iDeCoの掛金には、条件によって上限が定められていることをご存じでしょうか。とくに公務員は他の職種と比べて上限額が低く設定されているため、iDeCoに加入してもあまり意味がないと考えられてきました。
しかし、2024年の法改正により、公務員のiDeCo上限額が引き上げられます。そこで今回は、iDeCo改正のポイントやメリットについて解説します。今後加入を検討している公務員の方は、ぜひ参考にしてくださいね。
もくじ
老後資金として有効なiDeCo(イデコ)
iDeCoは「individual-type Defined Contribution pension plan」の略で、日本語に訳すと「個人型確定拠出年金」です。つまり、個人がかけられる運用型の年金を指します。iDeCoでは、毎月掛金を積み立てることで、受け取り可能年齢を迎えた際に、運用益とともに年金として受け取れます。
iDeCo最大のメリットは、月々の掛金が全額所得控除となる点です。iDeCoを活用することで、所得税や住民税の負担を軽減できます。また、運用益に対しても課税されません。
ただし、iDeCoは一度加入すると原則60歳まで掛金を引き出せないため、運用を始める際は事前にしっかりと検討しましょう
iDeCoの掛金には上限がある
iDeCoの掛金には、上限が設定されています。上限額は、ほかの年金の加入状況によって異なる仕組みです。
実質的には、勤務先によって変わってくるiDeCoの上限金額について解説します。
自営業者の上限額がもっとも高い
自営業者やフリーランスの方は、国民年金保険料の第1号被保険者です。iDeCoでは、この第1号被保険者の上限額がもっとも高く設定されています。
iDeCoにおける第1号被保険者の掛金の拠出限度額は月6.8万円です。会社員や公務員と比較すると2倍以上の枠となっています。
会社員の上限額は3種類
会社員の場合は、勤務先の企業年金の状況によって3種類の上限額が設定されています。
企業年金を導入していない企業に勤める会社員の上限額は月2.3万円です。すでに企業型DCに加入している会社員の場合は、月2万円が上限となります。確定給付企業年金の場合は、iDeCoの上限額は月1.2万円です。
iDeCo加入前には、必ず現在の企業年金の状況を確認しておきましょう。
公務員は上限額が抑えられている
公務員の、現在(2023年4月時点)のiDeCo上限額は月額1.2万円と、大きく制限されています。もともとあった共済年金(2015年に厚生年金に変更)や退職金などの手当てが、一般的な会社員に比べると手厚いためです。
掛金が少なく節税効果も限定的だったことから、当初は公務員のiDeCo加入はすすみませんでした。しかし、年金制度の変更や退職金の減少によって、近年では公務員のiDeCo加入が増加しています。
2024年の法改正によって公務員の上限額が引き上げられる
iDeCoはこれまでも法改正を繰り返し、少しずつ条件が緩和されてきました。2024年の法改正では、他制度との併用条件が緩和されます。そして、この改正に伴い公務員の上限金額も引き上げられる予定です。
2024年のiDeCo法改正のポイントをご紹介します。
他制度との併用条件が緩和
2024年に予定されている法改正では、企業型DCといったほかの年金制度との併用条件が緩和されます。
これまでは、企業型DCと厚生年金基金などのDBを併用する方や、DBのみに加入する方の上限は月1.2万円でした。しかし、今回の改正で月2万円に引き上げられます。ただし、条件によっては2万円以下になることもあるので、具体的な計算式を確認しておきましょう。
月額5.5万円-(各月の企業型DCの事業主掛金額+他制度掛金相当額)
※iDeCoの拠出限度額の上限は2万円
年金払い退職給付に加入する公務員の上限額も引き上げ
会社員の厚生年金基金にあたる、公務員が加入するDBは「年金払い退職給付」です。
2024年の法改正によって、DBである「年金払い退職給付」に加入する公務員の上限額も2万円に引き上げられます。限定的だったiDeCoのメリットが大きくなるため、公務員の加入は今後増加する見込みです。
公務員がiDeCoに加入するメリット
公務員の場合は、これまでiDeCoの効果が限定的でした。しかし、2024年の法改正で上限額が引き上げられることで、得られるメリットも大きくなります。
公務員がiDeCoに加入するメリットをご紹介します。
退職金の減額に備えられる
公務員の退職金は、近年減額される傾向にあります。iDeCoに加入することで、退職金の減額に備えられるでしょう。
また、公務員が加入する年金も官民格差の解消を目的として、2015年にこれまでの共済年金から年金払い退職給付に変更されました。共済年金よりも支給額が下がる変更だったことを考えると、今後さらに減額される可能性があります。
老後の手当てが手厚く、これまで比較的安定していた公務員ですが、退職金だけではなく年金受給額の減少にも備えて計画的な資産運用が求められます。
高い節税効果を得られる
iDeCoは掛金が全額控除対象となるうえ、運用益も非課税なので、高い節税効果を得られる資産運用方法です。これまで公務員は掛金に上限があったため節税効果が限定的でした。
しかし、2024年の法改正で上限額が引き上げられたことで、公務員のiDeCo加入による節税メリットがこれまで以上に大きくなります。
公務員がiDeCoに加入する際の注意点
公務員がiDeCoに加入する場合の注意点をご紹介します。一般的な会社員の場合と注意点はそれほど変わらないので、公務員以外の方も参考にしてくださいね。
年末調整か確定申告が必要
iDeCoの税制優遇を受けるためには、年末調整あるいは確定申告が必要です。副業などでほかの収入がない場合は、原則年末調整で問題ありません。
iDeCoに加入すると、毎年10〜11月頃に国民年金基金連合会から小規模企業共済等掛金払込証明書が送付されます。年末調整の際に必ず提出しましょう。
万が一年末調整を忘れた場合は、確定申告をすることで税制優遇を受けられます。
育休を取得している場合
育休を取得している場合は、育児休業手当金が支給されます。しかし、育児休業手当金は給与にはあたりません。iDeCoの払込方法を事業主払いにしている場合、掛金の給与天引きができなくなってしまいます。育休中もiDeCoを払い続けるためには、個人払いへの変更が必要です。
収入の少なくなる育休中にiDeCoを支払っても、節税効果はほとんど見込めません。しかし、長い運用期間を考えると、育休期間は限定的です。将来の受給額を確保するためにも、できるだけiDeCoを休止しないことをおすすめします。
転職や退職する場合
転職や退職する場合は、iDeCoの移管手続きが必要です。とくに企業型確定拠出年金へ移管する場合は、一旦これまで加入していたiDeCoの加入者資格を喪失することになるため、事前に手続き方法をしっかりと調べておきましょう。
一方、企業型確定拠出年金がない転職先の場合は、iDeCoの加入をそのまま継続できます。iDeCoは大切な老後資金なので、少しでも不安がある場合は転職先に相談しましょう。
【まとめ】公務員も上限が引き上げられるiDeCoを積極的に活用しよう
iDeCoは国が推奨している年金制度の一つであり、節税など多くのメリットがあります。
公務員の場合、これまでiDeCoの上限額が抑えられていたため、大きな効果はありませんでした。しかし、2024年の法改正によって、一般の会社員と変わらないメリットを得られるようになります。
また、副業が制限されている公務員の場合は、老後資金を確保する方法はあまり多くありません。現役時代も年金受給時も有利なiDeCoの積極的な活用を検討してみてくださいね。
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