不動産取得税は、不動産を取得した際に発生する税金の1つです。課税額が大きいだけに、いつ支払えばいいのか気になる方も多いでしょう。そこで今回は、不動産取得税の基本から支払い時期、税額を抑える方法まで詳しく解説します。
もくじ
不動産取得時に課せられる不動産取得税
不動産を取得すると、ほとんどの場合で不動産取得税が課せられます。支払い自体は通知書が届いてからで問題ありませんが、不動産を取得した際の申告には期限があるので注意が必要です。
計算方法や支払い期限、さらには遅延した場合のリスクまで、不動産取得税について詳しく解説します。
不動産取得税とは?
不動産取得税は地方税の一種で、不動産の所有権を取得した際、初年度にのみ課せられます。税率は、軽減措置や不動産の種類によって異なりますが、原則は固定資産税評価額の4%です。軽減措置については、社会情勢や景気によって毎年異なるため、国土交通省のホームページなどで確認してください。
また、不動産取得税は、物件を無償で譲り受けた場合にも課税されます。ただし、相続で取得した場合は非課税です。
不動産取得の申告は60日以内
不動産を取得したら、必ず60日以内に不動産取得税の申告をおこないましょう。(東京都の場合は30日以内)取得した不動産の所在地が所管する都道府県税事務所で申告します。
申告方法は2種類あり、直接税事務所へ行くか、時間が合わず難しい場合は郵送での申告も可能です。どちらの場合も、各都道府県のホームページからダウンロードできる「不動産取得申告(報告)書」に必要事項を記入して提出します。
支払いは通知書が届いたタイミング
不動産取得税の支払いタイミングは、「不動産取得税納税通知書」が届いてからおよそ1カ月です。不動産取得税納税通知書は、一般的には申告後3カ月から半年程度で手元に届きますが、1年程度待たされるケースもあります。
また、不動産取得税納税通知書が届く前には「不動産取得税のお知らせ」や「不動産取得税の申告について」といった郵便物が送られてきます。これらは、不動産取得税の申告時に発行された受付番号や、納税の対象となる不動産の内容が記載されている書類で、不動産取得税納税通知書ではないので注意しましょう。
不動産取得税の支払いが遅れたら
不動産取得税の支払いが遅れると、延滞金が課せられます。延滞金は、納税期日の翌日から2カ月以内が原則年7.3%です。2カ月を超えると、原則年14.6%にまで引き上がるので遅れないように支払いましょう。
たとえば、30万円の納税が3カ月遅れてしまうと、1万円以上の延滞金が発生します。また、督促に応じないままさらに延滞が続くと「差押予告書」が届き、最悪の場合は給与口座などの財産を差し押さえられます。支払いが困難な場合は、できるだけ早めに自治体の納税課に相談してください。
不動産取得税は安くなるケースがある
不動産取得税は、取得した不動産の内容によっては減税や免税といった措置を受けられる場合があります。制度を利用する際は、不動産取得申告書と併せて必要書類を提出しましょう。
不動産取得税が安くなるケースや、お得に支払う方法について具体的にご紹介します。
住宅を取得する際は特例で税率が異なる
取得した不動産が特例の対象となる場合、納税額を抑えられます。不動産取得税の税額は、固定資産評価額に対して原則4%ですが、2024年3月31日までに取得した住宅に関しては、特例として税率が3%に引き下げられます。
この特例措置は、費用負担を軽減し、住宅を取得しやすくするためのものです。マイホーム以外に、老人ホームや別荘、投資用マンションも特例の対象となります。
減免措置を併用する
住宅の不動産取得税は、特例税率に加えて、課税基準額から一定額を控除する減免措置も講じられています。たとえば、新築物件の控除額は1,200万円です。固定資産評価額から1,200万円を引いた金額に、さらに特例税率3%を掛けて算出します。中古住宅の場合は、築年数ごとに控除額が定められているので、詳しくは国土交通省のホームページを確認してください。
ただし、減税措置が適用されるのは、建物の課税床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下(戸建以外のアパート・マンションなどの貸家住宅は1戸当たり40平方メートル以上240平方メートル以下)の場合に限られます。
なお、土地(宅地)の不動産取得税については計算方法がやや複雑で、計算式は以下のとおりです。
不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)- 控除額(下記AかBの多い金額)×(課税床面積×2 [200平方メートルが限度])×3%
- A 4万5,000円
- B 土地1平方メートル当たりの固定資産税評価額×1/2
減税措置を受けるための詳しい要件や申請方法については、各都道府県のホームページか県税事務所で確認できます。
非課税になる条件
不動産の種類や取得理由によっては、不動産取得税が非課税となります。非課税になる条件は以下の5つです。
- 不動産を相続する場合(ただし、不動産相続税はかかります)
- 学校法人や宗教法人が本来の事業用として不動産を取得した場合
- 取得した土地が公衆用道路となる場合
- 区画整理のため換地として与えられた土地の場合
- 法人用地の分割によって土地を取得した場合
また、不動産の固定資産評価額の金額によっては減免措置も含めた計算の結果、課税されないケースもあります。
- 建物の固定資産評価額が1,200万円以下だった場合(減免措置の1,200万円差し引くと課税額が0円以下になるため)
- 建物(新築)の固定資産評価額が23万円以下(中古の場合は12万円以下)、固定資産評価額 が10万円以下の土地の場合(都道府県による)
不動産取得税の支払いがない場合、不動産取得税納税通知書は届きません。納税が不要のため通知書が届かないのか、問題があるから届かないのかを判断できない場合は、都道府県もしくは県税事務所に確認してみましょう。
現金以外の決済方法で不動産取得税を支払う
不動産取得税は、現金以外にペイジーやクレジットカード、電子マネーやスマートフォンの決済アプリなどでも支払えます。
とくに、クレジットカードや電子マネー、決済アプリの場合、支払い金額に応じてポイントが付与されるサービスを活用するといいでしょう。税額を抑えられなくても、ポイント付与によって実質的な値引きを受けることが可能です。
ただし、税金の支払いで各種サービスを利用する場合、通常の買い物とはポイントの付与条件が異なる場合もあるので事前に確認しておきましょう。
【まとめ】不動産取得税は内容を通知書が届いたらすぐに支払うのがおすすめ
不動産を取得した際に発生する不動産取得税は、相続など一部の例外を除き、ほとんどの場合に発生します。納付期限は「不動産取得税納税通知書」が届いてからおおむね1カ月以内です。支払いを忘れると延滞金が発生するおそれがあるので、通知書が届き次第すぐに支払うことをおすすめします。
不動産取得税納税通知書が届くまでの期間は、3カ月〜最長で1年と幅があります。スムーズに納税できるよう、事前に税額を計算して支払い資金を準備しておきましょう。また、不動産取得税には特例や減免措置が講じられていることもあるので、不動産取得時には必ず自治体などに確認することも大切です。