急な病気やケガで病院に駆け込んだら、思っていたよりも医療費が高額で焦ってしまった経験はないでしょうか。日本では国民全員が公的医療保険に加入しており、窓口での自己負担は一部ですが、それでも数万円にのぼることがあります。
実は、予想外の医療費でも、支払い時に慌てずにすむ方法があります。近年、対応する病院が増加傾向にあるクレジットカード払いです。また、クレジットカードで支払うと、現金払いにはないメリットも得られます。
医療費のクレジットカード払いについて、本当にデメリットはないのか、注意点も含めてみていきましょう。
もくじ
医療費の支払いにクレジットカードを使うメリット
医療費のクレジットカード払いにはさまざまなメリットがあります。体調の悪いときは、ほんの少しの手間でも負担に感じるものです。クレジットカード払いであれば、お釣りが発生しないので、現金でやり取りするわずらわしさがありません。
医療費をクレジットカードで支払うことで得られるメリットを、3つご紹介します。
現金が不要で管理も楽
クレジットカード払いであれば、事前に銀行やATMで現金を引き出す必要がなく、直接病院へ向かえます。また、会計窓口でも、面倒な現金のやり取りが発生しません。
さらに、その場で受け取る領収書を紛失しても、利用明細で支払った金額を確認できることもクレジットカード払いの大きなメリットです。最近ではインターネットで確認できるサービスも増えているため、自分の医療費がいくらかかったのかをいつでも手軽に確認できます。
分割払いを利用できる
クレジットカードの強みは、分割払いで無理なく費用を支払えることです。いつ病気やケガで病院にかかることになるかは、誰にも予想できません。手持ち資金がないタイミングでも、クレジットカード払いであれば、予期せぬ入院などで高額な医療費がかかっても計画的に支払えます。
大学病院や総合病院などの大きな病院では、ほとんどの場合、支払い時に分割払いを選択できますが、すべての病院が分割払いに対応しているわけではありません。ただし、支払い時に分割払いができない場合でも、あとから支払い方法を変更できるカードも数多くあるので、事前にカード会社に確認しておきましょう。
ポイントやマイルを獲得できる
病院や薬局で請求される医療費は、値引きがされません。医療費の一部負担金に対する値引きは、法律で禁止されています。しかし、クレジットカード払いでポイントやマイルを獲得すれば、実質的には医療費が値引きされたことになります。
対応している病院では、手元に資金がある場合でもクレジットカードでの支払いを検討してみましょう。とくに、通院の必要な症状がある場合、継続的に支払いが発生するのでポイントを獲得したほうがお得です。
クレジットカード以外にも広がる医療費の支払い方法
クレジットカード以外にも、多くの病院ではキャッシュレス決済の導入が進んでいます。想定外に病院へいくことになっても、普段使っている支払い方法を利用できると便利ですよね。
クレジットカード以外の代表的なキャッシュレス決済をいくつかご紹介します。
キャッシュレス対応の病院が増えている
経済産業省は、2025年までにキャッシュレス決済比率4割を目標に掲げています。これに伴い、キャッシュレスに対応する医療機関も増加しています。
一方で、キャッシュレス導入に踏み切れない医療機関も多いのが現状です。キャッシュレス決済を導入すると、医療機関が初期費用や利用額の手数料を支払わなければなりません。とくに小規模な病院では、これらのコストが大きな負担になってしまいます。
ただし、キャッシュレス化は政府の方針であるため、今後対応する病院はさらに増加すると見込まれています。
QRコード決済
QRコード決済は、専用のアプリをスマートフォンにインストールし、カメラで支払い用のQRコードを読み取ることで決済します。楽天ペイ、PayPay、Line Payなどさまざまな種類のQRコード決済サービスが登場していますが、基本的な使い方はどのサービスでも同様です。
QRコード決済をすると、クレジットカードと同じくポイントやさまざまな特典を受けられます。生活圏で普及している、もしくは特典が自分にとって有利なサービスを選びましょう。
電子マネー決済
電子マネー決済は、ICカードやスマートフォンに残高をチャージし、専用の端末にかざすことで決済するサービスです。とくに交通機関で普及が進んでおり、いまでは多くの人が電子マネー決済で電車やバスを利用しています。
電子マネーには、交通機関が発行する交通系と、小売店が発行する流通系の2種類があります。代表的な交通系電子マネーは、JR東日本が発行するSuica、JR西日本が発行するICOCAなどです。さらに、地方の交通機関が独自に発行している電子マネーも数多くあります。一方、代表的な流通系電子マネーは、イオンリテール株式会社が発行するWAON、株式会社セブン&アイ・ホールディングスが発行するnanacoなどです。
デビットカード決済
デビットカード決済は、現金を直接引き出すことなくキャッシュカードで決済をする方法です。使い方はクレジットカードと同様で、カードを使用すると同時に登録した銀行口座から利用額が引き落とされます。
ただし、支払い上限額は銀行口座の残高となるため、残高不足には注意しましょう。
医療費の支払いにクレジットカードを使う際の注意点
医療費の支払いにクレジットカードを利用すること自体には、ほとんどデメリットはありません。しかし、利用するにあたって、いくつか注意すべきポイントがあります。
お得で便利なクレジットカード払いを有効に活用するためにも、注意点を把握しておきましょう。
利用できない病院や医療機関がある
クレジットカード払いは、すべての医療機関で利用できるわけではありません。クレジットカードで支払うつもりで病院へいったのに、現金払いしか受け付けていなければ困ってしまいます。
厚生労働省の2019年の調査結果によると、クレジットカードおよびデビットカード決済を導入している医療機関は、全体の49%にとどまっています。約半数の医療機関でクレジットカードが利用できない状況です。現在では多少導入が進んでいると見込まれますが、それでも十分に普及しているとはいえません。
クレジットカード決済は、大学病院や総合病院などの大規模病院を中心に普及が進んでいるものの、逆に地域の診療所などの小規模病院では導入が遅れているので注意が必要です。
医療費の支払いにクレジットカードを使いたい場合は、医療機関のホームページなどで事前に支払い方法を確認しましょう。
クレジットカードには限度額がある
クレジットカードには利用限度額があります。カードによって利用限度額は異なりますが、入院費用や手術費用など、医療費が高額になる場合は注意が必要です。いざ窓口で支払う際に利用限度額を超えていると、クレジットカード決済が通りません。
また、医療費が利用限度額内に収まったとしても、利用枠が圧迫されて日常生活の決済に使用できなくなるおそれがあります。クレジットカード払いを利用する際は、事前に利用限度額と請求金額を確認することが大切です。
なお、カード会社に申請して審査を受けることで、利用限度額を引き上げられる可能性があります。高額な医療費を継続してクレジット決済したい場合は、利用限度額の引き上げをカード会社に相談しましょう。
病院でクレジットカードを使うことにデメリットはないが注意点はある
医療費のクレジットカード決済に、大きなデメリットは見当たりません。現金払いの手間が軽減されるほか、ポイントなどの特典にもつながるなど、医療費を支払う側にとっては大きなメリットがあります。
医療機関のキャッシュレス対応は今後さらに普及すると見込まれており、クレジットカード決済を始めとするさまざまな決済方法の選択肢が増えることも期待できます。
一方で、まだクレジットカード払いに対応していない病院もある点には注意が必要です。また、高額な入院費用や手術費用をクレジットカードで支払う場合は、クレジットカードの限度額内であるかを確認しましょう。
便利な医療費のクレジットカード払いを、ぜひ積極的に活用してくださいね。