「マンション投資をすると節税できる」とよくいわれます。投資によって所得が増えるのに、なぜ節税できるのでしょうか。しかも、会社員の方などが副業としてマンション投資をすると、本業の給与所得に対しての節税効果も期待できます。一方で、どんな条件でも節税できるわけではありません。
この記事では、マンション投資で得られる節税効果と仕組みについて詳しく解説します。節税対策をする際の注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてマンション投資を成功させてくださいね。
マンション投資をするなら節税について知っておくことが重要
マンション投資をして不動産収入を得られるようになると、収入が増えていくにつれて支払う税金も増加します。節税の知識がないまま税金を払っていては、せっかく投資で得た利益を無駄に使ってしまうことになるので注意が必要です。
マンション投資をするうえで欠かせない「節税」について、基本的なことを整理してご紹介します。
節税は法の範囲内で税金を軽減すること
節税とは、法律で定められている範囲できちんと経費計算などをおこない、支払うべき税金を抑えることです。法を逸脱しておこなう脱税とはまったく異なります。
しかし、節税への理解が不十分なまま、ただ闇雲に税金を減らすことを追求すると、無意識のうちに脱税してしまうことにもなりかねません。正しい知識を身につけて、適切な節税対策をおこないましょう。
マンション投資での節税対策は計画的におこなうことが重要
節税をするには事前の準備が必要です。たとえば、経費計上をしたくても領収書が手元になければ、証拠となるものがないので経費にできません。確定申告時にあわてて節税について考えても、対応できないことも数多くあります。
節税対策にはどんな方法があるのか、準備する書類はなにかといった基本情報を、事前に把握しておきましょう。とくに、サラリーマンの方にとって節税効果の高い減価償却費の取り扱いは、そもそもの仕組みを理解しておかないと、正しく計上できません。
マンション投資での節税ポイントを6つ紹介
税制は複雑になっているため、すべてを把握することは専門家でない限り簡単ではありません。重要なポイントに絞って理解して、確実に節税することが重要です。
マンション投資で節税効果が期待できるポイント6つをご紹介します。全体の収入金額など条件によって有利な節税対策が変わってくる項目もあるので、マンション投資での節税を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
ポイント①:整理しておくべきマンション投資で必要な経費
マンション投資で経費として計上できるものは多岐にわたります。事前にしっかりと把握し、もれなく経費に計上することが大切です。
マンション投資で必要となるおもな経費をご紹介します。管理費や修繕費のようなわかりやすいものだけではなく、不動産取得時の打ち合わせ費用なども経費として計上できます。見落としている経費がないか、ぜひ確認してみてください。
管理費
取得したマンションを管理するためにかかる費用です。清掃や設備の保守及び点検、消防設備の管理点検なども含まれます。
修繕費
破損した部分の修繕にかかる費用や、定期的なメンテナンスで発生する費用です。
大規模修繕への積立金
マンションの管理会社が徴収する、大規模修繕のための資金です。多くの場合、毎月定額の支払いとなっています。
管理会社への委託費用
取得したマンションの管理を不動産管理会社へ委託している場合は、その委託費用も経費計上が可能です。
ローン支払い分の利息
ローン返済総額ではなく、支払いで発生している利息分のみ経費として計上できます。
各種税金
マンションを取得すると発生する固定資産税や都市計画税なども、所得を得るためにかかる費用のため経費扱いが可能です。また、細かいところでは購入の際や領収書を発行する際の印紙代も経費になります。
損害保険料
火災保険や地震保険など、物件にかけている各種保険料も経費として取り扱えます。
ポイント②:マンション投資で取得した物件は減価償却費として長期間経費になる
不動産投資の節税対策のなかでも、有効な方法の1つが減価償却費の計上です。不動産物件の取得にかかった費用を、耐用年数に応じて分割したうえで経費に計上できます。実際の支出は取得時に完了しているため、支出がともなわない経費として、所得額の圧縮に有効な節税対策です。
耐用年数は法律で定められており、物件によって異なります。法定耐用年数は、木造建築物が22年、鉄筋コンクリートであれば47年です。ただし、土地の価格は減価償却の対象にはなりません。
また、高額な物件であれば、減価償却費を計上すると、家賃収入が経費の総額を下回ることもあります。不動産経営を見かけ上赤字にできるため、大幅な節税効果が見込めるでしょう。
ポイント③:会社員ならお得な損益通算
副業としてマンション投資をする、会社員の方が活用できる節税対策が損益通算です。会社員として得られる給与所得と、マンション投資での不動産所得を合算して税金の申告ができます。
損益通算で重要となってくるのが減価償却費の経費計上です。減価償却費によって不動産所得分を赤字としていれば、その分給与所得から減算できるため、課税対象額を減らせます。
ポイント④:家族がいるなら給与を支払って申告
「不動産経営」という言葉もあるように、マンション投資は事業です。家族がいれば、マンション投資事業の従業員として給与を支払うことで、節税につながります。マンション投資での収益を少しでも残すために、可能であれば家族を従業員にしましょう。
青色申告をしていれば、従業員に対する給与は全額経費扱いとなります。ただし、白色申告の場合は、給与を経費として計上できないため、必要に応じて青色申告に切り替えましょう。
ポイント⑤:マンション投資を含む課税所得が高い場合は法人化も検討
マンション投資も含めて課税所得が多い場合は、法人化することも検討しましょう。個人所得の場合の最大税率は55%ですが、法人所得の場合にかかる法人税の最大税率は23.2%です。(2022年11月現在)個人所得の税率が23.2%を上回る場合は、法人化したほうが節税できます。
ただし、法人化するには、会社設立の手続きや社会保険へ加入する手間や費用が必要です。個人の所得税と法人税が逆転するのは、利益が500万円程度出る場合ですが、手間やその他の費用を考えると、法人化のメリットを得られるのは900万円が目安となります。
ポイント⑥:マンション投資では経費以外にも節税が見込める
マンション投資をすると、毎年の所得税や住民税だけではなく、贈与税や相続税についても節税効果が見込めます。
その理由は、不動産を贈与、相続する場合は、課税対象が取得額ではなく評価額となるためです。評価額は実際の不動産価値の40%程度で算定されます。たとえば、1億円の現金を相続した場合は1億円全額が課税対象となりますが、同価値の不動産を相続した場合だと課税対象額は4,000万円程度です。
マンション投資で節税する際の注意点
マンション投資でできる節税対策にはさまざまな方法があります。利用できる制度はすべて活用して、投資効果の最大化を狙いましょう。
ただし、事前の確認不足や手続きを忘れていると節税できないこともあります。また、節税を目的に収益性の低い物件に投資をして資産を減らしてしまっては本末転倒です。ここでご紹介する注意点をおさえて、正しく節税をしてくださいね。
節税だけを目的にマンション投資をしない
節税を目的にマンション投資を始めると、投資本来の目的である資産形成がうまくいかないおそれがあります。節税はあくまでもマンション経営をした結果です。投資をする際は、投資対象としての魅力をしっかりと判断しましょう。
たとえば、すでに耐用年数を経過している築古物件であれば、減価償却費を短期間のうちに計上できるため、大きな節税効果が期待できます。しかし、古い物件は集客面で弱いため、肝心の入居者が決まらなければ、まったく利益があがらず赤字にもなりかねません。
売買契約書に建物価格が明記されていることを確認する
減価償却費の対象は、物件の建物のみです。経費で計上する際の根拠資料として、建物価格が必要となります。不動産売買契約書のなかには、物件全体の価格しか記載されていないこともあるため注意してください。
マンション投資での減価償却費による節税効果については、事前に知っておかないと見逃してしまうおそれがあります。税金の支払いで損をしないためにも、関係する税制についてしっかりと理解して、必要となる書類や情報を常に意識しておくことが重要です。
確定申告を必ずおこなう
節税をするためには経費を計上して課税対象額を減らす必要があるため、確定申告が不可欠です。また、年収が2000万以上もしくは、給与以外の所得が20万を超える場合は、そもそも確定申告が義務付けられています。
確定申告をおこなう際は、さまざまな書類を正しく準備しなければなりません。本業があり、時間の取れない方は、税理士への依頼も検討しましょう。
【まとめ】節税をしっかりとすればマンション投資の収益性があがる
節税は、収益性をあげるために欠かせない対策の1つです。マンション投資には、空室や災害への対応などのリスクがともないます。不測の事態にも対処して投資を成功させるためには、常に収益の最大化を図っておくことが重要です。
節税項目を正しく把握し、事前に準備しておくことで、節税効果を最大限に高められるでしょう。各種経費を計上するうえでは、日常的な領収書の保管が欠かせません。減価償却費や、副業の方であれば損益通算などの準備も必要です。
しっかりと収益を確保するために、日頃から節税対策を意識して、ぜひマンション投資を成功させてくださいね。