不動産投資に興味があっても、失敗したら自己破産をするのではないかと思ってスタートできない方もいるのではないでしょうか。不動産投資で自己破産に陥るというのは、物件を手放してもマイナスになって全ての財産を失ってしまうことを意味します。
そこでこの記事では、不動産投資が本当に高リスクな資産運用なのか、失敗を防ぐにはどのようにすれば良いのかをご紹介します。必要な知識を付けて不動産投資をスタートすれば、自己破産リスクを大幅に下げられるでしょう。
不動産投資は自己破産のリスクが高い?
不動産投資は本当に自己破産のリスクが高いのか解説します。不動産投資で利益を得る仕組みをチェックすれば、実際にどうなのか理解できるでしょう。
自己破産のリスクが高いケースも存在するので、併せてご紹介します。不動産投資のシステムやリスクをきちんと理解すれば、自己破産を防ぐためにどのようにしたら良いか分かるでしょう。
不動産投資で利益を得る仕組み
不動産投資で利益を得る仕組みはキャピタルゲインです。不動産を運用して家賃収入で利益を得ることをメインに考える方もいますが、キャピタルゲインによって利益を得ることを重視したほうが良いでしょう。
キャピタルゲインとは売却差益のことで、購入時より売却時の価格が高い場合に発生します。不動産投資では、購入時より地価が上がると高く売却が可能です。従って、地価が上昇する可能性が高いエリアの不動産を購入すると良いでしょう。
購入時より大幅に高い価格で売却できれば大きな利益を得られます。
自己破産リスクが高くなるケース
不動産投資で自己破産のリスクが高くなるケースに注意しましょう。以下の条件に該当している場合などにリスクが高くなります。
- 不動産投資ローン(アパートローン)の金利が高い
- 物件価格の下落幅が大きい
- 物件の収益性が低い
- 利回りだけを重視して高額な物件を購入した
- 災害で大きな被害を受けた
物件自体に問題があったり、災害などの予期しない事態が発生したりすると自己破産リスクが高まるでしょう。慎重に物件を選び、必要な保険に加入することが大切です。
不動産投資において、地主や法人ファンドは積極的に利益を出せます。その理由は以下の通りです。
- 地主:所有している土地のうち、賃貸需要が高い土地に投資用物件を建設すれば利回りを高められる
- 法人ファンド:利益の90%以上を投資主に還元すれば法人税がほぼ免除される(租税特別措置法第67条の15)
不動産投資の借金で自己破産するまでの流れ
不動産投資による負債が原因で自己破産をするまでの流れを5つに分けてみます。突然自己破産に陥るものではなく、徐々に状況が悪化するのが特徴です。
不動産投資の状況が悪化し始めたと感じたなら、早めに気付いて必要な対策をすることが大切でしょう。収入が減少してローン返済が難しいと感じたら要注意です。
1.空室リスクや家賃の引き下げによる家賃収入の減少
空室が増えたり、家賃を引き下げたりすると家賃収入が減少し、自己破産の引き金になります。設備の故障によって修繕しなければならないときや、災害によって損失が発生した場合にも利益が減少するでしょう。
何らかの原因によって、実際に得られた利益が予定していたものより大幅に減少すると、自己破産のリスクが高まります。
2.不動産投資ローンの返済が滞る
十分な家賃収入を得られなくなると、不動産投資ローン(アパートローン)の返済が難しくなるでしょう。家賃収入で返済できなくなると、不足分を貯金や別の収入(事業収入や給与収入)などで穴埋めしなければなりません。
貯金が尽きるなどして必要な金銭を捻出できなくなると、返済が滞ります。
3.金融機関から督促状が届く
返済が滞ると融資を受けた金融機関から督促状が届き、滞納分を速やかに返済するよう求められるでしょう。
督促状を無視し続けて3〜6か月経過すると金融機関は回収困難と判断し、債権(返済を求める権利)が債権回収会社に移行します。債権回収会社に移行した後は、債権回収会社に対して返済しなければなりません。
4.債権回収会社が担保物件を競売にかける
債権回収会社が返済を求めても債務者が応じないときは、担保物件を競売で売却して回収します。債権回収会社が裁判所に競売を申し立て、裁判所が実施するのが基本的な流れです。
競売を実施するには数か月程度の時間がかかります。裁判所が指定する開札日までなら任意売却できるので、競売を回避したいなら早めに行動しましょう。
5.残債の返済ができなければ自己破産
競売や任意売却で物件を売却しても、残債がある場合は返済を続けなければなりません。返済できる場合は問題ありませんが、返済のめどが立たないケースでは自己破産を選択することになるでしょう。
自己破産を選択するときは裁判所に申し立て、破産手続きと免責手続きをします。裁判所から免責許可決定を受けて確定すれば、不動産投資ローンの債務が消滅するので返済する必要はありません。
自己破産後の生活への影響は?
自己破産をすると生活に影響が出るのではないかと心配している方もいるのではないでしょうか。自己破産をすると、財産を処分したり新規でローンを組めなくなったりするなど、ある程度の影響が出ます。
ここでは自己破産が生活にどのように影響するか詳しく解説するので、自己破産を選択する前にひと通りチェックしましょう。
財産を処分しなければならない
自己破産をしたときは、基本的に破産者が持つ財産を処分して債権者に配当します。ただし、全ての財産を処分するものではなく、「自由財産」と呼ばれる一部のものは処分する必要がありません。
自由財産とは破産法第34条が規定している財産で、99万円以下の現金や時価20万円以下の物品が含まれます。これらの財産は生活再建に必要なものと考えられており、自己破産しても処分は不要です。
仕事への影響はほとんどない
自己破産をしたからといって、会社を解雇されたり事業を失ったりする心配はありません。ただし、弁護士や税理士、司法書士といった一部の士業や生命保険募集人、宅地建物取引士は自己破産手続き期間中に就業が制限されます。
免責許可決定が確定すれば復権するので、それ以降は就業に制限がかかることはありません。
新規のローンや借入ができない
自己破産すると、CIC(シー・アイ・シー)やJICC(日本信用情報機構)などの個人信用情報機関にその記録が残ります。自己破産の記録が残った状態でクレジットカードやカードローン、住宅ローンなどを申し込んでも審査に通過せず、契約できません。
この記録は個人信用情報期間によって5〜10年残るので、新たなクレジットカードなどは記録が消えてから申し込みましょう。
不動産投資の失敗で自己破産以外にできる対処法
不動産投資に失敗したからといって、自己破産をする必要はありません。うまく対処すれば自己破産以外の選択肢もあるので、状況を考慮して適切な方法を選ぶ必要があるでしょう。
ここでは、不動産投資に失敗したときの対処法として、自己破産以外の方法を4つご紹介します。いずれも早めに行動することが大切なので、不動産投資ローンの返済が難しくなりそうだと感じたらすぐに対処しましょう。
返済計画の見直しをする
ローンの返済が難しくなりそうなら、融資を受けた金融機関に相談して返済計画を見直すのも有効な対処法のひとつです。これをリスケジュールといい、一定期間返済を猶予してもらったり返済額を軽減してもらったりできます。
ただし、返済計画の見直しは一時的に資金繰りが厳しくなっているケースの対処法です。返済計画を見直しても状況が改善しない可能性が高ければ効果はないでしょう。返済計画の見直しが認められるかは金融機関が判断するため、断られる可能性もあります。
任意売却をする
債権回収会社が物件を競売にかける前に任意売却するのもおすすめです。競売は市場価格より安く落札される可能性が高いものの、任意売却なら市場価格に近い金額で売却できる可能性があります。
ローン返済中の物件を任意売却するケースでは、融資した金融機関の同意が必要です。あらかじめ金融機関に相談し、任意売却を検討しましょう。なお、任意売却してもローンの残債がある場合は、完済するまで返済し続けなければなりません。
任意整理をする
任意整理とは、融資した金融機関と交渉して返済額・返済期間を調整したり、利息を減らしたりする方法です。任意整理をすると返済額そのものが少なくなるので、負担を軽減できます。
返済計画を見直して返済額を調整することも可能ですが、その場合には返済額そのものは変わりません。ここが返済計画の見直しと任意整理の大きな違いです。
任意整理をするのに裁判所の許可を受ける必要はありませんが、債務者と債権者の間に弁護士が入って交渉するケースが多いでしょう。
個人再生をする
個人再生とは、裁判所の認可を受けて債務の一部を免除する手続きです。個人再生の認可を受けると返済総額が少なくなり、減額した後の金額を原則として3年間で分割して返済します。
計画通りに返済すれば、非免責債権などの一部を除いた債務が免除されるので、負担を大幅に減らせるでしょう。任意整理よりも減額幅が大きく、自己破産したときとは異なり自己居住用の不動産や車などを手放さなくても済みます。
個人再生をするには、「借金総額が5,000万円以下であること」「将来的に継続的な収入を得る見込みがあること」の条件を満たさなければなりません。
不動産投資で失敗しないための3つのコツ
不動産投資で自己破産に陥ることを防ぐには、失敗しないような計画を立てて取り組むことが大切です。ここからは、不動産投資で失敗しないために押さえておきたいポイントを3つご紹介します。
可能な限りリスクを低減して不動産投資に取り組みたい方は、ぜひひと通りチェックしましょう。
不動産投資のノウハウを知る
必要な知識を身に付けずに不動産投資に取り組んでも、失敗するリスクが高くなります。不動産投資や投資ビジネスに関する知識を付けてからスタートすると良いでしょう。
経営や経理、経済学の知識を付ければ、実際的な投資戦略を建てるのに役立ちます。賃貸需要が高いエリアの見極め方や収益力が高い物件を探す方法など、不動産投資のノウハウも大切です。
購入前に物件の評価や市場調査をする
購入したい物件が見つかったら、事前に物件を評価しましょう。評価したいポイントは以下の通りです。
- 立地や家賃相場、賃貸需要などを総合的に考慮して投資対象として適しているか
- 積算価格(土地価格+建物価格)を計算して融資対象になるか
- 物件のクオリティ(長期的に運用できそうか、老朽化が激しくないか)
これらの情報をチェックするときは、不動産業者から聞き出すだけではなく自分で現地に行って確認することも大切です。
長期的な資金計画を立てる
投資対象として適切な物件を見つけたら、長期的な資金計画を立てましょう。運用中に必要になる修繕費や災害リスクを考慮し、自己資金を準備します。突発的な修繕や長期間の空室が発生しても費用を賄えるように、十分な資金を手元に残すことが大切です。
1棟マンションでは大規模修繕に多額の費用がかかるので、不動産投資の収益から修繕費を取り分けておきましょう。
まとめ
不動産投資で予定していた利益を得られなくなると、返済が滞って自己破産に陥る可能性があります。自己破産に陥らないためには、不動産投資のノウハウを学び、無理のない資金計画を立てることが大切です。
効果的に運用したいなら、不動産投資に精通した専門家のサポートを受けましょう。可能な限りリスクを低減するには、実績があって信頼できる不動産投資会社と連携するのがおすすめとなります。