数ある投資方法のなかでも、FXは比較的簡単に始められる方法の1つです。証券口座の開設はネット上で簡単にできるうえ、少額からでも投資できます。上手に活用することで、資産形成につなげることも可能です。
一方で、ほかの投資方法と同様に、FXにもリスクがあります。また、FX特有のレバレッジ取引によって資産を失うことにもつながりかねません。
FX投資の仕組みを初心者でもわかる視点で詳しく解説します。資産形成の手段としてFXを検討している方は、ぜひ参考にしてくださいね。
FXの基礎知識
FXとはどのような金融商品なのかをご紹介します。
投資を始める際には、特徴やリスクについてしっかりと理解しておくことが重要です。FXの基礎知識をまとめましたので、ぜひ参考にしてくださいね。
そもそもFXとは?
FXとは「Foreign Exchange」の略称で、日本語では「外国為替証拠金取引」という意味です。日本円を米ドルに両替するのと同様に、ある国の通貨を別の国の通貨で売買することを指します。
FXは金融商品取引法で守られている金融商品の一種です。金融庁による厳しい審査を通過し、登録を受けた業者でなければFXのサービスは提供できません。
FXの市場規模と特徴
金融先物取引業協会によると、日本の個人による2022年のFX取引額は前年比の約2倍。およそ1京2074兆円にものぼります。過去10年間で、FXの国内取引額は7倍にまで膨れ上がっており、今後も市場規模がさらに拡大する見込みです。
FX最大の特徴は、取引額の一部に相当する証拠金を預けるだけで、その何倍もの金額を取引できる点です。レバレッジ効果といい、国内FXでは、最大手元資金の25倍の取引ができます。例えば、10万円の保証金で最大レバレッジである25倍をかけて取引をおこなった場合、250万円分の取引が可能です。
FXのリスクとメリット
FXの特徴であるレバレッジ取引は、同時に最大のリスク要因です。手元資金よりも大きな利益を狙える一方で、損失が出た場合の倍率も同様となります。さらに、為替相場は変動しやすいため、短時間で大きな資金を失ってしまうおそれもあります。
一方で、いつでも取引がおこなえる点は、忙しい方でも参入しやすいポイントです。FXは世界の市場で取引されているため、土日を除いて(年末年始や特別なメンテナンス時間を除く)24時間取引ができます。
FX取引の基本的な仕組み
FX取引を始めるのであれば、基本的な仕組みを理解しておく必要があります。取引の流れや、最大の特徴であるレバレッジの仕組みをしっかりと把握しておきましょう。
FXの基本的な仕組みについてご紹介します。また、注文方法と種類については、株式投資のようなほかの金融取引にも共通する部分があるため、FXに限らずこれから投資を考えている方も必見です。
FX取引の流れ
FXの取引を始めるには、まずFX専用の口座を開設する必要があります。FXを取り扱っている証券会社の公式サイトから、FX口座の開設を申し込みましょう。多くの場合、口座開設自体は無料です。
FX口座を開設したら、取引に必要な証拠金を入金するだけで取引を始められます。FX口座にある証拠金で、サービスを申し込んだ会社の取り扱う通貨ペアの注文をいれるだけです。
FXは売買取引のため、将来価格が上がりそうであれば買い注文、下がりそうであれば売り注文を出します。予想どおりの方向に価格が動いて、利益が出たタイミングで決済注文をすれば差額分の利益を得られます。
レバレッジの仕組み
FXのレバレッジとは、担保となる保証金の最大25倍(国内)の金額を取引できる仕組みです。通常の両替であれば、10万円で10万円分の外貨しか受け取れません。しかし、最大25倍のレバレッジをきかせた場合、10万円で250万円分の取引ができ、わずかな値動きでも大きな利益をあげられます。
ただし、レバレッジ取引は大きなリターンが期待できる分、損失が大きくなるおそれもあるため注意が必要です。値動きによっては、証拠金の全額を失ってしまうリスクもあります。
FXにはさまざまな注文方法がある
FXで効率的な投資をおこなうためには、注文方法を理解しておくことが重要です。利用するサービスによって細かい違いはありますが、注文方法として代表的な「成行」「指値・逆指値」「OCO」「IFD」について簡単にご紹介します。
成行注文
もっとも簡単に売買できる注文方法が「成行」です。表示レートで売買注文をおこないますが、注文の成立を優先するため、必ずしも表示されているレートどおりに取引が成立するとは限りません。
指値・逆指値注文
指値注文は、売買を希望する金額で注文をいれておき、レートが注文金額に達したら成立する注文方法です。売買の基本は安く買って高く売ることなので、買い注文の場合は今のレートよりも安い金額に注文をいれることを「指値」、高い金額に設定することを「逆指値」といいます。
OCO注文
OCOとは「One Cancels the Other」の略で、2つの注文を同時にいれておき、どちらかが成立するとどちらかがキャンセルになる注文方法です。例えば、現在1ドル100円だったとして、105円になったら売りたい、95円まで下がったら買いたい場合に使用します。
IFD注文
IFDは「If Done」の略で、日本語では「もし注文が成立したらいくらで決済する」という意味をもちます。新規注文の際に決済注文も同時にいれる注文方法です。指定した金額で新規注文が成立すると、自動的に決済注文がはいるため計画的に投資できます。
FXに必要な知識とスキル
FX取引をおこなう際には、正しい知識と的確な市場分析能力が必要です。取引自体は誰にでも簡単に始められるものの、知識が不十分なままでは資産を増やしていくことはできません。
FX取引に必要な知識やスキルについてご紹介します。
正しく相場を分析する
FX取引で失敗しないためには、正しく相場を分析することが重要です。FX相場は、各国中央銀行の動向・政治・経済など、実に幅広い要素が複雑に絡みあって変動します。
また、相場のトレンドを把握するにはチャートの読み方も大切です。感覚だけで売買をしていては、ギャンブルと変わりません。市場で何が起こっていて、チャートの動きとして次にどうなるのかを分析して相場のトレンドを探ります。さまざまな情報にアンテナを張って、できるだけ根拠をもった取引ができるようにしましょう。
リスクマネジメントをしっかりとする
FX取引をするうえでもっとも重要なことはリスクマネジメントです。市場を分析し、堅実な取引を心がけても、思惑どおりに相場が動くとは限りません。どれだけの損失まで許容するかを事前によく検討し、常にリスクと向き合う必要があります。
損切りによるリスク管理の徹底は、FX成功者の共通点です。損切りによって一時的な損失は発生しますが、大切な資産を守ることができます。
トレード心理を理解する
FX相場はさまざまな要素で変動しますが、最終的に相場の方向を決定づけるのはトレーダーの心理です。相場がこれから上昇に向かうのか、下降するのかは、人の思惑によって変わってきます。
個人売買の規模ではなかなか相場は動きませんが、相場を動かすのはヘッジファンドなどの機関投資家です。機関投資家が相場をどう動かしたいのかを理解すると、利益につながるチャンスも増加します。
目先の値動きに左右されて、大衆に流されていては利益をあげられません。相場を動かす機関投資家の心理を理解して、冷静な判断を下すことが成功への近道です。
【まとめ】FXの仕組みを理解して資産形成をしよう
FXは数ある投資方法のなかでも比較的参入しやすく、誰でも手軽に始められる点が魅力です。ただしFXで成功するためには、日々の検証・研究といった努力が欠かせません。十分な知識のないまま安易に始めてしまうと、資産形成どころか資産を失うおそれもあります。
基本的な仕組みはもちろん、相場分析や機関投資家の心理など、自分なりに投資根拠をもてる知識を身につけましょう。FXを提供する証券会社のなかには、デモトレードという形で実際のお金を投資することなく、取引を体験できるプログラムを用意している会社もあります。初めてFXをする場合は、デモトレードを活用して体験してみましょう。