不動産売却は取引金額が大きいだけに、失敗したくないものです。しかし、一般の方にとっては難しい取引であり、特に初心者は不安を感じる方も少なくないでしょう。
そこで今回は、不動産売却で失敗しないための注意点を、売却時の手順も含めて詳しく解説します。
もくじ
不動産売却までの具体的な手順と流れ
不動産売却を成功させるためには、売却の計画段階から適切に準備することが重要です。売却活動に入る前に、物件の状況や市場の動向を把握し、最適な売却方法を選ぶ必要があります。
まずは、不動産売却までの具体的な手順と流れを見ていきましょう。
状況を正確に把握する
不動産の売却を具体的に進める前に、自宅の状況を正確に把握しておくことが必要です。例えば、住宅ローンが残っているケースでは、残債の確認と完済の計画を立てておきます。土地を売却するのであれば、測量図や境界確認書の有無も確認しておきましょう。
また、建物の状態を確認しておくことも重要です。損耗状態や設備の故障の有無を点検し、必要であれば修繕の手配をします。
売却時に書類や建物の不備があると、取引がスムーズに進まないばかりか、希望の金額で売却できない事態にもなりかねません。売却する不動産の状況を、事前にしっかりと確認しておきましょう。
周辺相場を事前に調べておく
不動産を適正な価格で売却するには、周辺の相場を事前に調べることが重要です。間取りや駅・バス停までの距離、築年数などから大まかな相場を把握していれば、適正価格を判断できます。
できるだけ高く売却したいものですが、相場とかけ離れていては買主が見つかりません。一方で、相場より安く売却すると、得られるお金が減ってしまいます。
最終的には、不動産会社の査定を受けて売却価格を決めるケースがほとんどです。しかし、事前に相場を知っておくことで、提示された価格の妥当性を判断できます。
売却方法を検討する
不動産を売却するには、一般的に3つの方法があります。それぞれの特徴を把握して、最適な方法を決めましょう。
自分で買主を探す
仲介手数料がかからず、コストを抑えられる点が魅力です。一方で、買主の募集や内覧の日程調整、契約書の作成といった手続きをすべて自分で対応する必要があります。思った以上に手間がかかるため、あまりおすすめできません。
不動産会社に仲介を依頼
不動産会社と仲介契約を結んで、買主探しから契約までを任せる、不動産売却としては一般的な方法です。専門的な知識とノウハウがあるため、価格の設定や交渉も含めて安心して任せられます。ただし、仲介手数料が発生するため、売却金額の満額は受け取れません。
不動産会社による買取
不動産会社に、物件を直接買い取ってもらう方法もあります。買主を探す手間と時間を節約し、手軽に短期間で売却できる点がメリットです。しかし、買取価格は、一般的に相場よりも安くなります。買い取った不動産会社は、別の買い手に売却することで利益を得るためです。
買主の募集を始める
売却の方法が決まったら、買主の募集を開始します。募集に際しては、効果的な広告戦略が重要です。折込広告やポスティングに加え、最近では不動産ポータルサイトを有効に活用した販売戦略が一般的となりつつあります。
不動産会社に仲介を依頼している場合、売主は広告戦略についてあまり考える必要はありません。不動産会社は売買契約が決まってはじめて仲介手数料を得られるため、積極的に募集活動をしてくれます。また、仲介契約の内容によっては、募集状況の報告を定期的にしてもらえるため安心です。
売却先の選定から契約までの流れ
買主の募集が始まってからも、実際に売却が完了するまでにはさまざまな手順があります。各段階で細かな調整や確認事項が発生するため、一つずつ慎重に対応することが大切です。
売却先の選定から契約までの流れを、具体的に見ていきましょう。
内覧や打ち合わせの日程調整
買主は、実際に現地で物件を確認する内覧を経て購入を判断します。内覧日には家の鍵を開けておく必要があるため、不動産会社との連携が重要です。また、整理整頓や清掃も、内覧前の準備として求められます。物件を最良の状態に保ち、買主に好印象を与える必要があるためです。
購入に前向きな買主との打ち合わせも、募集期間中に随時発生します。簡単な問い合わせであれば不動産会社に対応してもらえますが、具体的な契約内容の説明が必要な場合、売主の同席が必要なケースも少なくありません。内覧の日程調整も含めて、可能な限り買主の要望に沿うようにしましょう。
売却先の決定と売買契約締結
内覧や条件交渉の結果、売却先が決まったら売買契約の締結に進みます。仲介の場合は不動産会社が契約書を準備してくれますが、売主側も内容を慎重に確認することが重要です。売買契約書は契約当事者間のトラブルを防止するために作成されます。売却価格や引き渡し条件、手付金の取り扱いやトラブル時の対応などが詳細に記載されます。
売買契約締結後は、速やかに物件の引き渡しができるように準備しておきましょう。また、引き渡しまでの期間に、不測の事態が生じた場合の責任範囲も確認しておく必要があります。
物件の引き渡し
物件の引き渡しは、売買契約に記載された決済日におこなわれるのが一般的です。買主からの代金支払を確認したのち、所有者移転登記の手続きをおこないます。不動産会社、司法書士と連携して手続きを進めますが、必要書類は売主自身で事前に確認しておきましょう。
また、鍵の受け渡しや物件に関する書類(管理規約や付帯設備の説明書など)の発行も、物件引き渡し時におこないます。物件を買主に引き渡した段階で、不動産の売却は完了です。
特に初心者は注意したい不動産売却時のポイント
不動産売却は手続きが複雑なため、取引に慣れていない初心者は注意深く進める必要があります。知識や経験不足から売却がスムーズに進まず、トラブルやリスクを抱えてしまうケースも少なくありません。
特に初心者が考慮すべきポイントを中心に、売却を成功させるための注意点を見ていきましょう。
不動産会社の査定を受ける前に相場感を把握しておく
不動産会社に査定を依頼する前に、周辺の相場感をつかんでおくことが重要です。不動産会社は売りやすさを優先して、相場よりも低い価格を提示するケースがあります。価格の妥当性の判断と交渉を有利に進めるために、自分でも相場を把握しておくと安心です。
不動産相場は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」や、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理している「REINS(レインズ)」で調べられます。
個人売買はできるだけ避ける
初心者の場合、個人売買はよほどの事情がない限りおすすめしません。個人売買であれば各種手数料を削減できますが、重要事項説明や契約書の作成など専門的知識の必要な手続きや書類が数多く必要なためです。
不動産取引に慣れていない初心者であれば、信頼のできる不動産会社に仲介を依頼しましょう。買主の募集から売買契約の締結まで、専門知識の豊富な不動産会社であればスムーズに進みます。
住宅ローンの完済が必要
住宅ローンが残っている場合は、完済をしないと不動産を売却できません。ただし、売却代金を直接繰り上げ返済に当て、決済と物件の引き渡しを同時におこなうことは可能です。
売却代金をローンの返済に当てる場合は、売却価格が残債を上回る見込みかどうかを事前に確認します。また、仲介や不動産書士、繰り上げ返済にはそれぞれ手数料がかかるため、その金額を見積もっておくことも重要です。万が一ローンの残債に満たない場合は、自己資金を準備する必要があります。
買主の見つかりやすい時期を選ぶ
不動産の買主を見つけやすい時期は、新年度を迎える1月から3月にかけてです。住宅ニーズの高い時期を選ぶことで、売却がスムーズに進みやすくなります。
一方で不動産の売却は、地域特性や不動産市場の動向にも左右されます。特に売却を急ぐ必要がない場合は、不動産会社と相談しながら最適な売却時期を見極めることも大切です。
売買契約までには3~6ヶ月程度を要する
売却の意思決定をしてから売買契約の締結まで、一般的に3〜6ヶ月程度かかります。売却を急ぐと不利な条件での契約になりかねないため、ゆとりをもって計画を立てることが大切です。
また、市場の動向や買主の都合によっては、さらに時間がかかる場合もあります。不動産会社と連携し、売却の進捗状況を都度確認しながら進めましょう。
【まとめ】初心者が不動産を売却する際は個人でおこなわない
不動産売却では専門的な知識が求められるため、初心者が個人でおこなうのはリスクが高いといえます。トラブルやリスクを回避するには、信頼できる不動産会社と連携しながら進めていくことが重要です。
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