マンションの建て替えによる、キャピタルゲインを狙った投資が注目を集めています。しかし、実際には購入する物件の状況に大きく左右されるため、建て替えをすれば必ず儲かるわけではありません。
そこで本記事では、マンションの建て替えで儲かる仕組みや、取るべき投資戦略、注意点について詳しく解説します。
もくじ
マンションの建て替えで儲かる理由
マンションの建て替えには、一定の費用がかかります。しかし、かかる費用を超える利益を得られるのであれば、建て替えマンションは魅力的な投資先です。
まずは、マンションの建て替えでなぜ儲かるのかを、2つの視点で詳しく解説します。
新築物件としての価値が得られる
マンションの建て替えで儲かる最大の理由は、新築物件として評価されるためです。築年数が経過して価値が下落したマンションを購入して、建て替え後の評価額で売却することで利益を得られます。
また、新築マンションのニーズは高いため、賃貸として運用する際も高めの家賃設定が可能です。マンション経営の利回りは、購入価格に対する家賃収入で計算します。建て替え前に安く購入した物件を高く貸すことで、利回りの向上が見込めるのです。
建て替え費用を抑えられるケースもある
高額なマンションの建て替え費用ですが、実は区分所有者の負担が軽減されるケースもあります。建て替えを担う、デベロッパーが費用負担をする場合です。
「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」による容積率の緩和特例を利用できる物件であれば、建て替え後に現在よりも住戸数を増やせます。増加した戸数の販売で利益を得られるため、デベロッパーが建て替え費用を負担するのです。
建て替えで利益が見込める物件の選び方
マンションの建て替えによる利益を見込むには、物件選びが重要なポイントです。建て替え計画の有無や実現性、そして投資効果を慎重に見極めないと、利益どころか損失になりかねません。
建て替えで利益が見込める物件の選び方を詳しく見ていきましょう。
建て替え事業の計画が見込める物件
建て替え事業が具体的に計画されている物件を選ぶことで、利益を得やすくなります。マンションの建て替えには、区分所有者間の合意が必要です。すでに合意形成に至っている物件であれば、投資リスクを最小限に抑えられます。
また、計画はあるものの合意形成が取れていない場合は、所在や連絡先が不明な区分所有者の有無と人数を確認しましょう。条件が緩和されてきているとはいえ、建て替えには一定以上の所有者の同意が必要です。連絡のつかない所有者が多く、建て替えに必要な同意数に達しなければ、そもそも計画が進みません。
余剰容積率のある物件
余剰容積率のある物件を選ぶと、建て替え時の費用負担が軽減されるケースがあります。容積率とは、敷地面積に対する建築可能な延床面積の割合で、ゆとりがあれば建て替えで住戸数を増やすことが可能です。増えた住戸数の売却金額を、建て替え費用に当てられます。
また、増加する住戸をデベロッパーに引き渡すことで、建て替え費用がまったくかからないケースもあります。余剰容積率のある物件であれば、建て替えによる利益をより多く確保できる可能性が高まるのです。
人気地域にある物件
人気エリアにあるマンションであれば、建て替え後のさらなる価値上昇が期待できます。住宅需要が高いエリアでは、新築マンションに人気が集まるためです。
今後の人口増加も見込まれるため、状況に応じて柔軟な投資戦略をとれます。現在の価値で売却して利益を得るだけではなく、将来的な値上がりを見込んで家賃収入を得ながら運用することも、利益を最大化する有効な手段です。建て替えによる価値上昇を見込んでマンション投資をする際は、できるだけ人気が高い地域の物件を選びましょう。
建て替え前提で不動産投資をする際の注意点
マンションの建て替えを前提とした不動産投資は、大きなリターンが期待できる一方、いくつかのリスクも伴います。費用の負担や管理組合の協力体制、さらには建て替えが進まないといったさまざまなケースに備えておくことが重要です。
建て替え前提で不動産投資をする際に、注意すべき点を3つ紹介します。
費用負担を事前に確認しておく
マンションの建て替え時の費用負担は、収益性に大きく影響します。建て替え費用が、見込まれる利益を上回ってしまうと、損失の発生につながりかねません。建て替えの費用負担について、物件の購入前に確認しておきましょう。
また、費用の分担方法も確認しておくべきポイントです。専有部分の広さに応じた負担割合や、住戸ごとに特別な費用が発生する場合もあります。購入先の不動産会社に依頼して、可能な限り事前に情報収集をしておくことが大切です。
管理組合の状況を確認しておく
管理組合の運営状況についても、できるだけ事前に情報収集しておきましょう。マンションの建て替えには、区分所有者5分の4以上の賛成が必要です。管理組合が機能していない場合、建て替え計画の合意形成が難航するおそれがあります。
管理組合の議事録や過去の決議内容を確認し、建て替え事業が問題なく進むかどうかを見極めましょう。建て替え計画があっても管理組合で決議が取れないケースは少なくないため、慎重に判断することが大切です。
万が一建て替えられない場合も想定しておく
建て替えを前提に不動産投資する際には、万が一建て替えが実現しない場合のリスクも考慮しておくことが重要です。建て替え計画がすでにあっても、思うように進むとは限りません。区分所有者の合意形成や資金の問題といったさまざまな理由から、建て替え計画が頓挫してしまうケースもあります。
現状を維持した場合の利回りを想定して、建て替えられなかった場合の運用期間や売却タイミングもシミュレーションしておきましょう。また、許容できる損失額も試算し、想定外の状況になったら素早く売却の判断をしてください。
【まとめ】マンションの建て替えで儲けるためには情報収集が重要
マンションの建て替えで儲けるためには、あらゆる情報を可能な限り収集して投資判断をすることが大切です。建て替え計画の有無や実現性、費用負担、地域の将来性など、必要な情報は多岐にわたります。
ただし、投資判断に必要な情報を、すべて個人で集めることは不可能です。信頼のおける不動産会社に相談しながら、納得のいく投資先を探すことで成功確率が高まるでしょう。