不動産投資に興味を持っていても、どれくらいの頭金が必要なのか分からず、なかなか一歩を踏み出せないという方も多いのではないでしょうか。資金を調達するために、目安となる頭金の相場を知っておくのは大切です。
ここでは頭金の必要性や相場、十分な額を投入するメリット・デメリットについて紹介します。自身に合った投資プランを立てるために、初期費用の項目や少額で始める方法についても合わせて学んでいきましょう。
もくじ
不動産投資に頭金は必要?相場はどのくらい?
不動産投資では、銀行から融資を受けるケースが多いでしょう。ただし費用の何割かは、自己資金を投入しなければならないときもあります。そこで、頭金を必要とするケースと相場の金額、そしてフルローンでも不動産を取得できるのかについて確認しましょう。
頭金が必要となるケース
金融機関から融資を受ける前に審査があります。申請者の年収や年齢、勤務状況などを考慮して、融資限度額が決まるのが一般的です。
審査の結果、残念ながら希望の融資額に届かないこともあるでしょう。融資額のみでは足りない投資資金は、頭金として用意しなければなりません。
市場や政策の影響により、金融機関が融資を引き締める時期もあります。申し込みのタイミングによっては、融資が絞られるケースもあるでしょう。
頭金の相場は購入物件の3割程度
一般的に頭金の相場は、物件価格の3割だと言われています。仮に4,000万円の物件を購入するとしたら、頭金で1,200万円用意するとイメージすればよいでしょう。
しかし一概に、頭金としていくら必要なのかを示しにくいという面もあります。なぜならオーナーの経済状況や金利、購入したい物件の条件、投資プランなどによって、いくら頭金に回すのかが異なるからです。そのため、状況に合わせて割合を決めるようにしましょう。
頭金0でも不動産投資は可能
頭金0でも、実は不動産投資を始められます。金融機関から収益性や信頼性の高さを認められれば、フルローンを組めるからです。
ただしフルローンを組める金融機関は限られているだけでなく、厳しい審査を設けている場合もあります。「資金の用意ができない」という理由で全額融資を受けるのは困難であると覚えておきましょう。
頭金を入れて不動産投資を始めるメリット・デメリット
多くの方にとって、資金調達をするのは簡単ではありません。多額の自己資金を最初から投入するべきなのか、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。十分な頭金を用意すると仮定して、そこにはどのようなメリット・デメリットがあるのかを解説します。
メリット
頭金を用意するプラス面として、下記の3つがあります。
- 早めにローンを返せる、利子を減らせる
- ローンを組みやすくなる
- 金利上昇のリスクを軽減できる
物件の購入費用は頭金と融資資金で支払います。融資資金の割合を減らせばローン返済の負担も減るだけでなく、元本にかかる利子も抑えられます。
また、十分な自己資金を調達できると、金融機関から評価されローンの審査にも通りやすくなるでしょう。ローンを組めると、自己資金だけでは手の届きにくい人気の物件も検討可能になります。需要のある物件なら入居者を獲得しやすく、キャッシュフローの悪化も防げます。
ローン返済には金利の動向が深く関わってきますが、頭金を多めにして融資資金を減らすことで、金利上昇の影響を受けにくくなるのもメリットです。
デメリット
一見すると利点の多い頭金ですが、多額を投入することのマイナス面もあります。
- レバレッジ効果が弱まる
- 資金調達に時間がかかる
- 突発的な出費の対応が難しくなる
少ない元手を運用し多額の収益を得ることを「レバレッジ効果がある」と表現します。少額で投資を始めると、それだけレバレッジの効いている投資プランになります。
頭金の相場は、物件価格の3割だと言われています。相場通りに考えると、数千万単位のマンションやアパートを購入するのに自己資金で数百万円も準備しなくてはいけません。「できるだけ早く不動産投資を始めたい」と思っても、資金調達に時間がかかってしまうこともあるでしょう。
また、頭金の投入により預貯金が減ると、突発的な修繕費や空室時の穴埋め費用に頭を抱えてしまうかもしれません。
頭金なしで不動産投資をするリスクは?
すべて融資資金で投資プランを立てると、突然の出費に対応できずキャッシュフローの悪化を招いてしまうかもしれません。
賃貸管理をしていると、急な設備の故障や不具合により修繕費を要することがあります。また空室の増加により、ローンの返済を給与から捻出するケースも出てくるでしょう。最悪の場合、ローン返済が滞る恐れもあります。資金に余裕を持って、リスクの少ない投資を目指しましょう。
頭金以外に自己資金を投入するポイント
不動産投資ローンにおいて、頭金や金利、融資期間が返済額を決める要素なります。運用中に自己資金を投入すれば、返済額の軽減や利回りアップを狙える可能性もあるということです。ただし無計画に投入するは良くありません。要点をつかんで、計画的に取り組みましょう。
ローンの繰り上げ返済をする
借入金を繰り上げ返済すると、最終的に支払う金額を減らせます。利息とは元金に対して発生するからです。利息を減らせるため、金利上昇のリスク軽減にもつながります。
早めにローン返済を終わらせれば、資産形成のスピードも上がるでしょう。ローンを完済して資産を所有すれば、物件を担保に新たな投資も始められます。金融機関から投資歴を評価され、融資が受けやすくなるかもしれません。
適切なタイミングで投入する
自己資金を投入する際は、適したタイミングを見極めましょう。利回りが低いときに自己資金から捻出すると、資金回収に時間がかかってしまうと予想できます。その後、資金拡大の計画を立てるのが難しくなってしまうため、将来を見越して資金を投入したほうがよいでしょう。
また手元に預貯金を残しておかなければ、修繕費や空室の補填にかかる費用で家計を圧迫してしまう可能性もあります。自己資金投入のベストなタイミングは、
- 収益率が高い
- 安定した家賃収入がある
- 管理費や運営費を確保できている
といった状況で、利回りを上げるのに期待できるときです。
頭金以外にかかる不動産投資の初期費用は?
賃貸経営を始めるにあたって、頭金のほかにいくつかの費用がかかります。初期費用は、物件価格の15%必要になると言われています。
契約手続きにかかる費用や各種保険料、税金など初期にかかる費用の種類を学んで、資金を確保しておきましょう。
売買契約のための「手付金」
不動産投資における手付金とは、売買契約時に買主から売主に支払われるお金を指します。手付金は買主と売主の双方にとって、勝手に契約をキャンセルさせないための保証の役割を果たしています。
一般的に物件価格の5~10%の手付金が発生し、4,000万円のマンションを購入する場合は、200~400万円を支払う計算になります。不動産を購入する際は、手付金のみでも数百万単位の自己資金を要すると覚えておきましょう。
不動産投資会社に支払う「仲介手数料」
不動産会社を通して収益物件を購入すると、物件の紹介や購入手続きに仲介手数料を求められます。仲介手数料の金額は、法律で上限を決められているのが特徴です。計算式では、以下のように算出します。
- 物件価格200万円未満:売買金額×5.5%
- 物件価格200万円~400万円未満:販売金額×4.4%+2.2万円
- 物件価格400万円超え:売買金額×3.3%+6.6万円
仮に3,000万円のマンションを購入すると、仲介手数料の上限は105万6,000円必要になります。ただし上限額で設定しているとは限らないので、契約時に確認しましょう。
契約書に使用する「収入印紙代」
マンションや土地などの不動産を売買するとき、契約時の契約書に収入印紙を貼付しなければなりません。契約書に記載されている金額に伴って、数千円~数万円単位の印紙税を納付する必要があります。
印紙代の支払いに買主と売主のどちらが応じるのか取り決めがなく、折半するケースが一般的です。買主と売主のそれぞれで保有する契約書ごとに、各自で印紙代を負担するようになっています。
ローンの手続きでかかる「事務手数料」
不動産投資用のローンを組む場合、手続きに事務手数料がかかります。事務手数料の相場は金融機関によって異なりますが、「定額型」だとおおよそ3~5万円が請求されるでしょう。
また借入する金額に対して、一定額を支払う「定率型」方式もあります。このケースだと、融資額の高さに応じて事務手数料も上がる仕組みです。ただしローン金利の値は、定額型より定立型が低く設定されているのが一般的と言えます。
定額型は初期費用を抑えられる、定率型は長期運用でお得になるという特徴があります。
ローン時に加入する「団体信用生命保険の保険料」
「団体信用生命保険(団信)」は、不動産の購入時に加入するのが一般的です。ローン返済期間中に契約者が「死亡」もしくは「高度障害の状態」に陥ったとしても、保険金で弁済されるのが団信の仕組みです。
ローン返済には数十年かかることも予想できるので、その間に不測の事態に陥る可能性も十分に考えられます。多くの団信の保険料は金利に含まれており、通常のローンに上乗せして支払うことになるでしょう。
登記手続きで発生する「登記手数料」
収益物件を購入する上で必要なのが、名義変更に伴う登記手続きです。ほかにも、金融機関から融資を受けるために、抵当権を設定する登記手続きを行ないます。抵当権とは、不動産のオーナーがローン返済をできない状態になった場合、物件や土地を担保として差し押さえるために設定する権利です。
登記手続きには、諸費用として2種類の費用が発生します。
- 登録免許税
- 司法書士報酬
登記手続きに納付しなければならない「登録免許税」は、数十万~数百万単位です。さらに抵当権の手続きにも、「借入額×1,000分の4」が課せられます。司法書士の報酬は依頼先によって異なりますが、5万円前後が相場でしょう。
不動産を取得することで発生する「不動産取得税」
建物や土地を取得すると、不動産取得税の支払いを求められます。購入後の半年~1年経過したあとに納付書が送られてくるので、支払いを忘れないようにしましょう。税率は下記の通りです。
不動産取得税=固定資産評価額×税率
購入後すぐに請求される税金ではないので、突発的な出費に備えて資金を残しておかなければなりません。
物件の損害対策のための「火災・地震保険料」
自然災害のリスクに備えて、火災保険や地震保険に加入するケースも少なくないでしょう。いざというときに備えるなら、月々の諸費用に保険料が含まれます。
火災保険の保険料は、補償対象・補償内容・建築物の構造などによって異なります。具体的な数値は、投資プランを立てるとき条件を指定してシミュレーションしてもらうとよいでしょう。
地震保険の保険料は、火災保険の30~50%の範囲で限度額は建物5,000万円、家財1,000万円までです。
少額で不動産投資を始める方法は?
「少額で不動産を運用したい」という投資家は、レバレッジ効果を利用したり数万円から出資できる商品を購入したりしています。
少額で始めると、その分大きな損失リスクにつながりにくくなるでしょう。また資金調達にかける時間を短縮し、資産形成・拡大のステップを踏みやすくします。
レバレッジ効果を活用して自己資金を抑える
自己資金の投入額を抑えるには、ローンで不足分を補い、レバレッジを利かせるのも方法の一つです。少ない資金で大きなリターンを得るレバレッジ効果を活用すれば、できだけ早く投資を始めることができるでしょう。
さらに手元の資金のみだと手の届きにくい人気の物件も投資対象になるので、選択肢も広がります。例えば自己資金が数百万円しかなくても、融資を受けられるなら数千万単位のマンションやアパートを所有でき、リターンにも期待できます。
不動産投資信託で投資をする
投資家から集めた資金を元手に、複数の不動産を運用し収益を分配するのが「不動産投資信託(J-REIT)」です。物件選びから購入、管理、売却まで、投資法人が代行しています。物件の所有権は持てませんが、管理の手間を省けるので気軽に始められるでしょう。
また証券化されているため、流動性も高く株式のように換金しやすいのが特徴です。一口10万円~用意されているので、少額で不動産投資に着手したいなら検討するとよいでしょう。
不動産小口化商品に投資をする
不動産クラウドファンディングとも呼ばれる商品で、複数人で出資し収益物件を取得します。リターンは資金額に応じて得られる仕組みです。共同名義で不動産を所有し、登記する際にオーナーとして表示されます。
1万円から出資可能なので、「運用から分配金を受け取るまでの流れを把握したい」と、お試しでやってみる方もいます。また、事業者の返済金利からリターンが発生する「融資型クラウドファンディング」も存在します。
頭金でお悩みなら!信頼できる不動産投資会社を頼ろう!
投資プランや自身の収益性、手持ちの資産などによって、どのくらい自己資金を投入するべきかが変わります。しかし金融機関から評価されなければ希望通りの融資を受けられないので、結果的に多額の頭金を支払わなければならないケースもあるでしょう。
これから不動産投資を始める初心者なら特に、どれくらいの頭金を用意すればよいのか迷ってしまうかもしれません。もし頭金の投入額にお悩みなら、一度不動産投資会社に相談してみることをおすすめします。
お客様の立場に立って考えるスタッフなら、投資の目的や年収を踏まえた上で、適切なプランを提案してくれるはずです。一人で悩まず、信頼できる不動産会社を頼ってみましょう。
まとめ
一般的に、マンションやアパートを所有するなら物件価格の3割を自己資金で、7割を不動産投資ローンで支払います。一方で、「預貯金を残しておきたい」「レバレッジ効果を利かせたい」という理由から、フルローンや少額投資を選ぶ投資家がいるのも事実です。また、複数の投資家で出資する方法もあり、低資金でも始められるようになっています。
将来に向けてしっかりと資産形成をしたいと望むなら、自身に合った頭金を用意することをおすすめします。信頼できる不動産投資会社に相談すれば、目的や収入に考慮した上で、最適なプランを提示してくれるでしょう。