不動産投資には、知っておかなくてはならない基礎知識がいくつかあります。減価償却費もそのひとつ。不動産投資で失敗しないよう、以下のポイントについては必ずおさえておくようにしましょう。
もくじ
減価償却費とは
まず、減価償却とは何かを知りましょう。不動産を運用する場合、物件の購入代金は経費として計上できます。しかし、不動産物件というのは長い期間利用するのが前提となっているため、1年目でそのすべてを経費計上はできません。そのため、利用可能な年月に分け、毎年費用として計上することになります。これが減価償却です。そして、その費用のことを減価償却費と言います。
ただし、減価償却できるのはあくまでも“朽ちていく建物”のみ。土地に関してはそもそも朽ちるものではないので、減価償却ができません。なお、実際には建物部分は本体である建物躯体と電気設備や給排水設備といった建物設備に分けられます。
減価償却費の計算方法
Step1.土地と建物を分ける
前述のとおり、土地は減価償却費の対象になりません。不動産会社が発行した売買契約書や譲渡対価証明書を確認し、建物のみの費用を把握しましょう。なお、設備についてもこれらの書類で確認できます。ただし、中古物件の場合は設備と本体の区分が難しいので、一緒に計算するケースが多いようです。
Step2.減価償却の計算方法を決める
減価償却費を計算する場合に用いられるのは、定額法と定率法の2種類です。前者は減価償却の対象になる金額を耐用年数で割る方法。毎年一定額が配分される仕組みで、建物本体と設備の両方に用いることができます。
一方、定率法は利用開始初期の減価償却費を多くし、年々減少させていく方法。築年数が経過するほどに、減価償却費が少なくなっていくのが特徴です。こちらは、建物設備のみに用いることができます。なお、平成28年4月1日以降に取得した物件の場合、建物設備の償却は定額法を用いるようになりました。
Step3.住宅物件の耐用年数(利用可能年数)を調べる
建物はその構造により、法定耐用年数が定められています。
構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
鉄筋コンクリート(RC) | 47年 |
重量鉄骨 | 34年 |
木造 | 22年 |
Step4.償却率を調べる
耐用年数が把握できたら、今度は耐用年数に応じて定められている「償却率」というものを調べます。これを求めるには、国税庁が発行する「減価償却資産の償却率表」に耐用年数を当てはめましょう。
Step5.減価償却費を算出する
Step4までの情報をまとめたら最後に計算を行います。減価償却費の算出は以下です。
まとめ
減価償却に関する知識は不動産投資の基本です。まず、物件の取得費はその年にすべてを経費に計上できません。減価償却費は建物と設備に対して計上されるものであり、建物の種類によって耐用年数は違うことなどをしっかり覚えておきましょう。