都市計画税は、土地や建物といった不動産を所有するとかかってくる税金の一つです。不動産投資をするうえで税金は利回りに影響してくるため、物件購入前に課税額をしっかりと把握しておく必要があります。ただし、固定資産税とは違って、都市計画税はすべての不動産に課せられるわけではありません。
今回は、都市計画税について、基本的な仕組みから具体的な計算方法まで詳しく解説します。これから不動産投資を始める初心者の方は、投資判断をする際に都市計画税も忘れないようにしてください。
もくじ
都市計画税にはエリアと条件がある
不動産を所有している人が納める都市計画税ですが、すべての不動産が課税対象となるわけではありません。一定の条件で指定されている地域にのみ課税されます。都市計画税の対象地域かどうかは、自治体への確認が必要です。
まずは都市計画税とはどのような税金なのかを、固定資産税との違いも含めて解説します。
都市計画税とは?
都市計画税とは、都市計画事業や土地区画整理事業を行うために自治体が徴収する地方税です。街路樹や公園、下水道設備といった暮らしにかかわる施設や住宅地など、地域の発展を目指す事業に使われます。
また、都市計画税は固定資産税と同様に、毎年納付が必要となる税金です。不動産投資をする際には、ほかの税金や経費のように利益から差し引いて計算しておかないと、利回りに影響してしまいます。
課税対象者と市街区域
都市計画税が課税される地域は、「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と都市計画法で定義される「市街化区域」です。市街化区域に土地や建物を所有している場合にのみ、都市計画税が課税されます。
課税対象者は、1月1日時点で対象の不動産を所有している人です。仮に年度の途中で不動産を売却した場合でも、その年の1月1日時点で所有していれば納税義務が発生する点に注意してください。購入を考えている不動産が都市計画税の対象エリアかどうかわからない場合は、自治体に問い合わせましょう。
固定資産税との違い
都市計画税と固定資産税の大きな違いは、課税対象の区域が限られている点です。固定資産税は、固定資産税評価額が低すぎる場合を除いて、原則すべての不動産所有者に課税されます。一方、都市計画税が課税されるのは「市街化区域」に不動産を所有している場合のみです。
また、都市計画税と固定資産税は、税額を算出する際に適用する税率も異なります。ただし、計算する際の基準となる評価額はどちらも同じです。
都市計画税の具体的な計算方法
税金の計算は複雑なイメージがありますが、都市計画税は比較的簡単に算出できます。都市計画税の対象地域の不動産を取得する際は、維持費を把握するためにも事前に税額を計算しておきましょう。
条件によっては軽減される場合もある都市計画税の計算方法について、利用する評価額や計算式などを詳しく解説します。
固定資産税評価額が基準
都市計画税を算出する基準は、固定資産税の算出にも利用する固定資産税評価額です。固定資産税評価額は、固定資産評価基準に基づいて各自治体が決定します。
一般的に、固定資産税評価額は実際の取引価格よりも安く設定されます。土地は時価の70%、建物であれば建築費用の50〜70%程度です。また、地価の変動や経年減点補正率を反映して、3年ごとに見直されます。
都市計画税の計算式
都市計画税の計算式は「固定資産評価額× 税率0.3%」です。税率は自治体が決定できるものの、制限税率によって上限が0.3%と定められているため、多くの自治体が0.3%と定めています。例えば、固定資産評価額が500万円の土地の都市計画税は、500万円× 0.3%の1万5千円です。
一方で、福井市や多摩市、栃木市など税率を0.2%に設定している自治体もあります。正しい税率は、不動産のある地域の自治体に確認しましょう。
都市計画税は軽減される場合もある
都市計画税は、住宅用地の場合には軽減されます。軽減の適用にあたり、特に申請などの手続きは必要ありません。ただし、軽減額は建物によって変わるため、事前に確認しておきましょう。軽減の条件と範囲は以下のとおりです。
■ 専用住宅などの一般住宅用地
200平方メートルを超えた部分に対する固定資産評価額の2/3
■ 賃貸マンションなど小規模住宅用地
住宅1戸につき200平方メートル以下の部分に対する固定資産評価額の1/3
例えば、固定資産税評価額3,000万円で、戸建ての敷地面積が150平方メートルの土地の都市計画税は以下のとおりです。
都市計画税の支払い方法
持っている土地や住宅の場所によって、課税対象者が異なる都市計画税。
一般的に、市街地にある土地や住宅が自分の名義であれば都市計画税が課税されますが、その金額がどれくらいなのか気になりますよね。納めるべき都市計画税の金額を確認したいときは、固定資産税の納税通知書で手早く確認できます。
都市計画税は固定資産税と合わせて通知
都市計画税の納税通知書は、固定資産税と合わせて毎年4月の上旬に届きます。納付書に記載されている税額は固定資産税と合算されており、都市計画税だけを個別に支払うことはできません。納税通知書には、固定資産税評価額も記載されているため確認しておきましょう。
都市計画税の支払いができる場所は、各金融機関やコンビニ、郵便局、納付書を発行した役場の窓口です。自治体によっては、クレジットカードや電子マネーでの支払いが可能な場合もあります。
都市計画税は分納も可能
都市計画税と合算された固定資産税は、第1期から第4期に分けて支払うことも可能です。納税通知書には、一括払いと4期分の計5枚の納付書が同封されています。一括または分納の納付書を使用して、期日までに支払いましょう。
なお、一括でも分納でも納税額は変わりません。ただし、万が一期限までに支払わなかった場合は、遅延金が発生するケースもあるため注意が必要です。遅延金は、最初の1カ月は2.4%、次の1カ月からは8.7%が課せられます。
【まとめ】不動産を取得する際は都市計画税についても調べておく
不動産を取得すると、不動産取得税や登録税などさまざまな税金が課せられます。特に不動産投資をする際は、費用を把握して正しく利回りを計算する必要があるため、都市計画税も忘れずに確認しておきましょう。都市計画税は、固定資産税と同様に毎年課税され、物件の収益性に影響を与えます。
ただし、都市計画税はすべての不動産で支払いが必要なわけではありません。自治体が定める市街化区域内のみ課税されます。都市計画税が必要かどうかは、市区町村役場に確認してください。また、住宅用地の場合は減免措置もあるため、固定資産税とともに十分な確認が必要です。