マンション経営におけるリスクにはどのようなものがあるのでしょうか。また、その対処法はあるのでしょうか。
マンションの賃貸経営には、さまざまなリスクが存在します。空き室の問題であったり、入居者とのトラブルであったり、頭を抱えるような問題が発生することもあります。また、建物は老朽化していき、地震や火災などの災害にあう可能性も否定できません。
そこでこの記事では、マンション経営におけるリスクとその対処法についてご紹介します。しっかりとリスクヘッジをし、いつでも対処できるように備えておきましょう。
もくじ
マンション経営のリスク
マンション経営をはじめた方のなかには、これで不労所得が入ってくると安易に考えている方もいるかもしれません。しかし、マンション経営にはリスクがつきものともいわれます。
リスクを考えずによいことばかり考えていると、収入が入ってこないどころか、思ってもいない出費に悩まされることになるかもしれません。ここでは、マンション経営にはどのようなリスクがあるのかを詳しく見ていきましょう。
空き室が埋まらない
マンション経営で心配な問題のひとつに、空き室が埋まらない「空室リスク」が挙げられます。空き室になってしまえば、家賃収入は1円も入ってきません。
マンションを購入した後に空き室の状態が続くと、その期間のローン返済は自分の収入や預貯金から支払うことになります。
マンションを所有するためには、管理費や修繕積立金が必要です。入居者がいなくても、これらの費用は支払い続けなければなりません。
空き室が埋まらないときのリスクを考えないでいると、支出ばかり増えて収入が入ってこないという状態に陥ることもあります。
空き室の原因は、立地や賃料によるものが多いといわれています。投資物件を購入する際は、立地などの条件をよく検討してから購入するようにしましょう。
地震などの災害
日本は、災害の多い国といわれています。地震が多いだけでなく、台風などによる洪水や高潮のリスクにも常にさらされているといえるでしょう。
大地震や台風、洪水や高潮、津波、さらには都市型の災害も増えてきています。川から離れている場所であっても、大雨で下水があふれて冠水するなど、いつどこで災害にあうかわからないといってもよいかもしれません。
地震や水害にあった場合、災害の規模によっては購入した物件を一瞬で失う可能性もあります。大きな被害がなかったとしても、地震や水害で設備が壊れてしまい、修繕費がかさむこともありえます。
このような自然災害は、どれだけ対策しても被害を避けられるとは言い切れません。建物や設備が損傷すれば、修繕費が必要となります。災害リスクに備えて、保険の加入も検討してみましょう。
家賃を滞納される
マンション経営を行っていくうえで、切実な問題になりやすいのが家賃の滞納です。滞納が続くと、実質的に空き室と同じ状況になります。入居者がいるぶん、空き室よりも悪い状況といえるかもしれません。
それでは家賃滞納を防ぐ方法はないのでしょうか。家賃滞納への対策としてよい方法は、家賃が滞納されたときに補償してくれる会社に管理業務を委託することです。
管理業者に家賃の収納代行を依頼することで、実際に家賃滞納が起きたときにその分の家賃を保証してくれます。
いずれ建物が古くなる
マンション経営をするにあたり、建物の老朽化は避けることができません。建物は時間の経過とともに劣化し老朽化していきます。
また、建物が老朽化していくと入居者を集めづらくなります。周辺に新築のマンションやアパートができた場合、入居者を獲得するうえで不利になってしまいます。
空き室を埋めるために部屋をリフォームしたり家賃の見直しをしたり、当初の計画にはなかった出費や収入減に見舞われることになるかもしれません。
収支計画を立てる際は、管理費や修繕費などのランニングコストを想定して試算することを忘れないようにしましょう。
立地条件は変動する
マンションの購入を検討する際、近くに大学などがあるマンションを候補に考える方もいるでしょう。たしかに、大学生はよい入居者といえます。多くの学生は大学の近くに住むことを希望していて、定期的に入れ替わりもあります。
しかし、入居者の大半が近所の大学の学生だったり、近くにある企業に勤める社会人だったりした場合、大学や企業が別の場所に移転すると一気に需要がなくなってしまいます。そうなると、空き室が増えるリスクが高まることも覚えておかなければなりません
また、マンションの立地が悪い場合、よほどのプラス要素がない限り入居者は集まりにくくなります。郊外型の大学などは、駅から遠いところにキャンパスがあることも少なくありません。
その近くにあるマンションは、大学が移転してしまうとただの立地の悪いマンションと見られてしまいます。
こうしたリスクを避けるために、少しでも立地がよくできるだけ条件が変動しない土地のマンションを購入するようにしましょう。
入居者のトラブル
マンション経営では、入居者に問題があることも考えられます。毎晩のように隣の部屋から大音量の音楽が流れてくるなど、まわりの入居者からクレームが入ることもあるかもしれません。
クレームを入れるならまだよいものの、黙って出て行ってしまう方がいた場合は手の施しようがありません。こうしたトラブルには、迅速な対応が求められます。
また、部屋をゴミ屋敷にしてしまう方や、勝手にペットを飼う方の事例もよく耳にします。
それどころか、入居審査では問題ないと思えても実は反社会的勢力の一員であったり、日本に留学してきているはずの外国籍の方が不法滞在していたりすることも考えられます。
このようなトラブルがあった場合でも法的には借り主の立場が強いため、退去してもらいたくても簡単にはいかないことが多いようです。
トラブルを避けるためにも経験豊富な管理会社を選ぶことが重要です。実際にトラブルが起きたときにはプロに対応してもらうことで解決することもあります。
マンション経営のリスクヘッジ
マンション経営を検討するのであれば、リスクヘッジも重要です。現在の条件だけでなく、将来的にどのようなリスクが存在するかも含めて検討してみましょう。
リスクによっては、対策をとることで避けられるものもあります。しっかりと検討したかどうかが、マンション経営で成功する鍵といえるでしょう。
随時修繕や家賃の見直しを行う
新築マンションは、最初こそ相場より高い金額でも貸せますが、マンションの場所が悪ければ数年もすると毎年1%以上も家賃が下がります。場所が悪い場合は築年数が古いほど、安くないと借り手がつきません。
そのため、部屋を定期的にリフォームしてきれいにすることが必要です。新品同様の部屋であれば、少し家賃が高くても借りる方はいるでしょう。
家賃の見直しも検討項目のひとつです。築年数やまわりの相場にあわせて、家賃を見直してみましょう。相応の値段であれば空き室を防げるでしょう。
あるいは、購入の際に家賃が下がりにくい好立地の物件を選ぶようにしましょう。
必要な保険・保証会社に加入する
地震や台風などの災害もしくは火災などによって建物に被害を受ける可能性は、どのマンションにも存在します。
1部屋の火災でも多額の修繕費がかかり、さらに全体が使用不可能になれば1棟丸ごと建て替えることになるかもしれません。このようなリスクに備え、地震保険や火災保険に加入しておきましょう。
そのほか家賃を滞納されたときに使える、家賃滞納保証といったものもあります。リスクに備えて保険や保証が必要か、しっかりと考えるようにしましょう。
立地状況を丁寧にリサーチする
入居するマンションを探す際に、立地条件は非常に重要です。立地が悪い場合は、よほどのプラス要素がない限り入居者は集まりにくいと考えられます。
立地といっても駅からの距離だけが重要なわけではありません。近くに小中学校があったり、病院や役所などの公共施設があったりする土地は、ほかよりも人気が高くなる傾向にあります。
マンションを購入するときは、近隣の方の動きを把握して、生活に便利な場所やアクセスのよい場所を選ぶようにしましょう。
また、近くに大学や企業などがあって入居者が見込める場合でも、将来移転を検討しているかなどの情報も確認し、需要が続くかどうかを判断することも大切です。
クレーム対応を熟知した不動産会社に依頼する
入居者によるクレームには、できるだけ早めに対応することが重要です。クレームへの対応が遅れると、近隣の住人とのトラブルに発展することもあり、入居者が退去してしまうことも考えられます。
不動産会社に管理を任せている場合は、その不動産会社の担当者がクレーム対応をすることになります。対応に慣れた会社であれば、問題を大きくせずにクレームを解決してくれるでしょう。
クレーム対応に不慣れな会社や積極的ではない会社の場合は、より大きな問題に発展することもあります。不動産管理会社を選ぶ際には、クレームにも誠実に対応してくれるかも含めて検討しましょう。
マンション経営で注意すべきこと
これまで、マンションを賃貸経営する際のリスクや対処方法を紹介してきました。そこで、マンション経営をはじめるにあたって注意したいポイントを確認していきましょう。
節税のためだけに投資しない
マンション経営は貸家事業であるため、投資対象の建物には減価償却費の計上が認められています。また、経費が家賃収入を上回った赤字の年度には、その赤字と勤め先の所得とを損益通算できるため節税につながります。
このように、マンション経営には減価償却費計上による節税メリットや、損益通算による節税効果が見込めます。
しかし、マンション経営をするのであれば節税することを目的とせずに、収益を出すことを目的とした方がよいでしょう。損益通算により所得税が節税できるということは、マンション経営の収支が赤字であるということです。
給与収入と損益通算して節税になるといえば聞こえはよいかもしれませんが、節税以上の赤字が出てしまっては意味がありません。
長期的な視点を持つ
バブル全盛期に流行したマンション経営は、売却益が目的のキャピタルゲイン投資が一般的でした。借金をしてでもマンションを購入すれば、数年後には値上がりして売却益を手にできたのです。
しかし現在は、不動産価格は低迷したままです。不動産の価格は下がらないという考え方は過去の話で、売却したときの価格が購入したときの価格を下回ることも増えてきています。
マンション経営で利益を上げるのであれば、キャピタルゲインではなくインカムゲインを狙いましょう。不動産を所有し続けて、長期的な家賃収入を目指すことがよい結果につながると考えられます。
家賃収入を確実に得るために、信頼できる不動産会社に管理を委託して、入居者の管理をしっかりと行ってもらうことが大切です。
物件選びは慎重に
長期の家賃収入を目指す場合は、物件選びも重要です。入居者は立地条件や建物の状態などによって、自分が住む部屋を選びます。
条件がよくない場合には、空き室になってしまったり、賃料を下げて入居者を探したりしなければなりません。
中古物件を探すときは、建物の管理やメンテナンスの状態がよい物件を選びましょう。
管理やメンテナンスが行き届いていないと、入居者が現れないばかりか思わぬ修繕費がかかって苦労することにもつながります。物件選びは慎重に行いましょう。
建物自体の状態も重要ですが、建物を管理する不動産会社選びも重要です。管理やメンテナンスがしっかり行われていないと、建物や設備はすぐに劣化してしまいます。
思わぬトラブルを避けるためにも、慎重に選びましょう。
まとめ
建物の劣化や入居者トラブルなど、マンション経営にリスクはつきものといわれていますが、保険や保証に加入したり事前に資金計画を立てておいたりすることで、リスクによる損害は減らすことができます。
また、不動産会社に運営管理を委託することで、それらのトラブルを最小限に抑えることも可能です。
運営管理を委託する時は、マンション管理や賃貸管理だけではなく、物件の販売や売却相談など多様なニーズに応えられる、キャリアの長い(創業30年以上)会社を選ぶのが良いでしょう。