賃貸併用住宅は、マイホームと不動産投資を同時に叶える効率的な土地活用方法です。一方で、賃貸併用住宅を建てた人からは、後悔したという声も多数聞かれます。賃貸併用住宅は本当に後悔するのか、メリットはないのか気になるところです。
そこで、賃貸併用住宅のメリット・デメリットを、後悔や失敗しないためのポイントも含めて詳しく解説します。
もくじ
賃貸併用住宅のオーナーからよく聞く後悔
賃貸併用住宅は、賃貸入居者と同じ建物に物件オーナーも居住する点が一般的な賃貸物件と大きく異なります。オーナーの住居と賃貸物件を両立できる便利な住宅ですが、実は賃貸併用住宅を建てて後悔したという声も少なくありません。
賃貸併用住宅で後悔しがちなことを、賃貸併用住宅の基礎知識も含めてご紹介します。
賃貸併用住宅とは?
賃貸併用住宅とは、オーナーが居住する戸建て住宅に賃貸物件も併設した建物です。例えば、1階部分を自宅居住用のスペースにして、2階部分を賃貸住宅として貸し出します。
賃貸住宅として貸し出して家賃収入を得るという意味では、少し変わった不動産投資物件の形です。自宅に住みながら、毎月の家賃収入を得られます。まとまった土地がある場合の活用方法として、賃貸併用住宅は有効な手段の一つです。
オーナーのプライバシーを確保しにくい
賃貸併用住宅で後悔したポイントとしてもっとも多いのは、オーナーのプライバシーを確保しにくいことです。間取りにもよりますが、自宅の敷地内を常に賃貸居住者が行き交うため、落ち着かないと感じる方が多いようです。庭で洗濯物を干す際や外出時など、生活が入居者の目にどうしても触れてしまいます。
また、入居者の迷惑にならないように気を使ったり、逆に入居者の騒音が気になったりするケースも少なくありません。賃貸併用住宅を建てるのであれば、ある程度割り切ることが必要です。
一方で、入居者の行動にオーナーの目が届く点は、賃貸併用住宅のメリットでもあります。オーナーが一緒に住んでいることから、入居者はゴミ捨てや設備の破壊、騒音といった迷惑行為をしにくいものです。治安が保たれていれば、物件価値を維持しやすくなります。
設計上の制約が大きい
賃貸部分のスペースが必要となるため、オーナーの住居部分の設計に制約が出てしまうことも、賃貸併用住宅で後悔しやすいポイントです。また、賃貸物件数を確保しつつ住宅部分を広げると、結果的に建物全体が大きくなって費用がかさんでしまいます。
賃貸併用住宅を建てる際は、ノウハウのあるハウスメーカーに相談することをおすすめします。生活の基盤となる、住居の快適性は重要です。制約のあるなかでも、できるだけ希望通りの間取りに近づけるよう、綿密に打ち合わせをしましょう。
入居者から直接クレームがくる
賃貸併用住宅は賃貸入居者とオーナーの距離が近いため、クレームを直接言われることもあります。一般的な賃貸物件であれば、クレームは不動産会社や管理会社を通じて伝えられ、入居者と直接やり取りするケースはほとんどありません。クレームを言われた際のちょっとした言葉の行き違いで、トラブルに発展するおそれもあるため注意してください。
入居前の審査をしっかりと行うことで、ある程度トラブルは防げます。また、トラブルに発展しそうな場合は、不動産会社などの第三者を入れて協議しましょう。
売却先を見つけにくい
賃貸併用住宅はオーナーも入居することが前提であるため、売却先が限られてしまいます。すでに自宅を確保している投資家にとっては住宅部分が余分になることから、賃貸併用住宅は投資効率の悪い物件です。
ただし、自宅も兼ねる賃貸併用住宅は、建築時にあまり売却することは考えません。転売によるキャピタルゲインも狙うのであれば、賃貸併用住宅ではなく一般的な賃貸物件の建設をおすすめします。
賃貸併用住宅はメリットも大きい
賃貸併用住宅を建てて後悔する声がある一方、実はメリットもたくさんあります。特に、住宅ローンを利用できる点は、不動産投資ローンよりもさまざまな面で有利です。
賃貸併用住宅のメリット3点を、詳しくみていきましょう。
住宅ローンを利用できる
賃貸併用住宅を建てる際は、一定の条件を満たせば住宅ローンを利用できます。通常、賃貸アパートのような収益のある物件を建てる際に利用できるのは、住宅ローンではなく不動産投資用のローンです。不動産投資用のローンは、住宅ローンに比べて金利が高く、融資期間も短いデメリットがあります。
また、住宅部分については住宅ローン減税を受けられる点も、賃貸併用住宅の大きなメリットです。ただし、住宅ローンの利用には住宅部分の床面積など細かい要件が定められているため、設計前に不動産業者とよく相談しておきましょう。
家賃収入を自宅のローンをまかなえる
賃貸併用住宅であれば、家賃収入を住宅ローンの支払いに充てられます。賃貸戸数や収益性をうまく調整すれば、住宅ローン全額を家賃収入でまかなうことも可能です。見かけ上家賃収入は手元に残りませんが、自己資金を使うことなく自宅が手に入ります。
ローン完済後は家賃がそのまま副収入となります。本業のリタイヤ後も、安定した生活が期待できるでしょう。また、万が一空室が出ても、自宅の一部なので実質的な損失は発生しません。
総額を抑えた不動産投資ができる
賃貸併用物件をトータル費用で考えると、不動産投資としてはかなりお得です。不動産投資用に物件を取得すると、当然自宅として使用する物件が別途必要になります。しかし、賃貸併用物件は自宅も兼ねているため、多くの場合、個別に物件を取得するよりも費用がかかりません。
住居スペースがあるため、物件全体にかかる費用に対して絶対的な収益性を高めることは困難です。しかし、基礎部分や外壁、水道や電気、ガスといったインフラを共用化できる分、賃貸部分だけを比較すると初期投資を抑えられます。
賃貸併用住宅で後悔しないためのポイント
完成後の生活を事前に十分検討しておかないと、賃貸併用住宅を建てて後悔しかねません。一方で、賃貸併用住宅にはメリットも多くあるため、不動産投資の選択肢には入れておきたいところです。
そこで、賃貸併用住宅を建てても、後悔しないためのポイントをご紹介します。
間取りや防音対策をよく検討する
賃貸併用住宅を建てる際は、設計段階からオーナーのプライバシーに配慮した間取りや生活動線にすることが大切です。賃貸部分と住居部分を階層で分けるのかエリアで分けるのかといった基本的なことから、オーナー居室の直上や真横の間取りといった細かいことまで、納得のいくまで設計を検討しましょう。
また、出入り口から玄関まで、洗濯物を干す場所など生活動線も事前に十分検討する必要があります。さらに、騒音とまではいかなくとも、生活音はオーナーと入居者の双方が気になるものです。建物全体の防音対策も事前に講じておきましょう。
収支シミュレーションを正確にする
初期投資額を抑えられ、住宅ローンも利用できる賃貸併用住宅は、費用面で有利な不動産投資方法の一つです。しかし、住居スペースを確保するため賃貸物件の戸数に制約があり、収益性は犠牲となってしまいます。投資目的にあった利回りを得られるか、ローンを無理なく返済できるかといった視点で、事前にしっかりと収支シミュレーションを行っておきましょう。
また、通常の不動産投資とは異なり、住宅部分のコストも含まれるため、単純な家賃収入の収支だけでは正しい計算はできません。自身の住居費用も踏まえて、トータルで計算することが大切です。
賃貸併用住宅に詳しい不動産会社を選ぶ
賃貸併用住宅に詳しい不動産会社をパートナーに選ぶことも、後悔しないために重要なポイントです。賃貸併用住宅は住居の間取りや収支計算などが特殊なため、ノウハウのない会社に依頼すると失敗につながりかねません。過去の実績や口コミを参考に、信頼できる不動産会社を見つけてください。
また、賃貸併用住宅の経験が豊富な不動産会社であれば、後悔するポイントを事前に聞くこともできます。最終的な判断を正しくするためにも、正しい情報を提供してくれるパートナーを選びましょう。
【まとめ】賃貸併用住宅で後悔しないためにはデメリットとメリットを事前に検討する
賃貸併用住宅を建てたものの、後悔したという人がいるのは事実です。しかし、デメリットを正確に把握して、事前にしっかりと検討することで失敗を防げるケースは多々あります。
さらに、賃貸併用住宅には、一般的な不動産投資物件にはないメリットが多くあることも見逃せません。特に住宅ローンを利用できる点や、初期投資を抑えられる点は、副業として不動産投資を始める人にとっては大きな魅力です。
後悔するポイントを十分に理解したうえで、効率の良い土地活用方法である賃貸併用住宅を検討してみてください。