不動産クラウドファンディングは、インターネットを利用して投資家から資金を集め、不動産の取得や運営をおこない、その不動産から得られる売却益や家賃収入を投資家に分配する方法です。1万円程度から始められ、インターネット上で簡単に申し込める手軽さから多くの注目を集めています。
一方で、「不動産クラウドファンディングは儲からない」という声があるのも事実です。そこで、不動産クラウドファンディングが儲からないと言われる理由やメリットについて、不動産投資初心者にもわかりやすく解説します。
もくじ
不動産クラウドファンディングが儲からないと言われる理由
不動産クラウドファンディングは、個人投資家が少額から不動産投資に参加できる投資方法として注目されています。しかし、不動産クラウドファンディングの収益は、不動産の賃料や売却益に依存するため、短期間での大きな収益は期待できないと言われています。
不動産クラウドファンディングが儲からないと言われる理由についてみていきましょう。
元本保証がない
不動産クラウドファンディングが儲からないと言われる理由の1つは、元本保証がないためです。不動産価格の暴落や空室による家賃収入減があると、計画通りの配当を受け取れないばかりか、出資元本が戻ってこないリスクもあります。
一方、元本保証がないのは、不動産クラウドファンディングだけではありません。「投資」の多くに元本保証はないので、安定性や収益性によって投資判断をおこなうことになります。
短期間で収益が出にくい
不動産クラウドファンディングは、株式投資のように短期的な収益を得るのには向いていません。不動産クラウドファンディングの主な収益源は賃料であり、基本的には通常の不動産投資と変わらないためです。不動産購入に使用した投資額を、毎月の家賃で少しずつ回収していきます。
一方で、値動きが小さく安定した収益を得やすい点は、不動産クラウドファンディングの大きなメリットです。
想定外のリスクがある
不動産投資には、地震や台風といった自然災害、火事による損傷など想定外のリスクがつきものです。不可抗力による損害は、運営会社の実績などの事前情報からは予想しにくい点に注意しましょう。
ただし、不動産クラウドファンディングでは、投資先物件の情報が開示されています。過去の自然災害の発生状況や、自治体が発表するハザードマップなどを参考に、できるだけリスクの少ない物件を選ぶことは可能です。
手数料がかかる
不動産クラウドファンディングの取引には、一定の手数料がかかります。特に手数料がかかる場面は、取引口座への入金時です。通常の不動産投資のように一括払いで物件を取得するのではなく、毎月少額ずつの入金になるため、わずかな手数料でも利益を大きく損ないかねません。
ただし、利用する不動産クラウドファンディングによっては、国内の銀行と提携していて手数料がかからないケースもあります。手数料については簡単に調べられるので、事前に確認しておきましょう。
また、不動産クラウドファンディングは、原則として途中解約や譲渡ができません。運営会社によっては途中解約や譲渡ができるケースもありますが、解約手数料が出資額を上回ることもあるので注意しましょう。
不動産クラウドファンディングのメリット
不動産クラウドファンディングは、初心者でも参入しやすい投資方法です。また、通常の不動産投資にはないメリットもあります。
不動産クラウドファンディングのメリットについて、3つの観点でみていきましょう。
少額で不動産投資を始められる
不動産クラウドファンディングは、月額1万円前後という少額から不動産投資ができる点が大きなメリットです。現物を1人で購入する不動産投資では多額の資金が必要なことから、興味があっても踏み切れない方は多いでしょう。不動産クラウドファンディングであれば、物件の購入費用を複数の投資家で分散するため、1人当たりの負担を抑えられます。
一方で、物件を選んで家賃収入を得るという意味では、通常の不動産投資と利益を得る仕組みは同様です。不動産クラウドファンディングは、不動産投資に興味はあっても参入ハードルが高いと感じている方にも向いています。
物件管理の手間がかからない
不動産クラウドファンディングでは、投資先物件の管理はすべて運営会社がおこないます。通常の不動産投資のように、入居者募集やメンテナンス、それらを請け負う管理会社の選定は不要です。
不動産投資のデメリットの1つでもある、物件管理の手間がないことから本業が忙しい方でも手軽に始められます。
リスクを分散できる
不動産クラウドファンディングは少額から投資できるので、不動産投資にもかかわらず無理なくリスク分散できる投資方法です。複数の案件に分散して投資すれば、市場変化による不動産価値低下や自然災害時のリスクを分散できます。
分散投資をする際は、条件の異なる物件に投資することが重要です。違う地域の物件に投資すれば、自然災害に対するリスクヘッジになります。住宅と商業施設といった種類の異なる物件であれば、経済状況の変化を受けにくくなるでしょう。また、複数の運用会社の物件に投資することも、リスク分散の方法として有効です。不動産クラウドファンディングの大きなリスクの1つである、運営会社の経営破綻に備えられます。
不動産クラウドファンディングを成功させるためのポイント
不動産クラウドファンディングは投資の一種である以上、リスクをゼロにすることはできません。しかし、いくつかのポイントに気をつけることで、投資の成功確率を上げることは可能です。
プロジェクト選定の仕方や運営会社の実績など、不動産クラウドファンディングを成功させるためのチェックポイントをご紹介します。
慎重にプロジェクトを選定する
不動産クラウドファンディングの成否は、プロジェクト選定にかかっていると言っても過言ではありません。運営会社が開示する情報を確認して、将来性やリスクを十分に検討しましょう。
また、開示されている情報そのものが、投資判断に不足していていないかも選定ポイントです。物件の築年数、施工会社、立地、物件の事業内容、収支シミュレーションなどの情報を多く開示している運営会社をおすすめします。
運営会社という点では、物件を自社開発しているかどうかにも注目してみましょう。自社開発の場合、利回りが良く、資産価値の低下を防ぐ戦略を立てて建築している傾向があります。
元本割れ履歴にチェック
元本割れのリスクは、あらゆる投資において避けられません。しかし、できるだけリスクを抑えるために、運営会社の過去の履歴を必ずチェックしておきましょう。仮に元本割れの履歴がある運営会社を選ぶ場合、理由が納得できる内容かどうかを事前に確認することが重要です。
また、元本割れがなくとも、運用益が当初計画を下回るケースの多い運営会社には注意しましょう。不動産クラウドファンディングは、出資者利益が優先される仕組みです。しかし、それでも運用益が低くなる場合は、運営になんらかの問題を抱えているおそれがあります。
投資期間を確認
不動産クラウドファンディングに投資する際は、事前に投資期間を確認しましょう。一般的に不動産クラウドファンディングには、一定の運用期間が設けられています。定められた運用期間よりも早く投資を中止する場合には、元本を上回る解約手数料がかかることもあるので注意が必要です。
不動産クラウドファンディングに投資した資金は、運用期間中には動かせない前提で投資計画を立てましょう。また、万が一解約せざるを得ない状況に備えて、事前に解約条件や手数料について確認しておくことをおすすめします。
【まとめ】リスク管理をすれば不動産クラウドファンディングは儲かる
「儲からない」という声も聞かれる不動産クラウドファンディングですが、さまざまな投資方法と同様に、きちんとリスク管理をすれば収益は上げられます。ただし、自然災害や空室といったほかの投資方法にはないリスクもあるので、投資先物件について事前にしっかりと検討することが重要です。
不動産クラウドファンディングは少額から投資でき、投資初心者でも手軽に始められます。一方で、収益の上がる仕組みは通常の不動産投資と同様のため、本格的に不動産投資を始めたい方にもおすすめです。
値動きが少なく、比較的安定した投資方法として注目されている不動産クラウドファンディング。メリットとデメリットを十分に理解して、資産形成に活用してくださいね。