものであったかもしれません。
貯金ではなく資産運用をすべき理由
しかし、時代は様変わりしています。金利は低く、銀行に預けていても増えることを期待できません。国を挙げて経済成長を標榜していますが、生活実感としては給料も上がらずよくなる未来を想像することは難しいのではないでしょうか。
むしろ、派遣などの不安定な雇用形態の人が増え、年金も本当にもらえるのかどうか不安を抱いているような状況です。
銀行に預けておいても増えることはない、年金の支給年齢は上がり続けている一方、超高齢化社会で寿命は伸び続ける、そんな時代を賢く生き抜くためにはどうすればよいのでしょうか。
今、若い世代で資産運用を始める人が増えているのは、ここに理由があるのです。不安な将来を生き抜くためのパートナーとして資産運用が注目されているのです。大きく儲けて億万長者になりたいのではなく、結婚・出産といった将来のため、安心した老後を過ごすために、上手に資産運用をしていきたいという人が増えています。
まとめ
戦後からバブル景気、そしてその崩壊など激動の時代を経験した日本人にとって、資産運用は身近なものではありませんでした。空気を読む、協調性を重んじるという日本人の気質も影響している部分もあるでしょう。
しかし、終身雇用も当り前ではなくなっている現在、自分の生活・将来・老後を自分自身で守る必要があります。ライフプランに合わせて資産運用を考えていきましょう。