やりたいことは色々あるけれど、将来のために貯金を考え始める20代。20代でどの程度貯金をすればよいのか、これから始めるにあたって目安が気になるところです。
そこで本記事では、20代の平均的な貯金額と中央値、20代によくあるライフイベントと費用を紹介します。無理なく続けられる貯蓄方法も紹介するので、効率的に資産を増やしたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
もくじ
20代の平均年収と貯金
アルバイトではなく、初めて定職について働き始める方が多い20代。仕事を頑張りながら休日には趣味や自己啓発に時間を使うなど、やりたいことがたくさんでてくる年代です。一方で、多くの方の収入は十分な額とはいえず、そのほとんどが日々の生活費として消えていきます。
一般的な20代はどのくらいの金額を貯金できているのか、平均貯蓄額を平均年収額とあわせてみていきましょう。
貯金をするのがむずかしい20代
20代はまだ収入が少ないため、貯金をするのは簡単ではありません。国税庁が公表した令和3年分の「民間給与実態統計調査」によると、20代全体の平均年収は320万円です。さらに、20代前半と後半にわけてみると、25〜29歳の平均年収が371万円まで上昇しているのに対して、前半の20〜24歳では300万円にも届きません。しかも、税金や社会保険料などが給与から天引きされるため、最終的な手取り額はさらに少なくなります。
収入のほとんどが家賃や生活費で消えてしまうため、貯金をするためには節約をするなど適切な資金計画が不可欠です。
20代の平均貯金額と中央値
令和4年家計の金融行動に関する世論調査によると、20代単身者の平均貯金額は307万円、中央値は70万円です。二人世帯の場合は、平均貯金額が339万円、中央値は200万円となっています。
中央値とは、データを並べた際の、中間にあたる数値です。貯金額が2,000万円など上下に突出した数字があった場合、平均額が引っ張られて実態が掴みにくくなります。一方、中央値は実態に近い数値なので、目安の数字としては実用的です。
さらに、平均貯蓄額の内訳をみると、財形貯蓄や個人年金保険を除く貯金額の中央値は単身者で20万円、二人世帯でも44万円となっています。給与所得の少ない20代では、やはり貯金を増やすことは難しいようです。
20代によくあるライフイベントとその費用
20代では、ライフイベントはあまり多くありません。一方で、将来に向けた自己投資を考えたい年代です。
大きな出費をともなう、20代で経験するライフイベントを3つご紹介します。さまざまな選択が可能な20代では、紹介する内容が必ずしも当てはまるとは限りませんが、貯金があれば選択の幅が広がることを知っておきましょう。
最大のライフイベントは結婚
晩婚化が進んでいるといわれていますが、やはり20代最大のライフイベントは結婚です。内閣府「男女共同参画局」の公表によると、令和2年の年齢別初婚件数でもっとも多い婚姻年齢は、男女共に20代でした。共働きの家庭も増えているので収入は多くなりますが、約半数が挙式をおこなうというデータも示すとおり、結婚式費用が大きな出費となります。
結婚情報誌「ゼクシィ」の調査では、結婚式から新婚旅行までにかかる平均費用は約371万円。さらに、新生活の準備金として約60万円が必要になるといわれています。
ただし、一般的な結婚式を挙げる場合、費用の全額を自己負担する必要はありません。出席者から受け取るご祝儀で補てんできます。結婚式の内容によっては、全額をご祝儀でまかなえるケースもあるでしょう。
海外旅行や留学で見識を広げる
20代での経験は、その後の人生に大きく影響を与えます。可能であれば、できるだけ海外に出て見識を広げましょう。また、単身世帯が多いので、思い切って留学する人も少なくありません。
旅行であれば、アジア方面は7万〜20万円、ハワイや北アメリカなどへは20万〜35万円が平均的な費用です。一方、海外留学の場合はまとまった費用が必要になります。留学期間や渡航先にもよりますが、1年間の語学留学をするには300万円程度の費用が必要です。
20代にとっては大きな金額ですが、経験はお金には代えられません。計画的に貯金をして、体力、家族状況ともに身軽な20代のうちに実現してください。
20代で起業する人も多い
実は、20代のうちに起業する人も少なくありません。日本政策金融公庫の「2022年度起業と起業意識に関する調査」によると、年代別の起業年齢は20代が35.4%にものぼります。
新しいことに挑戦する情熱と体力があり、万が一失敗してもやり直しができる点が、20代で起業するメリットです。
起業にかかる費用を平均額でみると約941万円ですが、半数近くの起業家は500万円未満で開業しています。業種によってはパソコン1台で開業できるので、より少ない資金で開業することも可能です。
20代におすすめの貯蓄方法
給与水準の低い20代で、わずかな現金を貯金してもあまり将来の備えにはなりません。一方で、ほかの年代よりも長い期間かけて貯蓄できるのが20代です。無理して大きな貯蓄を作るのではなく、少額でもコツコツと資産を増やすことを目指しましょう。
そこで、20代におすすめの貯蓄方法を3つご紹介します。
NISAでマイペースに積立投資
NISAは、一定額まで課税されない「少額投資非課税制度」です。投資で得た収益には、通常20%の税金が課せられますが、NISAは一定額まで非課税なので、収益額を満額受け取れます。しかも、毎月100円から始められるので、あまり大きな金額を投資できない20代におすすめの積立投資です。
20代にNISAをおすすめするもう1つの理由は、毎月の投資額を変更できる点です。収入が少なく経済的に不安定な20代でも、安心して積立投資を始められます。
さらに、現在のNISAで定められた投資枠や運用期間は、2024年度以降の新NISAで大幅に拡大されます。今まで以上に柔軟な対応が可能となるNISAへの投資を、ぜひ20代のうちから始めましょう。
万が一の補償と貯蓄ができる積立保険
積立保険とは、貯蓄性のある保険のことです。積立保険の種類はさまざまで、個人年金保険や養老保険、学資保険などがあります。掛け捨てタイプの保険とは異なり、支払期間の満了や払い戻し解約の際に払い込んだ保険料を受け取れます。
万が一に備えて保険に加入しつつ貯蓄もできるため、資金の限られる20代におすすめの貯蓄方法です。
1万円から投資ができる不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングであれば、投資金額が大きくなりがちな不動産投資を、月額1万円程度から始められます。クラウドファンディングとは、インターネットを通じて多数の投資家から資金を集めて運用する投資方法です。不動産クラウドファンディングでは、マンションだけではなく、大型商業施設や病院といった個人では投資できない物件も運用できます。
投資期間が短い点も、不動産クラウドファンディングの魅力です。投資期間は2〜3年程度に設定されていることが多いため、長期間資産を保有する決断ができない20代でも気軽に投資できます。ただし、リスクやデメリットもあるため、仕組みをしっかりと確認したうえで投資判断をしましょう。
【まとめ】長期投資ができる20代のうちから資産形成を始めよう
キャリアの浅い20代では、高収入はあまり期待できず、手元に多くのお金は残りません。20代で貯金をする際は、絶対的な金額の大きさではなく長期的な視点で目標設定をしましょう。20代の貯金額の中央値は、単身者で20万円ほどです。焦ることなく、コツコツと資産形成をすすめていきましょう。
また、20代で資産形成以上に大切なのは、将来に向けた自己投資です。海外旅行や留学、人脈づくりなど、見識を広げるための資金は貯金に勝ります。貯金のために小さな世界に閉じこもってしまっては、将来の幅が広がりません。ぜひ生きたお金を使いながら、無理のない貯金の計画を立ててくださいね。