家族からの相続などによって意図せず土地を取得した場合、せっかく所有している土地を有効に活用できていないことがあります。
土地をうまく活用できていないと、収益を得られないだけではなく、余計な費用がかかるおそれもあるので注意が必要です。
この記事では、土地活用の具体的な方法を詳しくご紹介します。また、不動産投資初心者の方が注意すべき、土地活用のリスクやデメリットについてもまとめていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
もくじ
空き地があるなら積極的な土地活用がおすすめ
空き地としてただ土地を所有しているだけでは、利益を生まないばかりか、余計な出費につながることもあります。
また、放置していると、土地の価値が下がるケースもあるので注意が必要です。もし活用していない土地を所有しているのであれば、ぜひ積極的に活用法を検討してみてください。
土地を活用せずに放置してしまうデメリットやリスクについて詳しく紹介します。すぐに活用できない場合でも、余計なトラブルを発生させないためにも参考にしてくださいね。
固定資産税や都市計画税がかかる
土地を所有していると、固定資産税や都市計画税(国の都市計画内にある場合)といった税金が毎年発生します。資産のつもりで保有をしていても、一定のコストがかかり続けるので注意が必要です。
所有している土地に建物を建てて活用することで、税率の軽減が受けられる場合があります。
税制の優遇を受けられることも、土地活用をするメリットの1つです。ただし、税制優遇の適用外となる条件もあるので、事前によく調査したうえで活用方法を検討しましょう。
維持するだけでも費用がかかる
土地を維持するためには、税金以外にも費用や手間がかかります。土地をすぐに利用可能な状態に保つための維持管理費用です。
多くの場合、所有している土地の近隣には住宅や企業があります。生い茂る草木を放置していては虫の発生源となってしまいますし、場所によっては害獣の侵入を防ぐ鉄条網の設置や駆除が必要です。
管理を怠ると近隣住人との余計なトラブルに発展して、さらに余計な出費を招きかねません。利用していない土地でも、最低限の管理は怠らないようにしましょう。
近隣トラブルへの対処も必要になる
活用していない土地を所有していると、最低限の管理をしていても近隣トラブルに発生するおそれがあります。
若者のたむろやゴミの放置などがあると、近隣住人に迷惑がかかってしまうほか、犯罪の発生にもつながりかねません。そうなれば、せっかく所有している土地の価値が下がってしまうでしょう。
いざ土地を活用する際に、円滑に進められるよう、近隣住人との関係や住環境は良好に保っておきましょう。万が一トラブルにつながりそうな事態が発生した場合は、できるだけ早く対処することが重要です。
タイプ別土地活用方法の選び方
土地活用にはさまざまな方法があります。どの活用方法にすべきか迷ってしまった際は、重視したいポイントを整理して検討することが大切です。
タイプ別におすすめの土地活用方法をまとめましたので、利用目的のない土地を所有している方はぜひ参考にしてください。それぞれのデメリットについても把握したうえで、しっかりと検討しましょう。
収益性重視
土地活用で収益性を重視する方におすすめなのが、アパートやマンション経営、コンビニなどの店舗経営です。
事業的側面が強いので、しっかりと収益をあげられます。また、所有している土地が広い場合は、太陽光発電も今注目の活用方法です。
一方で、事業である以上失敗のリスクもあります。立地条件や事業開始後の空室対策、集客といったリスク面を事前にしっかりと調査することが重要です。
安定性重視
高収益は見込めなくても、安定した収益を目指す場合におすすめなのが、コインランドリー経営です。
人件費やランニングコストが比較的安く、長期間安定した収益を得られます。ただし、利用者の確保は必要なので、周辺環境の事前調査は欠かせません。
集客が難しそうな立地の場合は、保育園や高齢者向け施設への貸地も検討してみましょう。
公共性が高い施設は予算が限られているので高い賃料は期待できませんが、長期一括借り上げとなるケースもあり、安定した収益を見込めます。
初期投資額重視
初期費用を抑えて土地活用したい場合には、駐車場経営がおすすめです。なかでも月極駐車場は、コインパーキングのように機械を導入する必要がないので、さらに初期投資を抑えられます。
ただし、建物のない駐車場の場合、固定資産税の減税対象にはならない点に注意が必要です。
また、土地をそのまま貸し出す貸地も、初期費用がかかりません。将来的に別の用途に土地を利用したい場合は、期間の定めのある「定期借地権」という方法もあります。
節税対策重視
節税対策として土地活用を検討する場合は、建物を建てる必要があります。アパートやマンション、戸建住宅などの賃貸経営による土地活用です。立地条件が整っている場所であれば、高収益も期待できます。
ただし、賃貸物件の建設にはまとまった初期費用が必要です。とくにローンを組む場合は事前に資金計画を立てておきましょう。
土地活用としておすすめしたい厳選10選
土地の活用方法に正解はありません。立地条件やかけられる初期費用、期待する収益によって最適な土地活用方法は変わってきます。新しいアイディアで、ほかにはない土地活用に挑戦することも可能です。
ここからは、収益性や現実的な管理という面から厳選した、おすすめの土地活用方法10選をご紹介します。また、土地を利用する方法は1つに絞る必要はありません。
立地や状況に合わせて、複数の方法を組み合わせて活用することもできます。ぜひ最適な土地活用方法をみつけてくださいね。
賃貸アパートやマンション経営
アパートやマンションなどの賃貸物件の経営は、人気のある土地活用方法の1つです。立地条件が良ければ収益性も高く、長期間安定して運用できます。
デメリットは、多額の初期費用と、賃貸物件を建設できるだけの土地の広さが必要な点です。
ただし、家賃収入をローンの返済に回せるため、一定の資産や収入があれば余裕のある資金計画で運用できる可能性があります。
戸建賃貸
賃貸経営をしたくてもあまり広い土地がない場合は、戸建住宅がおすすめです。マンションやアパートの建築に比べて、初期費用も抑えられます。
また、戸建住宅に入居するのはおもにファミリー層なので、出入りが少なく空室リスクを軽減できる点も魅力です。
ただし、戸建住宅への入居は基本的に一世帯のみとなるため、万が一空室が出た場合は家賃収入がゼロになってしまいます。空室リスクも考慮して、無理のない資金計画を立てておきましょう。
駐車場
駐車場経営は、初期投資が少ないため人気の高い土地活用方法です。駐車場には月極駐車場とコインパーキングの2種類があります。月極駐車場であれば、初期投資はほとんど必要ありません。
一方コインパーキングの場合は、精算機やロック板などの機械が必要となるため、一定の初期費用がかかります。しかし、オフィスビルや商店街などの集客施設が近い場合は、回転のいいコインパーキングのほうが収益性が高い場合もあります。
予算や周辺環境に応じて、最適な方式の駐車場を選択しましょう。ただし、そもそも自動車の台数が少ない地域では需要が見込めないので、あまり収益は期待できません。また、建物のない駐車場は更地と同じ扱いになるため、節税効果がない点にも注意が必要です。
事業用として貸地にする
土地活用でほとんど初期投資が必要なく、安定した収益につながる方法が事業用の貸地です。自分で事業をする場合と比較すると収益性は下がりますが、借り主が事業リスクを負うので、土地の所有者にはあまりリスクがありません。
ただし、万が一事業が倒産した場合は、賃料が入らないだけではなく、建物の撤去費用もかかるおそれがあります。
また、自分の都合で土地を返却してもらうことはできないため、将来的に別の用途で土地を利用したい場合、多額の立ち退き費用が必要になることもあります。
トランクルーム経営
トランクルームは、駐車場と同様に比較的少ない初期投資で始められる土地活用方法です。収益性はあまり高くありませんが、借り手さえみつかれば比較的長期間契約してもらえることが多いので、安定した収益が見込めます。
ただし、賃料未払いのまま借り主に連絡がつかなくなってしまった場合は、倉庫の中身をオーナーの費用で処分しないと次に貸し出せません。
太陽光発電用地
太陽光発電用地は、最近注目されている土地活用方法の1つです。発電パネルを自分で設置して事業を運営する方法と、太陽光発電事業者に貸し出す方法があります。万が一事業者が倒産した場合でも、事業用地ほどの撤去費用はかかりません。
ただし、太陽光発電用地にできる土地の立地条件は限られます。発電に十分な日光が当たることが絶対条件です。
コインランドリー経営
住宅地近くの土地を所有している場合には、コインランドリー経営がおすすめです。コインランドリー経営は人件費が不要で固定費も比較的安いため、安定した収益が見込めます。
ただし、建物や洗濯機の購入などで一定の初期費用が必要です。また収益性は低いので、投資金額の回収にはある程度時間がかかる点にも注意が必要です。
資材置き場
資材置き場として、建築会社や土木会社に貸し出す土地活用方法もあります。初期投資が不要なほか、事業者は倉庫程度の簡易的な建物しかつくらないため、万が一倒産した際の撤去費負担のリスクを抑えられます。
ただし、資材置き場として貸し出す場合は、借り主にとって利便性の高い場所でなければなりません。また、資材置き場の需要はあまり高くないので、積極的な土地活用をしたい方には不向きです。
自動販売機を設置
自動販売機の設置は省スペースでも実現可能な土地活用方法です。また、設置や管理は事業者側に任せられるので、コストも手間もかかりません。
ただし、自動販売機のみではほとんど収益が見込めないため、駐車場などほかの土地活用方法と併用することをおすすめします。
農園として貸し出す
土地を農園として貸し出す場合、大掛かりな初期投資は必要ありません。貸し農園は人気の野外活動として注目されています。
ただし、農地はさまざまな法律や規制があるので、手続きに手間がかかるのがデメリットです。
また、貸付には条件が定められており、自身で運営する場合は細かな規則をしっかりと確認しておく必要があります。
土地活用のリスクやデメリット
土地活用は運用がうまくいけばさまざまなメリットを得られますが、デメリットも多く存在します。不動産投資方法としては、難易度が高いです。
デメリットをきちんと把握して、適切なリスク対策を講じましょう。
初期投資が大きくなりがち
投資として収益性の高い土地活用をする場合は、初期費用がそれなりにかかります。マンション経営や店舗経営はもちろん、コインランドリー経営なども一定の初期費用が必要です。
また、自己資金でまかなえない場合はローンを組みますが、不測の事態が生じて返済できなくなってしまうと、土地を手放す必要に迫られるリスクもあります。
長期的な視点が必要
収益性が見込める土地活用には初期投資が必要なため、投資金額の回収には一定の期間がかかります。
また、事業性のある活用方法の場合は、不測の事態による追加費用が発生することも視野に入れておかなければなりません。
土地活用で収益をあげるためには、長期的な視点で余裕のある資金計画を立てる必要があります。
需要に合わない事業を選んでしまうと、投資金額を回収できないおそれもあるので、土地活用をする際は十分に検討しましょう。
トラブル発生時の対応リスクが大きい
土地活用方法によっては、思わぬ大きなトラブルに見舞われることもあります。
たとえば、事業用地として貸し出していた土地の借り主が倒産すると、リスクは賃料だけではありません。
土地を別の用途に利用したくても、倒産した会社に資産がない場合は、建物の解体や撤去費用を土地の所有者が負担するしかなくなります。
また、マンション経営など自身で事業をおこなう場合は、初期投資や収益低下時のローンの支払いなど、多くのリスクが伴うので注意が必要です。
【まとめ】初めての不動産投資で土地活用は難しい
土地の活用方法はたくさんある反面、初心者にとっては投資判断の難しい不動産投資といえます。現在土地を所有しているのであれば、積極的な土地活用を検討すべきですが、これから不動産投資を始めるのであれば、まずはリスクの少ない方法を選びましょう。
たとえば、マンションのワンルーム区分投資であれば、マンション経営のなかでは初期費用を抑えられます。また、アパート経営と比較して、空室リスクや物件価値の下落リスクが低いのもマンション経営の特徴です。
区分投資の場合はローンの返済額も大きくないので、一時的な空室や家賃滞納であれば無理なく対応できます。
将来的に土地活用を検討している方も、まずはリスクの低い方法から不動産投資を始めてみてください。別の収入源を確保しておけば、土地活用をする際のリスクも軽減できますよ。