不動産投資において、物件探しは投資の成功を左右する最重要ポイントのひとつです。とはいえ不動産投資の初心者にとっては、物件を探すにあたってどこに着目すべきか悩ましいポイントではないでしょうか。
ただ闇雲に物件を探すだけでは、優良物件に出会うことは困難です。
今回は不動産投資の物件探しを効率よく進める方法について、おすすめの物件探しの方法と重視すべきポイントを5つ紹介します。
もくじ
不動産投資の物件探し方法①:物件探しサイトを利用する
収益物件の探し方に関して、もっとも身近なもののひとつとして物件探しサイトの利用があげられます。不動産ポータルサイトにはいくつもの種類があり、家の中や外出先など、場所を選ばず手軽に物件を探すことが可能です。
物件探しサイトの特徴
物件を探せるサイトの種類としては、不動産投資専門の情報が載っている不動産情報サイトや収益物件に特化したサイトなどがあります。
また、多くの人がその名を聞いたことがあるような大手不動産会社が運営しているサイトもあるので、情報が足りなくて困るということはないでしょう。
物件探しサイトに掲載されている物件については、物件の購入金額や利回り、間取りの広さなどといった各種情報をチェック可能です。
また物件の情報が分かるだけではなく、不動産投資に関連したコラムを掲載しているサイトもあるので、これから不動産投資にチャレンジするうえで非常に勉強になるでしょう。
不動産会社などを尋ねる前に、まずは物件探しサイトで情報をチェックして基礎知識を身に付けることからスタートしておくと、物件選びについてのイメージをつかむことができます。
物件探しサイトを利用するメリット
物件探しサイトは情報量が非常に豊富で多岐にわたっているというメリットがあります。さまざまな条件を設定して検索できるので、物件を探したい地域や、購入金額として想定している価格帯を条件として設定しながら物件を選ぶことが可能です。
また、物件探しサイトはインターネット上でチェックできるということもあり、時間や場所を選ばずに閲覧できるので、手の空いた時間などにコツコツと情報収集を進めることもできます。また、場所を選ばないということは、自分自身が住んでいる地域以外の不動産情報を見ることもできるということです。
情報収集にあたってのハードルが低く、今すぐにでも実行できる手軽な手段です。ぜひ今日からでもサイトのチェックを始めるとよいでしょう。
物件探しサイトを利用するデメリット
物件探しサイトは、良くも悪くも「情報を羅列したもの」という性質があります。つまり、物件価格や物件のエリア・物件の間取りに関する情報や利回りといった客観的な指標は書いてあったとしても、「どの物件がよいのか」という面のアドバイスは期待できないということです。
記載されている情報が客観的であるということは、裏を返せば不動産投資に詳しい第三者が意見を提供してくれているわけではないので、指標の見方に慣れていない投資初心者にとっては物件の良し悪しを把握するのが難しいということでもあります。
サイトをみてわからない点があれば、不動産会社や周囲で不動産投資を行なっている人に質問するようにするとよいでしょう。
また、物件探しサイトには「おとり物件」、すなわち実際には存在しない架空の優良物件を掲載して客を引きつけて条件の劣るほかの物件を売り込むという手法も存在します。可能な限り信頼できるサイトをあたるよう心がけましょう。
不動産投資の物件探し方法②:不動産会社を訪問して相談する
物件探しサイトで情報を探して、興味の持てる物件をいくつか見つけられたら、実際に不動産会社へ赴いて詳細を尋ねてみるという方法があります。不動産会社を訪問して得られる情報の特徴と、メリット・デメリットについて解説します。
不動産会社の特徴
不動産会社とは、物件売買の仲介を担当している会社です。全国展開しているような大手の不動産会社から、地域密着型で営業している会社まで大小さまざまな規模の会社があります。
不動産会社を尋ねる前に、インターネットで事前情報を集めておくと良いでしょう。実際に不動産会社で話を聞いてみて、たとえ興味を持てる物件がなかったとしても担当者との面識を得ておけば、あとで好条件の物件が出た時に連絡してもらえるかもしれません。
また、「投資物件を購入することを積極的に検討している」という姿勢を印象付けておくことで、不動産会社の担当者側もより本気度高く対応してくれることを期待できます。投資に前向きな姿勢をアピールするためにも、インターネットでの情報収集をはじめとした事前準備をしっかり整えておくとよいでしょう。
不動産会社を利用するメリット
不動産会社を利用するメリットは、なんといっても担当者から意見を聞いたり双方向のコミュニュケーションを交わすことで、インターネット上での情報収集よりも深い情報を引き出すことができることです。
物件探しサイトを見ているだけではわからなかった箇所についても、不動産会社に赴いて直接質問すれば説明してくれるので、疑問点を解消することができます。
また、自分自身の希望する条件にマッチした物件がインターネット上で見つからなかったとしても、不動産会社で相談すれば近しい条件の物件を紹介してくれる可能性もあります。
さらに、不動産会社は地域の情報に詳しいので、自分自身が住んでいるエリアに特化した情報についても仕入れることが可能です。担当者との関係性次第では、いわゆる「非公開物件」についての情報を引き出せるチャンスもあるかもしれません。
不動産会社を利用するデメリット
不動産の仲介業者の場合、業者自体が物件を所有しているわけではなくあくまでも販売の仲介を担当しているだけなので、同じ物件をその業者以外の他社が販売してしまう可能性があります。
このような事情もあって、不動産仲介業者から物件を勧められた際にじっくりと判断させてもらえず、早く購入を決めるよう決断を急かされるといったケースも考えられます。特に担当者がノルマを焦っている際など、やや強引に思えるようなアプローチを受けてしまい、何もわからない投資初心者としては断りづらいケースも想定されるでしょう。
さらに、仲介を担当する会社は基本的に販売のプロセスを担当するのみで、購入後の管理運用については面倒を見てくれないケースが大半です。購入後の管理を任せる会社については別途探す必要があることに注意すべきでしょう。
不動産投資の物件探し方法③:不動産情報誌や広告を活用する
投資用の物件について、インターネット上に出回っていない情報が地域内の不動産情報誌や広告に掲載されている場合があります。インターネット上での情報収集に加えて、地域で手に入る紙広告を定期的に入手するよう心がけましょう。
不動産情報誌や広告の特徴
不動産を所有している会社や家主によっては、あまりインターネットへの情報掲載を好まない場合もあります。そういったケースでは、インターネットではなく地域内の不動産情報誌や広告などに情報を掲載する場合があります。特に、地方や都市部から離れた地域の不動産会社の場合、地元の情報誌や広告をより好む傾向があります。
このように、比較的限られた範囲で公開されている物件の情報が得られるのも不動産情報誌・広告ならではの特徴です。
インターネット上に掲載されている情報のほかに、自分自身が関心を持っているエリアの情報誌をチェックする習慣を身に付けることで、オンライン上とオフライン上のそれぞれで情報を拾うことが可能になります。
不動産情報誌や広告を利用するメリット
不動産情報誌や広告を利用するメリットとしては、自分自身の住んでいる地域に特化したより詳細な情報が得られやすいことです。また、こうした情報誌および広告に掲載された情報は、不動産会社が案内している情報よりも客観性が高い傾向があります。
不動産情報誌や広告を利用するデメリット
不動産情報誌や広告を利用するデメリットとして、第一にあげられるのが「有料の情報源が多い」という点です。不動産投資の初心者にとっては、まだまだ家賃収入を得られている状態ではないということもあり、有料の情報に手を出すのはハードルが高いかもしれません。
また、インターネットと違って最新の情報が反映されていないので、情報誌や広告に掲載されている物件について問い合わせた結果、すでに売却済みだったというケースもあり得ます。
元々不動産情報誌や広告は賃貸利用者向けのメディアであり、収益物件に関する情報は必ずしも多くないということも難点のひとつです。
不動産投資の物件探し方法④:不動産投資会社を利用する
不動産投資会社とは、投資用の収益物件をメインで扱っている会社です。したがって、賃貸物件を扱っていることが多い不動産仲介会社と比較して、より投資家向けの情報を多く持っており、積極的に相談する価値があります。
不動産投資会社の特徴
不動産投資会社の中には収益物件を仲介するだけでなく、自社で物件の開発を手がけたうえで、物件の販売から販売後の運用までのプロセスを一貫して行なっている会社もあります。
このような会社に相談すれば、仮に不動産を購入した後、運用を担当してくれる会社を別途探す手間を省けます。さらに、販売後の運用まで担当してくれることが前提ならば、何らかの問題がある物件を掴まされる可能性も少なくなります。より誠実な対応を求めるなら、販売後までのプロセスを含めて行なっている会社との取引が望ましいでしょう。
不動産投資会社を利用するメリット
不動産投資会社が扱っている物件はインターネット上に情報が出回っていることが少なく、基本的には直接問い合わせをすることで、いわゆる「未公開物件」の情報を得られることが多いです。
秘匿性の高い情報が得られるということは、インターネットだけをみて情報収集している投資家に差をつけられるということでもあります。不動産投資会社の担当者と信頼関係を築くことによって、条件の良い未公開物件を紹介してくれる可能性もあります。
また、販売後の運用・管理まで担当してくれる不動産投資会社の場合、収益性の低い物件を押し売りしてしまうと、販売後の運用・管理のプロセスでうまくいかず、自社の運用成績が悪化することになります。したがって、物件購入の時点で安全性を求めたいのであれば、不動産投資会社を選ぶことは賢い選択といえるでしょう。
不動産投資会社を利用するデメリット
不動産投資会社自体は投資家にとってメリットが大きい存在であることは間違いありません。しかしながら同じ会社の中でも担当者の質についてはどうしてもばらつきがあり、あまり優秀ではない担当者や、誠実さに欠ける担当者にあたってしまうリスクがあります。
もしも不動産投資会社とやり取りしている最中に疑問に感じる点があったら、可能な限り担当社員だけでなく上席などほかの社員に報告したうえで、ほかの意見が聞けないかどうか探ってみましょう。
あるいはほかの不動産投資会社と相見積もりをしたうえで、より提案内容や担当者の誠実さを高く評価できる不動産投資会社を選ぶべきでしょう。
不動産投資の物件探し方法⑤:競売物件を確認する
競売物件から選ぶという選択肢は投資家にとって忘れられがちです。競売にかけられている物件には、物件自体に問題がないにも関わらず持ち主の事情が原因となって競売に出されている物件もあります。ぜひ選択肢に加えましょう。
競売物件の特徴
競売物件とは、元々の持ち主が住宅ローンを返済できなくなってしまったがために、強制的に売りに出されてしまった物件を指します。
通常、物件の売買は物件の持ち主が購入希望者へ売る、という形を取ります。しかしながら競売物件の場合、「差し押さえ」というプロセスを経て、元々の物件の持ち主から裁判所へ所有権が移っています。
したがって物件の購入希望者は元の持ち主と交渉するのではなく、裁判所が主催する入札を経て、一番高額で入札した購入希望者が物件を取得できるというのが物件取得の流れです。
競売物件を活用するメリット
競売物件は物件自体の問題ではなく、たとえば持ち主が自己破産して住宅ローンを返せなくなってしまったなどの理由から競売に至ります。
したがって、購入希望者の立場から見れば比較的優良な物件を相場より低い金額で取得できるチャンスにもなりえます。一般的には相場の7割程度、さらに割安なケースでは相場の半額で取得できる場合もあります。
また極端に狭い土地にある物件や離島・山間部にある物件、さらに農地など、特殊な条件の物件が競売の対象となっている場合もあります。
こうした物件は通常、不動産会社が扱うことがほとんどない条件なので、特殊な条件をもつ物件に興味があれば取得のチャンスともなり得るでしょう。不動産会社が扱う案件以上に多様な物件を見れるので、仮に不動産会社へ相談する方針だったとしても、いちど競売に出されている物件についてもチェックすることをオススメします。
競売物件を活用するデメリット
物件自体には問題があるわけではなく、割安な物件を取得できることも多い一方で、物件自体とは別の面で問題を抱えている場合に注意が必要です。
たとえば、物件が差し押さえに至るほど住宅ローンの返済が苦しくなってしまった原因として、入居者に問題があるケースもあります。具体的には、入居者が非常に長期間家賃を滞納していたことが原因で物件としての収益性が悪化してしまい、結果的に住宅ローンが返済できなくなってしまったケースなどが考えられます。
上記のようなケースの場合、問題となっている入居者に対しては、基本的には新たな持ち主が自分自身で対応しなければなりません。
その他、入札以前に物件の内見ができないなど、事前に情報を詳しく知ることができないのも競売物件のデメリットとしてあげられます。
不動産投資で優良物件を見つけるための5つのポイント
不動産投資を成功に導くうえでもっとも重要なプロセスのひとつは、優良物件を徹底して選び抜くことです。どんなに購入後の管理を徹底しようとしたとしても、それ以前に物件の条件が悪ければ、不動産投資を成功させることは困難です。
以下では、優良物件を見つけるにあたって心がけるべき5つのポイントについて解説します。
不動産投資の基本知識を身に着けておく
不動産投資は資産運用の中でも非常に高額な部類に入ります。いちどの成功や失敗がもたらすインパクトがきわめて大きいということもあり、購入を決める以前に、常日頃から知識の習得を徹底するべきです。
不動産経営は、集客面・利回りなど計算式を含む各種指標についての知識・経済動向・法律・会計関連分野・税務関連分野など、さまざまな分野を横断する幅広い知識が求められます。
上記のような各種知識は、短期間で身に付けようとすることは非常に難しいです。特に不動産投資をこれからスタートしようとする初心者にとっては、本やセミナー、インターネットなどを通した積極的な情報収集は必須であると言えるでしょう。
あるいは身の回りですでに不動産投資を行なっている有識者がいれば、貴重な存在なので情報交換を求めるべきでしょう。
不動産投資経験者の情報を参考にする
不動産投資においては必ずしも投資家自身がひとりで重要な判断をする必要はなく、必要に応じて信頼関係がある不動産会社の担当者、あるいは身の回りで不動産経営のキャリアを積んでいる経験者にアドバイスを仰ぐべきです。
特に経済動向などに関しては個人のオーナー、特に不動産投資の初心者が流れを把握することは不可能に近いでしょう。新聞やニュースなどで流れている一般的な情報を追うだけでは、不動産業界において起こりうる事象を予測することはきわめて困難です。したがって、「先人たちの知恵」を借りることが無難です。
身の回りに不動産投資の経験者を見つけることができない場合には、セミナーなどに参加してほかの参加者と交流を持つのが有効です。さらに、もし可能であればセミナー講師と接点を作って、情報交換の糸口としていければ理想的です。
多くの不動産投資用の物件を事前に直に見る
不動産投資においては資料の上の数字を追うだけでなく、実際に物件がある現地へ足を運んで、さまざまな情報を自分自身の目と耳で確かめるフットワークの軽さが求められます。
現地へ足を運ぶことによって得られる情報にはさまざまなものがあります。たとえば、住人層などは資料を見て判断しているだけでは確かめられない要素のひとつです。住人層は物件の雰囲気に影響するので、退去率や家賃の滞納問題などに関わってくる可能性があります。
さらに、建物の外観や共用部の印象など、視覚的な情報は意外と軽視されがちです。不動産会社が提示してきた資料上では利回りがよかったとしても、実際に見てみると老朽化が進んでいて、とても新規入居者が見つかりそうにない様子の物件だったという可能性もあります。
また物件自体のみならず、コンビニをはじめとした施設が充実しているかどうかなど周囲の状況も物件の人気に直結しうるので、やはり実際に現地へ行って把握することが大切です。
物件の条件の優先順位を決める
特に不動産投資をこれから始めようとする人の場合、物件の取得にかけられる資金力が限られていることも多いでしょう。物件取得にそれほど多くの資金をかけられない場合、弱点がなくあらゆる条件が優れている物件を取得するのは難しいです。
限られた予算の中で、優先すべき条件と、ここは妥協してもいいという条件をそれぞれピックアップしたうえで、物件に求める事項の優先順位を決めておくことが大切です。
優良物件に出会った場合は即断できるよう準備しておく
優良な物件は長い間マーケットに放置されることはなく、すぐにほかの買い手が見つかって購入を決めていくものです。いざ自分自身が目当てとする条件に近い物件が現れたらすぐに押さえられるように、日頃から手続きの確認や購入資金の準備を整えておくことが重要です。
また、優良物件とそうでない物件を見分けことも重要になります。なにをもって優良物件と見なすかということに関して正しい判断基準を持っていないと、本当は優良物件ではない物件に焦って飛びついてしまうことも起こり得るでしょう。
自分自身の中で、常日頃から優良物件についての知識を仕入れて、判断軸を養うという心がけが必要です。
不動産投資の物件探しは正しい知識を身に着けて慎重に
不動産投資は結果が出るまでに数十年のスパンをかけて運営していくものであり、その他の資産運用方法と比べても緻密な計画性が求められます。物件を購入する時点でどれだけ正しい知識を持っているか、その知識の程度によって以後数十年の成否が左右されます。
まずは物件探しの方法、および優良な物件を見抜くための判断基準について学び、慎重な物件選びを心がけましょう。