サブリース契約とは、オーナーとサブリース会社が一括借上げ契約を結び、サブリース会社が入居者に転貸する契約形態です。収益物件を購入して運用する場合、サブリース契約を選ぶオーナーは少なくありません。
空室リスクや家賃滞納リスクを避けられる、管理の手間がかからないといったメリットがあるサブリース契約ですが、実はデメリットもあります。特に、売却時の価格が不利になる点には注意が必要です。
本記事では、サブリース物件の売却価格が安くなってしまう理由を、解約方法や違約金についても交えながら詳しく解説します。また、サブリース契約で高く買い取ってもらう方法も、まとめで紹介しているので参考にしてください。
もくじ
サブリース物件の売却方法は2つしかない
サブリース契約をしていると、一般的な自己所有物件のように自由に売却できません。サブリース契約の物件を売却するには、契約の引き継ぎか解約の手続きが必要です。
サブリース物件を売却する2つの方法を、それぞれ詳しく見ていきましょう。
売却先にサブリース契約を引き継いでもらう
サブリース物件をそのまま売却する際は、買主にサブリース契約を引き継いでもらう必要があります。サブリース会社の立場は入居者となるため、オーナーの都合で勝手に契約の破棄はできません。
サブリース契約のある物件ということを告知して販売するため、買主を見つける際に不利に働くおそれがあります。物件の買い手によって購入後の運用方針は異なりますが、サブリース契約で縛られているためです。また、サブリース契約の物件であることを理由に、買主有利の状況で価格交渉を進められる可能性もあります。
サブリース契約を解約する
サブリース物件を売却するもう1つの方法は、売却前にサブリース契約を解約することです。契約を結んでいるサブリース会社と交渉して、契約解除を図ります。サブリース契約を解約してしまえば、通常の物件と同じように売却可能です。
ただし、そもそも契約解除を、サブリース会社が認めてくれないケースもあります。また、サブリース契約を解除する際には、違約金がかかるケースがほとんどです。物件を無事に売却できても、実質的には支払う違約金の分だけ売却益が減少してしまいます。
サブリースの物件が売却しにくい理由
サブリース契約を解約すると、物件の売却を有利に進められます。しかし、実はサブリース契約は、簡単に解約できる性質ではない点に注意が必要です。
サブリースの解約が、なぜ難しいのかを詳しく解説します。
サブリース契約を引き継ぐと解約しにくい
サブリース物件を売却しにくい理由は、購入とともに契約を引き継ぐと解約が難しいためです。サブリース契約があると制約が生まれるため、購入者にとってはリスクになってしまいます。
サブリース契約を解約しにくいことは当然購入者も知っており、契約の継承は敬遠されがちです。売却先の候補がサブリース契約を許容する人に絞られるため、結果的に売却しにくくなります。
売却前に解約したくても違約金が発生する
サブリース契約の解約に一定の違約金がかかることも、物件の売却を難しくしている理由です。違約金分の売却益が減少するため、投資計画によっては売却価格を高めに設定せざるを得ません。
一方、サブリース契約を継承して売却する場合は、購入者側にとって違約金が懸念材料となります。将来的な売却でのキャピタルゲインを狙う場合、違約金や売却価格の低下が収益性を悪化させる要因となるためです。
通常の物件よりも利回りが低い
サブリース会社の一括借上げによる賃料は、一般的な賃貸物件の相場よりも安く設定されています。サブリース会社は、実際の入居者に転貸した賃料との差額を利益とするためです。収益性、つまり利回りが、通常の物件よりも低くなってしまいます。
買い手が物件の購入を検討する際に、利回りは重要な判断材料の1つです。利回りの低さをカバーできるだけの魅力が物件にない限り、どうしても売却しにくくなってしまいます。
サブリース解約の違約金の相場
サブリースのある物件を売却する際に気になるのが、解約時の違約金です。実際の相場を知っておくと、売却時の計画を立てやすくなります。ただし、契約内容によって違約金は異なる点に注意が必要です。
サブリース契約を解約する際にかかる違約金について見ていきましょう。
違約金の相場は半年分の家賃
サブリース解約に伴う違約金の相場は、おおむね家賃の6カ月分とされています。ただし、サブリース解約時の違約金は契約当事者同士が決めるもので、法律で定められているわけではありません。個々の契約内容によって金額は変わってきます。
具体的に、家賃10万円、居室数15戸、違約金が家賃の6カ月の事例で試算してみましょう。
10万円×15戸×6カ月=900万円
この物件のサブリース解約に伴う違約金は、900万円です。
違約金が二重に発生するケースもある
サブリース会社が、別のサブリース会社に転貸していた場合、それぞれのサブリース会社に対する違約金が発生するため、二重に支払う必要があります。
サブリース契約を結ぶ際は、契約締結前に内容や違約金について確認しておくことが大切です。1社との契約なのか、管理会社や別のサブリース会社はないのかを、納得のいくまで確認しておきましょう。
少しでも高く売却するための対応策
サブリース契約のある物件の売却価格は、通常の不動産を売却するよりも一般的に低くなってしまいます。しかし、いくつかの対応策を講じることで、少しでも高く売却できる可能性があります。
サブリース物件を高く売却するためのポイントを見ていきましょう。
サブリース契約を解約しておく
サブリース契約を解約してしまえば、通常の不動産と同じように売却できます。ただし、先述したとおり、ほとんどのサブリース契約では違約金が設定されている点に注意しましょう。物件の規模にもよりますが、違約金の支払いにはまとまった資金が必要です。
また、サブリース契約を解除して物件を売却する際は、違約金分の売却益が減ってしまいます。投資計画のなかで最終的に売却を考えている場合には、違約金も含めて収支を算出しておくことが大切です。
契約前に解約時の条件を確認しておく
サブリース契約を結ぶ際は、解約時の違約金や条件を事前に確認しておくことが大切です。契約上のサブリース会社は借主のため、違約金を支払ったとしてもオーナーの一存で簡単に解約できるとは限りません。契約時にはなかなか解約のことまで考えられませんが、万が一解約するケースに備えて詳細までしっかりとチェックしておきましょう。
実際に、サブリース契約を解除したくても、すぐに応じてもらえないケースもあります。急に売却や解約を決めるのではなく、サブリース会社とゆとりをもって交渉することが重要です。
高額で買い取ってくれる不動産会社を見つける
不動産会社に買い取ってもらうことも、サブリース物件を有利な条件で売却する方法の1つです。一般的には仲介取引のほうが、不動産物件は高く売却できます。しかし、そもそも売却しにくいサブリース物件の場合、仲介取引のほうが高値になるとは限りません。
実は、サブリース物件の買い取りを得意とする不動産会社もあります。すべての不動産会社が有利な条件を提示してくれるわけではないため、サブリース物件の取り扱いに長けた会社を探しましょう。
【まとめ】サブリース物件を売却する際は不動産会社での買い取りも検討する
サブリース物件でも、決して売却できないわけではありません。しかし、サブリース契約があることで物件の魅力が下がり、売却益が減少するケースもあります。また、サブリース契約の解除には違約金がかかるどころか、そもそも解約に応じてくれない会社もある点に注意が必要です。
サブリースの物件を売却する際は、不動産会社による買い取りも検討してみましょう。日商エステムは、サブリース物件を高値で買い取るサービスを展開しています。サブリース物件の売却で悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。