不動産を売却する際には、価格を最大化して短期間でスムーズに取引を完了させたいものです。しかし、不動産取引をする機会はあまりないため「前回の反省を活かす」といったことはできません。一度の取引で、より有利な条件を引き出すことが大切です。
そこで今回は、不動産の売却を成功させるコツを、さらに詳しいポイントに分解して解説します。
もくじ
もっとも重要な不動産会社選びのコツ
不動産の売却を成功させるためには、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。買主を個人で見つけるのは困難なため、一般的には不動産会社に仲介を依頼して売買取引を進めます。一方で、普段取引をしない方にとっては、どの不動産会社を選ぶべきなのかわかりません。
そこで、不動産会社を選ぶ際のコツを3点解説します。
複数の不動産会社に査定をしてもらう
どこに売却を任せるのかを決定する前に、まずは物件の査定を複数社に依頼することが不動産会社選びの第一歩です。不動産会社の方針や、得意分野によって査定額は異なります。売却予定の物件の販売が得意な不動産会社を、査定額から見極めることが可能です。
また、複数社に見積もりを取れば、客観的な物件の価値を把握できます。市場に対して適正な売却価格をつけるためにも、物件の査定は幅広く依頼しましょう。ただし、あまりに多くの不動産会社に依頼すると、やり取りに手間がかかるばかりか、各社が本気で取り組んでくれないおそれもあります。
類似物件の実績を確認する
売却予定と類似した物件の取り扱い実績も、不動産会社を選ぶうえで重要なポイントです。候補となる不動産会社の取り扱う販売物件をみれば、ある程度実績がわかります。さらに気になる場合には、過去の類似物件の取引実績を担当者に直接確認することも有効です。
類似物件の取り扱いに慣れていれば、スムーズな取引が期待できます。また、多くの顧客を抱えている不動産会社は、買主を幅広く探すことが可能です。
営業担当者の経験やスキルも売却の行方を左右
不動産の売却を成功させるためには、営業担当者の経験やスキルも重要です。売主とのやり取りはもちろん、買主候補との交渉にもあたる営業担当者の経験や対応力は、売却の行方を大きく左右します。いくら理想の不動産会社が見つかっても、営業担当者に対して不満があるとスムーズな取引ができません。
どうしても納得のいかない場合は、契約後であっても担当者の変更を相談してみましょう。不動産の取引は、完了までに一定の時間がかかります。信頼のおける担当者と、気持ち良く進めたいものです。
査定で有利な条件を引き出すコツ
不動産の価格は、売買のタイミングや条件のわずかな変化に大きく左右されます。希望する査定額に近づけるためには、売主としてできる限りの準備を整えておくことが重要です。
不動産価格の査定で、少しでも有利な条件を引き出すためのポイントをみていきましょう。
相場を把握して主導権を渡さない
査定を有利に進めるには、物件の相場をある程度把握しておくことが大切です。不動産には定価がないため、相場を知らないと不動産会社と対等に価格交渉ができません。
仲介手数料は数%程度であることから、少しでも早く売却できるよう低い金額で交渉してくる不動産会社もあります。しかし、最終的な売却価格を決定できるのは売主という点を意識して、言いなりにならないことが重要です。
一方で、売却をスムーズに進めるには、不動産会社との連携が不可欠です。不動産会社と敵対するのではなく、双方がウィンウィンの関係を築けるように交渉を行いましょう。
清掃や見せ方の工夫で好印象を与える
少しでも有利な査定額を引き出すためには、清掃や見せ方の工夫も効果的です。掃除をしても直接的に不動産物件の価値が上がるわけではありませんが、家を大切に使っているという点で好印象を与えられます。また、あまりにも傷んでいる場合は、プロの清掃業者への依頼も検討しましょう。プロによる清掃や修繕の必要性は、不動産会社と相談して決めることをおすすめします。
清潔感のある物件は、査定額を上げるためだけではなく、売却を早く決めるうえでも大切なポイントです。内覧者に好印象を与えることで、物件に魅力を感じてもらえます。
ホームインスペクションを活用して信頼性を高める
査定で有利な条件を引き出すための手段として、ホームインスペクションの活用もおすすめです。ホームインスペクションとは、既存住宅の状態を把握するための検査で、建物状況調査とも呼ばれます。客観的な評価を得られるため、価格交渉で優位に立てるはずです。
また、ホームインスペクション済みの住宅は不動産会社にも歓迎されます。物件の信頼性が高まることで、買主を探しやすくなるためです。
売却時期の選定と期間にゆとりをもつ
物件の価格は市場の動向や需給バランスによって大きく変動するため、より高い時期を見極めて売却することが大切です。年度替わりなど、住宅需要が増える時期を狙えば、高く売れる可能性が高まります。
また、売却にかける期間にゆとりをもつことも、有利な条件を引き出すためには重要です。例えば、来週までに売りたいという切羽詰まった状況では、買主のほうが有利に交渉を進められます。一方で「いつ売れてもいい」というスタンスであれば、条件に合わない買主とは交渉しないという選択も可能です。
最適な売却時期を見極め、ゆとりをもった期限設定をすることで、できるだけ有利に売却交渉を進めましょう。
スムーズに早く売却したい場合のコツ
売却価格と同様に、売れるまでにかかる時間も重要なポイントです。特にお金に困っていない場合を除いて、売却までの期間が短いに越したことはありません。また、引き渡しまでの期間が延びれば延びるほど、維持管理のコストも多くかかります。
物件をスムーズに早く売却するためのコツを、4つ詳しくみていきましょう。
必要書類を手配しておく
売却時に必要になる書類を事前に手配しておくと、取引をスムーズに進められます。不動産取引には多くの書類が必要で、準備に時間を要するものも少なくありません。書類準備に手間取っている間に、買主の候補が別の物件を見つけてしまうと、取引そのものがなくなるおそれもあります。
特に注意したいのは、法務局の窓口や金融機関の窓口で手配する書類です。取り寄せや発行に時間がかかる場合もあるため、売買契約の締結から逆算して準備しておきましょう。
ローンが残っている場合は資金の準備や手続きを確認しておく
住宅ローンが残っていて抵当権が設定されている物件を売却する際には、手続きが複雑になるケースもあります。自己資金で全額返済できる場合は、売却前にローンを返済して抵当権を抹消することが可能です。
しかし、売却代金をローン残債の精算に利用する場合、返済と抵当権の抹消、所有権移転の登記を同時に行う必要があるため、事前に金融機関と不動産会社に手続き内容を相談しておきましょう。また、一括での返済時には、手数料がかかる場合もあります。
値引き交渉を織り込んだ価格設定にしておく
不動産を売却する際、提示した価格で買主がみつかるとは限りません。計画していた期間内で売れない場合や、市場の反応が思わしくないケースもあります。そこで、売値を設定する際は、状況に応じた値引きをあらかじめ織り込んだ価格にしておくことが大切です。
値引きをされると「お得」な買い物ができたという心理が働きます。値引きできないギリギリの価格を最初から提示するのではなく、買主とスムーズに交渉できる、ゆとりのある価格設定にしておきましょう。
内覧に対応できる日程を多く確保しておく
購入希望者の要望にできるだけ沿った内覧スケジュールを確保しておくと、スムーズな取引につながります。内覧をせずに、不動産物件を購入する人はほとんどいません。内覧の日程が合わないまま別の物件を見つけられると、買主候補を逃してしまいます。
また、内覧の日程が先延ばしになれば、売却の日程も当然後ろ倒しになってしまいます。少しでも早く物件を売却するためにも、購入希望者の日程に柔軟に対応することが大切です。
【まとめ】不動産を売却する際はあせらず慎重に進めることが大切
不動産の売却を成功させるためには、不動産会社の選定から購入希望者との交渉まで、あせらずに進めることが大切です。例えば、査定依頼を一社に絞ればすぐに買主を探す活動を始められますが、適正な価格とは限りません。複数社に査定を依頼して、不動産会社と価格を慎重に選ぶことで最適な条件を引き出せます。
一方で、少しでも早くスムーズに売却したい場合には、先回りして準備をしておくことが大切です。ローンの手続きや価格交渉への対応を準備しておくことで、計画どおりに進められます。全体のスケジュールにゆとりをもって、理想的な不動産の売却を実現してください。