所有する賃貸物件の管理をするには、オーナー自らが行う自主管理と、専門の管理会社に委託する方法があります。自主管理にはコストを抑えられるメリットがある反面、手間や専門知識が必要な点にデメリットを感じるオーナーも少なくありません。
本記事では、多岐にわたる管理業務をご紹介しつつ、自主管理のデメリットについて解説します。
もくじ
賃貸物件の管理方法はおもに3つ
賃貸物件を誰がどう管理するかは、不動産投資をする際に検討すべきポイントです。管理方法には、自主管理、管理会社に委託、その両方の3種類があります。
まずは、3つの管理方法の特徴を詳しく見ていきましょう。
オーナーがすべてを行う自主管理
自主管理とは、管理業務のすべてをオーナーが一人で行う方法です。オーナーが直接管理することで、物件や入居者の状況を正確に把握できます。また、管理会社に委託する際の費用がかからない点も自主管理の大きなメリットです。
ただし、賃貸物件の管理は、想像以上に手間がかかります。また、設備の故障やトラブル時には迅速な対応が必要です。特に副業で不動産経営をしている場合は、入居者の不満につながらないよう注意しましょう。
バランス型の一部委託
物件管理業務のうち、一部を不動産管理会社に委託する方法もあります。すべてを委託するのに比べて、管理手数料が安い点が大きなメリットです。また、家賃滞納者への督促業務や入居者同士のトラブルの仲裁といった、自主管理では難しい業務を任せることでオーナーの負担が軽減されます。
ただし、管理を分業にすると、責任範囲があいまいになりがちな点には注意が必要です。また、全体としてのコストはすべてを委託する場合に比べて低くなりますが、業務単位でみるとやや割高になるケースもあります。そして、管理業務の窓口がオーナーと管理会社の2箇所になるため、入居者が混乱しないように配慮することも大切です。
手間がかからない全部委託
管理業務のすべてを不動産管理会社に任せる全部委託であれば、オーナーの手間がほとんどかかりません。また、不動産管理会社は入居者募集や家賃滞納の交渉といった専門のノウハウがあるため、管理効率が高いことも全部委託の特徴です。
さらに、家賃滞納時や設備が故障した際に、保証を受けられるサービスもあります。収入の減少や想定外の支出があると投資計画そのものに影響するケースもあるため、保証をかけておけば安心です。
ただし、当然ですが、管理業務を委託するにあたっては費用がかかります。費用相場は一般的に家賃の5%前後のため、不動産投資計画の利回り計算に盛り込んでおきましょう。
多岐にわたる賃貸物件の具体的な管理業務
賃貸物件の管理業務は、物件管理・入居者管理・資金管理など多岐にわたります。賃貸経営を安定させていくには、管理業務をしっかりと行うことが大切です。
管理業務の具体的な内容を、それぞれ詳しく見ていきましょう。
入居者の募集
入居者の募集は、賃貸物件の収益をあげるために重要な業務です。入居者が決まらなければ、家賃収入は得られません。インターネットや折り込み広告で、入居希望者を募りましょう。
自主管理で募集する場合、やや苦戦するおそれがあります。広告には専門のノウハウが必要なうえ、不動産会社しか利用できないネットワークもあるためです。
入居者審査と契約
賃貸経営を安定させるために必要な業務が入居者審査です。入居希望者の職業や年収などを確認して、入居者として問題がないかどうかを審査します。審査で入居者を見極めておかないと、家賃滞納やトラブルにつながりかねません。
さらに、入居に際しての契約業務も、重要な管理業務です。重要事項の説明など、契約には法的な知識も必要となります。自主管理で契約書を作成する際には、不動産会社や法律の専門家から協力を仰ぎましょう。
初期費用や家賃の入金管理
賃貸管理では、お金の管理も重要な業務です。特に契約の締結時には、手付金や敷金、礼金といった大きなお金が動くため、正確な管理が求められます。また、敷金については収入ではなく預り金のため、契約解除をする際は借主への返還が必要です。
入居後は、家賃の入金管理が発生します。入金がされていれば、多少確認が遅れても問題ありませんが、未入金の場合には迅速な対応が必要です。
設備メンテナンスや故障への対応
設備の日常的なメンテナンスや故障時の対応は、入居者の快適な生活を維持するために大切な業務です。設備の状態を良好に保つには、日常的なメンテナンスが欠かせません。
万が一設備が故障した際には、修理業者の手配や工事日の調整が必要です。また、故障期間が長引くと入居者の不満につながるため、迅速な対応も求められます。故障はいつ発生するか予想できず、休日や夜間、早朝の対応が必要となるケースもあります。
クレームや家賃延滞などへの入居者対応
入居者からのクレームや家賃滞納者への対応は、賃貸物件の管理で避けては通れない業務です。隣人からの騒音や設備の不具合があると、オーナー側にクレームが寄せられるケースがあります。また、家賃を滞納している入居者に対しては、支払い交渉が必要となるかもしれません。
対応内容によっては法的な知識が求められ、専門家との連携も必要です。自主管理では難しい面もあるため、不動産管理会社への委託も検討しましょう。
清掃などの住環境維持管理
清掃などの住環境維持管理は、入居者の満足度を高めるだけではなく、物件の資産価値を保つためにも重要な業務です。清掃をまったく行わないと、共用部やゴミ収集場所は次第に汚れていきます。さらに、大きなゴミが残されていた場合、処分の手配も必要です。
清掃が行き届いている物件は、入居者を募集する際にも有利に働きます。一方で、快適な住環境が維持されていないと、現入居者の退去にもつながりかねません。収益を安定させるためにも、常に物件を清潔に保つことが大切です。
敷金精算やリフォームなどの退去時対応
賃貸借契約を解除して借主が退去する際には、敷金精算やリフォーム(原状回復)などの退去時対応業務が発生します。退去時はトラブルが発生するケースも少なくないため、契約内容に従って適切に対応することが重要です。
退去時には立ち会って、修繕箇所を退去者の方と納得のいくように確認しておきましょう。敷金の精算とリフォームを円滑に行い、次の入居者募集をスムーズに進められるよう業務を進めることが大切です。
自主管理のデメリット
賃貸物件を自主管理にすれば、管理費用を大幅に削減できます。しかし、多くのデメリットがあることも理解したうえで、管理方法を検討することが大切です。
自主管理のデメリットを詳しく見ていきましょう。
手間と時間がかかる
自主管理の大きなデメリットは、手間と時間がかかる点です。賃貸物件の管理業務は多岐にわたり、専門的な知識を必要とするものもあります。トラブルや設備の故障への対応など、業務によってはスピードも重要です。
また、賃貸の管理業務は、都合良く平日の昼間に発生するとは限りません。休日や夜間、早朝の対応が必要なケースもあるため、自主管理をすると本業やプライベートとの両立が困難となるおそれがあります。自主管理に踏み切る場合は、業務範囲をしっかりと把握したうえで検討しましょう。
専門知識やノウハウがないとリスクになる
賃貸物件の管理には、専門知識や経験に基づくノウハウも必要です。例えば、契約書の作成や家賃の督促時には法的な知識が求められます。ほかにも、設備や内装に関する知識がなければ業者と交渉できませんし、そもそも経営の知識がないと不動産投資そのものがうまくいきません。また、入居者の募集やトラブルの対応では、蓄積したノウハウがあったほうが効率良く結果を出せます。
特に、初めて不動産投資をする方は、自主管理をすること自体がリスクになりかねません。確実に管理できるだけの知識があるのか、周囲の協力を得られるのかを十分に検討してください。
安定した運用が困難
自主管理には、物件の安定した運用が難しくなるデメリットもあります。例えば、入居募集がうまくいかなければ、空室率があがって期待した利回りを実現できません。そのほか、内覧希望のスケジュールが合わない、設備故障への対応が遅くなるといったことも、空室や退去リスクを高めます。
さらに、清掃が行き届かなかったり、クレーム対応が遅れたりすると、物件全体が荒れた状態となってしまいます。入居率が下がるだけではなく、物件そのものの資産価値が低下するおそれがある点にも注意が必要です。
【まとめ】管理会社に委託することで物件の魅力を向上
自主管理はコスト面での魅力はあるものの、手間や時間がかかる点が大きなデメリットです。また、安定した不動産経営を実現するには、専門的な知識やノウハウも欠かせません。物件の魅力を高めるためにも、専門の不動産管理会社への委託を検討してみましょう。
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自主管理ではなく不動産管理会社への委託を検討している方は、ぜひ一度エステムプランニングにお問い合わせください。