不動産投資に関心がありつつも、どのような流れで進めるのかがわからない方もいるのではないでしょうか。とくに初心者であれば、流れを知って見通しを立てたいものです。
そこでこの記事では、不動産投資の流れについて解説します。具体的な流れがわかることで、自分にとってやりやすい不動産投資を行えるでしょう。
不動産投資を始める前に初心者が注意すべきことや運用のポイントも、合わせて紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
不動産投資で物件を購入するまでの流れ
物件購入までには、次の手順をふみます。
- 目的を定める
- 不動産投資や物件の情報を集める
- 物件の問い合わせや資料請求を行う
- 現地調査や内覧に行く
- 買付申込書を提出する
- 金融機関に融資を申し込む
- 売主と売買契約を結ぶ
- 管理会社を選ぶ
- 金融機関と金銭消費賃借契約を結ぶ
- 物件を引き渡す
「いつ・どのようなことをすべきか」が事前にわかれば、計画的に不動産投資を始めらます。
1.不動産投資を始める目的を定める
はじめに不動産投資の目的を決めましょう。次のように具体的な目的を考えます。
- 退職後20年の生活資金を増やしたい
- 相続税を軽減したい
- 高い資産価値を保ち続けたい
- 将来的に3件は所有したい
次に、ご自身の現在の経済状況や家庭環境などを把握します。目的を達成できるだけのローン返済ができるかを知るためです。
- 子どもが自立していて、金銭的に余裕がある
- 退職まであと10年で、退職金は2,000万円程度である
- 住宅ローンが20年残っている
- 介護で出費が出る可能性がある
目的と現状の明確化は、上手な運用に欠かせないことです。どのような情報を収集すべきかが鮮明にもなります。ご家族とも話し合って、目的を定めましょう。
2.不動産投資や物件の情報収集をする
次に、不動産投資や物件の情報収集を行います。不動産投資では、「どれだけ情報収集を行い、勉強するか」がカギです。
具体的には不動産会社や金融機関のサイトなどで、次のような情報を集めましょう。
- 販売価格
- エリアごとの価格差
- 間取り
- 何年のローンを組めるのか など
さらに不動産投資の概要の勉強も欠かせません。
- 表面利回りと実質利回り
- キャピタルゲインとインカムゲイン
- 元利均等返済と元金均等返済
- 団体信用生命保険のしくみ
- 一般的な不動産投資のメリットやリスク など
とくに初心者であれば、聞き慣れない言葉も多く混乱することも考えられます。情報収集や勉強で得た知識は、そのまま不動産投資の運用に直結してくるものです。
3.物件の問い合わせや資料請求をする
気になる物件が見つかったら、物件の問い合わせや資料請求を行いましょう。不動産会社のホームページから、問い合わせが可能です。店舗に出向けば、すぐに情報をキャッチできます。
さらに集めた資料をもとに、積算価格と収益価格を計算しましょう。積算価格とは、別々に評価された土地価格・建物価格を合わせたものです。土地価格は、国税庁が発表している相続税路線価などをベースに算出します。建物価格は、当該建物を新たに新築した場合の価格に、残りの耐用年数を掛けるものです。
一方で収益価格は、「家賃収入-諸経費」を還元利回り(投資額に対する家賃収入の割合)で算出できます。火災保険料や管理費などを入手して、計算してみましょう。
4.物件の現地調査や内覧をする
次に物件の現地調査や内覧を行いましょう。実際に足を運ぶことで、次のことがわかります。
- 入居者が入りたいと思えるか物件か
- 駅からの距離は適切か
- 外観や室内は綺麗か
- スーパーや病院は近くにあるか
- 入居者が埋まっているか
- 亀裂の入っている場所はないか
さらに不明点は、その場で不動産会社の担当者に聞きましょう。その会社が、本当に当該物件やエリアに精通しているかがわかります。質問しても回答があやふやな場合には、ほかの不動産会社も検討しましょう。逆に「出向いたからこそ聞ける耳より情報」を教えてくれる会社もあります。
不動産は、資料上ではわからないことも多くあるものです。遠い物件でも時間をかけて出向きましょう。
5.不動産投資の買付申込書を提出する
購入したい物件が決まったら、不動産投資会社に買付申込書を提出します。買付申込書とは、売主に対して「この物件をこの価格で購入したい」と意思表示するための書類です。
買付申込書には、以下の点を記入しましょう。買付申込書のひな形は、不動産会社に用意されてあります。
- 物件(物件名・所在地・構造・面積)
- 条件(購入希望金額・手付金・売買契約日)
- 支払方法(金融機関名・融資の有無)
- 書面の有効期限
- 買い主の情報(年収・勤務先)など
さらに、「ローンの審査が通らなかったら契約を無効にします」などの条件も付けられます。なお、買付申込書の提出後に意思が変わっても、法的拘束力はないため撤回は可能です。
6.金融機関に融資を申し込む
買付申込書を提出したら、金融機関に融資を申し込みましょう。事前審査が通れば、本審査に申し込めます。事前審査では、以下のような書類が必要です。
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 所得のわかるもの(源泉徴収票や確定申告書など)
- 金融資産のわかるもの(預貯金や生命保険などの名義や直近残高)
- 他の借り入れの償還予定表や返済口座通帳
- 対象物件の情報(事業計画書や賃貸契約書、登記簿謄本、物件パンフレットなど)
状況によってはほかの書類も必要になるため、詳しくは担当者に聞いておくことをおすすめします。
事前審査の期間は、約1週間です。さらに時間がかかることを考慮し、余裕を持って行動しましょう。
7.売主と売買契約を結ぶ
事前審査に通ったら、売主と売買契約を結びます。売買契約を結ぶ前に、宅地建物取引士から重要事項説明を受けなければなりません。宅地建物取引士には宅地建物取引業法により、書面交付と説明が義務づけられています。具体的な確認項目は、次のとおりです。
- 電気、水道、ガスの供給状況
- 耐震診断の内容
- 契約更新や解除
- 共有、専有部分の定め
- 管理の委託先 など
重要事項の説明がトラブルにつながるケースが、多発しています。不明点はしっかり質問して、解決しましょう。
なお契約時の手付金は契約によりますが、多くの場合で代金の20%以内です。現金や口座振り込みなどで支払います。いつまでに手付解除できるかも合わせて、確認しましょう。
8.管理会社の選定をする
物件を取得する際には、管理会社を選ばなければなりません。管理会社選びでは、次のような点を確認しましょう。
- 当該エリアに精通しているか
- 世の中の流れに敏感か
- 管理費は適切か
- どの範囲まで管理してくれるか
- 入居者募集に力を入れているか
- 保障内容は手厚いか
- 担当者は親切か
不動産投資は数十年と運用していくものです。管理会社と上手く付き合っていければ、より不動産投資が行いやすくなります。
なお前のオーナーから、管理会社を引き継ぐことも可能です。その際にはオーナーが満足して利用していたか、どのような管理体制だったかなどのリアルな声を聞いてみましょう。問題点が見つかれば、別の管理会社を探すことをおすすめします。
9.金融機関と金銭消費賃借契約を結ぶ
次に本審査を申し込み、本審査に通ったら金融機関と金銭消費賃借契約を結びます。ローンの本審査には、追加で以下の書類が必要です。
- 住民票の写し
- 印鑑証明書
- 住民税課税証明書
- 売買契約書・重要事項説明書
- 連帯債務人、連帯保証人の本人確認書類 など
本審査の期間は、約2週間です。さらに金融機関と金銭消費賃借契約を交わします。金銭消費賃借契約は、ローン返済について定めたものです。返済方法や利息などの重要事項も記載されてあるため、忘れずに確認しましょう。
契約時には、次の2点を準備しましょう。
・連帯債務人・連帯保証人の実印
場合によっては、団体信用生命保険の加入手続きも進めます。
10.物件の引渡しをする
最後に物件を引き渡しましょう。引き渡しと同時に、所有権移転登記と手付金の残金支払い義務も発生します。ローンを組んだ場合には、融資も実行されるものです。
スムーズな引き渡しのためにも、次の点に備えましょう。
- 現地に出向いて、物件や周辺環境を確認する
- 所有権移転登記のために司法書士に依頼し、本人確認書類や委任状を準備する
- 引っ越しを済ませる
- 電気、水道、ガスの精算を確認する など
引き渡しが終わったら、不動産会社に仲介手数料を支払います。売主からは鍵や関係書類を引き渡されるため、忘れずに受け取りましょう。
なお期日に引き渡しが行えないと、契約によっては違約金が発生することもあります。必要事項はしっかりと確認しましょう。
外国人が不動産投資をする場合は財務大臣に報告する必要がある
外国人が不動産投資を行う場合には、外為法に則って財務省に事後報告しなければなりません。外国人による不動産の取得は、「資本取引」に当たります。
「本邦にある不動産又はこれに関する権利の取得に関する報告書」に以下の事項を記載しましょう。
- 報告者の名前、国籍、住所、職業
- 取得の態様
- 不動産の内容
- 不動産の所在地
- 取得年月日
- 取得の対価 など
日本銀行の国際局国際収支課宛に、郵送もしくは「日本銀行外為法手続きオンラインシステム」にて提出します。期限は、「取引又は行為を行った日の翌日から起算して20日以内」です。スムーズに取引できるように、忘れずに報告しましょう。
不動産投資を始める前に│初心者が注意しておくべきこと
不動産投資を始める前に初心者が注意すべきことは、次の2つです。
・不動産投資ならではのリスクがあること
これらをあらかじめ把握することで、適切な対処法が取れます。不動産投資では、リスク管理が欠かせません。具体的にいくらキャッシュフローに影響するのかがわかれば、安定した運用が可能です。
不動産投資は多額のローンを組む
不動産投資では、多額のローンを組みます。不動産投資は中古か新築、一棟かワンルームかによっても異なりますが、数百万、数千万円単位でローンを組むものです。
たとえば1,000万円を借り入れ、30年間で返済すると仮定しましょう。毎月の返済額はおよそ4万5,000円です(金利3.5%の場合)。
借入額が増えたり返済期間が短くなったりすることで、毎月の返済額も増加します。キャッシュフローに大きく影響するため、ローン金額は十分に検討しましょう。
不動産投資ならではのリスクがある
以下のような、不動産投資ならではのリスクもあります。
- 家賃が下がる
- 突発的な修繕費がかかる
- 売却までに時間がかかる
- 空室が続く
- 入居者が家賃を滞納する
たとえば2020年上半期の関西圏(大阪府・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県・兵庫県)にある賃貸住宅の滞納率は、7.2%です。全国平均よりも2%高くなっています。
不動産は、次世代にまで引き継げる資産です。長い目で見た場合、多くのことに注意しなければなりません。
不動産投資を開始した後の運用のポイント
開始後の運用ポイントは、次の4つです。
- 空室対策を徹底する
- 競合物件との差別化をはかる
- 税金の控除を利用する
- 出口戦略を考える
安定経営を目指せるとはいえ、不動産投資にはリスクが付きものです。起こりうることを把握できれば、いざ発生したときに慌てずに済みます。不動産投資の流れとあわせて、運用ポイントも確認しましょう。
空室対策を徹底する
空室対策を徹底しましょう。入居者募集すべてを管理会社に任せるのではなく、積極的な対策が必要です。
具体的には以下の点を徹底しましょう。
- 老朽化対策のためにリフォームを行う
- 入居者を呼び込むために広告を打ち出す
- 入居者の要望に応える
空室を防ぐためには、物件に「魅力」を持たせなければなりません。リフォームを行ったら、ネット上に写真を掲載することも効果的です。自然災害があれば、入居者からヒアリングしましょう。口コミが広がれば、良い空室対策になります。
競合物件との差別化を図る
競合物件との差別化も重要です。同じエリアに物件が増えると、自分の物件の客付けが難しくなってきます。「物件の強みや魅力」を見つけることで、空室対策にもなります。
たとえば次のようにターゲットを絞ってみましょう。
- 独身女性が好むようなデザインにリフォームする
- ペット可の物件にする
- 高齢者が住みやすいようにバリアフリーにする
オリジナリティあふれる物件は、ブランドイメージがつきやすく、長期間にわたって支持されます。
税金の控除を利用する
税金の控除も利用しましょう。「所得税の青色申告承認申請書」を提出すれば、年間で最大65万円控除ができます。提出期限は、青色申告を行う年の3月15日、もしくは1月16日以後に事業を始めた場合にはその日から2か月以内です。
さらに次の項目を経費計上できます。
- 減価償却費
- 管理費、修繕費
- 火災保険料、地震保険料
- 通信費
- 司法書士報酬 など
領収書などを保管しておき、確定申告の際に収支内訳書や決算書に記入しましょう。
出口戦略を考えておく
出口戦略も欠かせません。不動産投資は物件選びだけではなく、物件を手放すタイミングも重要です。たとえば以下のような場合に、売却が考えられます。
- 世界的なイベントで値上がりする
- 以前より人口減少が問題になっている
- 自然災害が長期間発生していない など
ただし売りたいと思ったときにすぐに買い主が見つからないのが、不動産投資の難点です。売却活動が長期になることも見越して、利益最大化のために計画的に行動しましょう。
スムーズに不動産投資を始めるのなら実績のあるプロに任せよう!
スムーズに不動産投資を始めるためには、実績と信頼のあるプロの不動産投資会社にお願いしましょう。
信頼のある不動産投資会社は、オーナーや入居者を第一に考える会社です。空室対策や大規模修繕などの問題にも、責任をもって対応してくれます。不動産投資の流れを質問しても、すみやかに回答してくれるでしょう。不明点が解消できれば、積極的な運用が可能です。
多数の実績があれば、豊富な経験やノウハウを持っているため、オーナーの状況にあわせた不動産投資ができます。不動産投資は数年、数十年と運用するものです。ご家族に相続することも考えられます。短期的に見るのではなく、長期的に自分のパートナーとして行っていけるかを重視しましょう。
まとめ
不動産投資の流れは、以下のとおりです。
- 目的を定める
- 不動産投資や物件の情報を集める
- 物件の問い合わせや資料請求を行う
- 現地調査や内覧に行く
- 買付申込書を提出する
- 金融機関に融資を申し込む
- 売買契約を結ぶ
- 管理会社を選ぶ
- 金融機関と金銭消費賃借契約を結ぶ
- 物件を引き渡す
あわせて運用前後の注意点を知ることで、良いシミュレーションができます。不動産投資を始める際には、実績があり信頼できる会社を探しましょう。