2024年から始まる新NISAは、改悪だという情報も耳にします。しかし、現行NISAよりもメリットが多くなり、ユーザーにとっての自由度があがる改変です。新NISAのメリットをしっかりと理解して活用すれば、決して改悪とはいえません。
本記事では、新NISAの変更点と、改悪といわれるポイントについて詳しく紹介します。新NISAに興味はあるけれど不安もあるという方は、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
新しく生まれ変わる新NISA
NISA(少額投資非課税制度)は、2014年に始まりました。2024年からは投資枠や非課税期間などが拡充し、新NISAへと生まれ変わります。
現行のNISA制度をおさらいしつつ、新NISAに移行する経緯をご紹介します。
現行NISAは2023年末まで
NISAとは「少額投資非課税制度」のことで、一定の金額、期間を定めて非課税で投資運用できる制度です。現在のNISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があります。
一般NISAは、年間120万円までの投資金額を、最長5年間非課税で運用できるもっとも古い制度です。つみたてNISAは、一般NISAの登場から4年後の2018年に開始されました。年間の投資額は40万円と少なめですが、最大で20年間も非課税で運用できます。ジュニアNISAは、未成年の子どものために作られた制度です。年間80万円を上限として、最長5年間の運用ができます。
期間限定の制度として開始されたNISAは、一般NISAとジュニアNISAは新規投資可能期間が2023年まで、つみたてNISAは2042年までの予定でした。しかし、2024年から新NISAが実施されることになったため、つみたてNISAを含む3種類すべてのNISAの新規買付が2023年末で終了となります。
2階建て構造案は廃止され新NISAはよりシンプルに
一般NISAの買付期間終了に伴い、検討が始まった新NISA案ですが、当初は一般NISAとつみたてNISAを縦に積み上げた2階建て構造でした。
しかし、ルールが複雑なうえ、投資可能金額も現行とさほど変わらなかったため、多方面から修正の声があがります。そこで、政府はさらに検討を重ね、2階建て構造ではなくルールもよりシンプルで分かりやすい制度に変更。非課税投資期間の撤廃や投資金額の大幅な引き上げなどが最終案としてまとまり、2022年12月26日「2023年度税制改正大綱」で新NISAが発表されました。
新NISAで注目される4つの改正ポイント
新NISAには、これまでの制度にはなかった改正ポイントがいくつもあります。現行NISAは投資期間や投資額にかなりの制限があるため、資産形成を目的に利用しても得られる収益は限られていました。
しかし、新NISAは、以前よりも柔軟性をもたせた制度になっています。具体的にどのように変わったのか、4つの改正ポイントをみていきましょう。
「成長投資枠」と「つみたて投資枠」は併用可能
2024年以降の一般NISAは「成長投資枠」、つみたてNISAは「つみたて投資枠」として生まれ変わり、枠の同時使用が可能となります。
これまでのNISAでは、一般NISAとつみたてNISAは併用できませんでした。また、投資対象も一般NISAは上場株式、つみたてNISAは一部の投資信託のみであるため、利用者にとって自由度の低い制度といえます。
また、成長投資枠の年間上限額は240万円、つみたて投資枠は120万円まで引き上げられます。枠の併用と投資枠の引き上げによって、より大きな収益が期待できるでしょう。
制度終了時期の恒久化
新NISAでは、投資期間が恒久化されることも注目ポイントです。これまでは、一般NISA、つみたてNISAともに新規投資期間が定められていました。また、投資で得られる収益や配当が非課税となる期間も、一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間までと現行のNISAでは限定的です。
しかし、新NISAでは投資期間と非課税期間のどちらも撤廃され、無期限で投資ができるようになります。制度終了時期の恒久化は、新NISAの大きな改正ポイントです。
総投資上限額は1,800万円
新NISAでは、総投資上限額が設定されます。総投資上限額とは、投資期間の恒久化に伴い新たに作られた制度です。つみたて投資枠では1,800万円まで、成長投資枠では1,200万円まで投資ができます。
たとえば、月5万円を投資すると年間60万円になり、30年間継続すると投資額の合計は1,800万円になります。これまで、投資枠にも期間にも制限のあった一般NISAやつみたてNISAと比較すると、かなり幅が拡充された制度です。
投資枠の再利用
新NISAでは、投資枠が再利用できるところも大きな変化です。これまでのNISAでは、一度利用した株を売却すると、その年に再投資はできませんでした。一方、新NISAでは、一度枠を売却しても、年間上限額を超えなければ再度買い付けができるようになります。
改悪と言われる新NISAの注意点とは
新NISAは、制度が拡充したことで注目されている一方、インターネット上などでは「改悪された」という情報もみられます。実は改悪といわれる理由は、自由度を増した制度になったためです。
制度の改正によって、これまで以上に投資のリスクが意識されることになった新NISA。注意すべきポイントを詳しく解説します。
銘柄選びのリスク
新NISAは、一般NISAとつみたてNISAが一本化されたことで、商品選びの自由度が格段に向上しました。一方で、投資先を自由に選べることは、リスクにもつながります。選択肢が多くなると、収益性の低い銘柄を選ぶ確率もあがるためです。
また、期限が撤廃されることで、運用中の売却タイミングも全面的に自己責任となります。
ジュニアNISAの廃止
未成年者を対象としたジュニアNISAは、2023年の期限をもって、廃止が決定されました。18歳以上が対象の新NISAに移行すると、未成年者の方は利用できなくなります。
しかし、実は新NISAであれば、子どものいる家庭でも現行NISA以上の金額を運用できることをご存じでしょうか。以下で、両親と子供2人の4人家族を想定した運用枠を比較してみましょう。
現行NISAの場合、両親が一般NISA(120万円×2人=240万円)、子供がジュニアNISA(80万円×2人=160万円)を利用すると、運用枠は合計で400万円です。
一方、新NISAでは、つみたて投資枠(120万円×2人=240万円)と成長投資枠(240万円×2人=480万円)の合計が720万円になり、現行NISAより320万円も多く投資ができます。
元本割れのリスク
新NISAに限らず、投資には元本割れのリスクがあります。元本割れとは、投資した金額よりも受け取れる金額が少なくなってしまうことです。元本割れのリスクを抑えながら、上手に投資をするためには「長期・分散・積立」を意識して運用しましょう。
運用期間が短期になるほどリスクは高まります。投資は長期間、コツコツと運用することが大切です。また、ひとつの金融商品に偏らず、さまざまなタイプの商品を選ぶと、リスクを抑えられます。
【まとめ】新NISAのメリットを活用して賢く資産形成をしよう
現行のNISAは制度をさらに拡充し、2024年から新NISAに変わります。投資期間の恒久化や投資金額が増えるなど、利用者にとって自由度の高い制度になる見込みです。
一方で、一般的な投資に近い自由度のある制度になることで、これまで以上に判断力やリスクに対する責任が求められます。多くの人が新NISAを「改悪」と感じるのは、自由度と同時にリスクが上昇した影響もあるかもしれません。
投資の基本や新NISAについてしっかりと理解して、堅実な資産形成を目指してくださいね。
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