資産運用に関心があるもののリスクや手数料が気になり、どれを始めようか迷っている方もいるのではないでしょうか。資産運用の目的には、老後の生活費・相続・災害に備える、好きなことに充てるなど多くのことがあります。給料が上がらなかったり公的年金の危うさが報道されたりする中で、注目を集めている方法です。
そこでこの記事では、資産運用のそれぞれの特長や比較結果を紹介します。特長が分かれば自分の経済状況や目的に合った方法が分かるため、ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
主な資産運用の種類とそれぞれの特徴
資産運用には主に6種類があります。
- 預金
- 株式投資
- 国債・社債
- 投資信託
- FX
- 不動産投資
「資産運用」と一言でいっても多くの種類があり、運用方法や結果も変わってくるものです。自分に合ったものを選ばないと、失敗する可能性が高まります。「資産を増やすこと」に注力できるように、まずは概要を押さえましょう。
金利を得られる「預金」
預金とは金融機関にお金を預けることで金利を得る方法です。私たちが「銀行にお金を預けている状態」も、このことを指します。
預金には普通預金と定期預金、外貨預金があります。メリットは元本割れのリスクがないことです。例えば100万円預けた場合、1年後に減っていることはないため、安心して預けられます。
一方で預金ではお金がほとんど増えません。普通預金の金利は0.001%、定期預金では0.002%となり、定期預金で100万円を10年預けたとしても、2,001円しか増えません。
外貨預金では0.010%〜0.080%程度と高くなりますが、為替手数料が発生するため計画的に運用する必要があります。
売却益や配当金を得られる「株式投資」
株式投資とは、企業に投資し株主として売却益や配当金を得たり、株主優待を受けたりする投資方法です。ショッピング時のポイントでも投資が可能です。
期間に制限のない現物取引ではリスクとリターンは中程度となり、期間に制限のある信用取引では、ハイリスク・ハイリターンとなります。
ハイリスクな株式投資であれば、元本を失うリスクも避けられません。自分でも十分に勉強した上で株式投資を始めることをおすすめします。
国や企業に資産を貸し出す「国債・社債」
国債は国が借金した証明書のようなもので、国債を買うことは「国にお金を貸している」状態を表します。社債も同様に、購入者は「会社にお金を貸している」状態です。2つ合わせて「債券投資」といいます。
お金を貸すと利子が入り、「利子収入で自分の資産を増やすこと」が国債・社債による資産運用です。個人向け国債は1万円から購入できます。一方で最低金利は0.05%であるため、株式投資やFXなどよりもリターンは少ないのが弱点です。
国の財政が破綻したり会社が倒産したりすることでお金が戻ってこない可能性もあるため、注意しましょう。
投資家に運用してもらう「投資信託」
自分で購入した商品を投資のプロ(ファンドマネージャー)に運用してもらい、売却益や分配金を得ることを投資信託といいます。株式・債券・REITなど数多くの金融商品があるため、分散投資によりリスク分散が可能です。さらに自分で運用をするわけではないため、手間暇がかかりません。
ただしファンドマネージャーに運用を任せている分、購入手数料や運用管理費用などがかかります。元本割れする可能性もあるため、気をつけましょう。
為替の差益で利益を得る「FX」
FXはドルやユーロなどの為替差益により利益を得ることです。為替はつねに動いているため、ちょっとしたタイミングで結果が変わってきます。
FXは証拠金というお金を担保にして、最高で25倍ものレバレッジをかけられるのが魅力です。例えば1万円の証拠金であれば利益は25万円となります。ただしリスクも大きいため、知識をつけてから始めましょう。ほかにもスワップポイント(金利の調整額)で利益を得る方法もあります。
家賃収入や売却益を得られる「不動産投資」
さらに不動産投資でも資産運用が可能です。資産価値のある不動産を所有できたり減価償却費を使った節税対策ができたりと、メリットはたくさんあります。
一方で長期間にわたって入居者に貸し出す以上、空室リスクや災害の発生により管理が大変になることも考えなければなりません。
不動産投資では数百万円~数億円のお金が必要なため、手を出せない方もいると思います。そのような方には、少額から不動産投資ができる「REIT」がおすすめです。
資産運用はどれが良い?特徴を比較!
国債・社債、投資信託など、資産を増やす方法は数多くあることがお分かりいただけたかと思います。そこで以下の基準に照らした場合、どの資産運用がいいのかを検証していきましょう。
- リスクやリターン
- 投資額
- 投資期間
- 手数料
「自分はどの範囲まで手が出せるか」を確認しながら、読み進めていくことをおすすめします。
リスクやリターンの違い
まずはリスク・リターンの大きさ別に比較してみました。
リスク・リターンの大きさ | 種類 | 備考 |
大 | FX | 最高25倍のレバレッジ効果がある |
株式投資 | 信用取引の場合 | |
中 | 株式投資 | 現物取引の場合 |
不動産投資 | 運用次第で変わる | |
投資信託 | 元本割れの可能性もある | |
小 | 社債 | 会社が倒産しない限りリスクは少ない |
国債 | 国が財政破綻しない限りリスクは少ない | |
預金 | 元本割れはしない |
一番リスクとリターンの大きいものはFXです。FXは最高25倍のレバレッジをかけられるため、10万円の証拠金であれば最高250万円にまで膨れ上がります。ただしその分リスクもあるため、気をつけましょう。
また不動産投資は運用次第で結果が大きく変わってきます。災害や家賃下落リスクなどに備えて、計画的な運用が必要です。
必要となる投資額の違い
次にそれぞれの方法の必要最低金額を表にまとめました。
投資額 | 種類 | 金額 |
大
小 |
不動産投資 | 数百万円〜数億円 |
社債 | 10万円 | |
株式投資 | 100株×株価 | |
国債 | 1万円 | |
FX | 100円 | |
投資信託 | 100円 | |
預金 | 1円 |
資産運用というと「大量の資金が必要」なイメージを持つ方もいると思います。ただし投資信託であれば最低100円から始められるため、投資初心者でも安心して運用が可能です。
また資金を多めに準備できる方であれば、不動産投資も検討してみましょう。借り入れる金額によって頭金を減らせます。
10万円程度であれば挑戦できる方でリスクを負いたくなければ、10万円単位から購入できる社債や多めに国債を買ってみるのもおすすめです。実際の投資金額はリスク・リターンとも照らし合わせて、設定しましょう。
投資期間の違い
投資期間にはどのくらいの違いがあるのでしょうか。
種類 | 長さ |
預金 | 長期間預ける |
株式投資 | 現物取引であれば制限はない |
国債・社債 | 個人向け国債であれば、満期3年・5年・10年がある |
投資信託 | 中長期運用する |
FX | 短中期運用する |
不動産投資 | 数十年単位で運用する |
投資期間が短ければ短いほど、利益を上げようとして慌ててしまうものです。失敗する可能性もあるため、短期であってもすぐに儲けを狙いすぎないようにしましょう。
また投資期間が長いものは、一時的にリスクを負っても投資を続けていくことで持ち直すこともあります。その点、長い目でゆっくりできるのが不動産投資の良さです。
投資期間はライフプランによって変化し、例えば結婚・出産しない予定の方であれば長期的にできることもあります。
手数料の違い
最後に手数料の違いをまとめてみました。
種類 | 手数料(一部) |
預金 | 出入金手数料 |
株式投資 | 株式委託手数料 |
国債 | なし |
投資信託 | 購入時手数料・運用管理費用・信託財産留保額・監査報酬・売買委託手数料 |
FX | 無料 |
不動産投資 | 仲介手数料・登記費用・税金 |
手数料に関しては、投資のなかでも口座や種類によって異なります。例えばFXでは多くの会社で手数料無料です。投資信託では「申込価額の数%」を購入手数料として支払います。
初心者であれば、できるだけ手数料がかからない方法がないかを検討してみましょう。「手数料はいつ・いくら発生するのか」と具体的に説明できるようになれば、手数料のかかる投資にチャレンジしてみる手もあります。
不動産投資に関しては手数料の額が大きいため、あらかじめ算出してから赤字にならないか検証しましょう。
初心者が資産運用を選ぶコツは?
資産運用初心者が金融商品を選ぶ際には、以下の4点に気をつけましょう。
- 用意できる資金にあったものにする
- 投資に割ける時間で選ぶ
- リスクやリターンで選ぶ
- 計画を立てる
投資では大きなリターンを得たいと思いがちですが、「本当に自分にできること」を冷静に判断して現実的な資産運用をするように計画を立てましょう。
用意できる資金に合ったものにする
資産運用では、ご自身が準備できる金額の範囲内でチャレンジします。食費や光熱費、通信費などを除いたものが、用意できる資金です。投資は生活が苦しい中で無理に拠出したお金で行うものではありません。
お金を多く用意できたとしても、本当にその分だけのリスクを背負えるかを今一度考えましょう。何倍ものリターンが得られる良い面だけではなく、貯金がなくなること・自分の好きなことにお金を使えなくなることなど最悪の事態も想定して選択しましょう。
投資にどれくらいの時間が割けるのかで選ぶ
「投資にどれくらい時間を使えるか」も考えられると良いでしょう。具体的にはご自身のライフスタイルを分析することです。仕事が忙しく急な出張が入る方であれば、放置していてもある程度は運用してくれる投資を選ぶほうが、結果として良い方向に進みます。
リスクやリターンを見て選ぶ
投資である以上、リスクやリターンも見逃せません。「おおざっぱなリスク」に注目しがちですが、「元本割れをしてもいいのか」「いくらまでなら許せるのか」など具体的に把握しましょう。
さらにご家族への影響も考えることをおすすめします。幼いお子さんがいれば養育費がかかるため、リスクを取らず預金や国債など変動が少ないものを選ぶ手も有効です。元本がなくなる・元本以上のものがなくなる可能性も考えて、選択しましょう。
資産運用の計画を立てる
資産運用の計画も忘れずに立てます。「いつまでにいくら増やしたいのか」が分かれば、チャレンジしたい投資も明確になるものです。
例えば新しい事業を始めたいとしましょう。増やしたい金額も50万円と比較的少なければ、国債でコツコツ貯めていく方法も効果的です。余裕があれば追加で少額からの投資信託に挑戦する手もあります。
ただ漠然と資産運用をするのは禁物です。収支の管理がおろそかになってしまう可能性があります。計画性を持って始めましょう。
初心者が資産運用を始める際に注意すべきこと
資産運用初心者が注意すべき点は、次の2つです。
- 余剰資金で投資をする
- 資産運用の目的を明確化する
資産運用にはリスクが伴うため、あやふやな気持ちでは行わないほうが良いでしょう。はじめての投資は分からないことばかりですが、最低限2つのことに注意しておけば、失敗を回避できたり冷静な判断ができたりします。
余剰資金で投資をする
あくまでも余ったお金で投資をしましょう。資産運用は生活に余裕ができてはじめてできるものです。余裕を持てれば、損失が発生した場合にも冷静になれます。
余剰資金がない方は、固定費を見直してみましょう。生命保険を安いプランに変えたり引っ越したりと、工夫次第で大きく拠出できます。コンビニの利用を控えたりサブスクリプションを解約したりする方法も効果的です。変動費も含めて毎月の収支を見直して節約できる部分はないか調べてみましょう。
資産運用の目的を明確化する
「何のためにお金を増やしたいのか」を明確にします。退職後に旅行に行きたい・家を建てたいなど目的がはっきりしていれば、冷静に状況を判断し今の自分にはどのくらいのリスクを負ってもいいのかが分かるものです。
「世の中の流れで資産運用したほうがいいから」「友人が始めたから」と目的を曖昧にしてしまうと、失敗に終わる可能性があります。目的が定まらない方は、ノートに考えをまとめたり生涯でやりたいことを書いてみたりしてみましょう。
安定的に資産拡大を狙うなら!おすすめは不動産投資!
安定した資産拡大を狙いたい方やあまり労力を費やせない方には、不動産投資がおすすめです。不動産投資は短期間で終わるものではなく、数十年にわたって物件を貸し出すため、家賃収入を長期間手にできます。ほかの投資と異なり為替などの影響を受けないため、先読みしやすい投資です。
不動産投資はローンを組むことで頭金を抑えて始められます。税金や保険料もおおよその金額が分かるため、キャッシュフローの予想がしやすいのも魅力です。
不動産投資に興味がある方は、不動産投資会社に問い合わせてみることをおすすめします。
まとめ
資産運用には預金、株式投資、国債・社債、投資信託、FX、不動産投資といった多くの方法があることが分かりました。6つそれぞれにメリット・デメリットがあるため、吟味した上で選ばなければなりません。初心者であれば、用意できる金額、割ける時間、リスク・リターンの大きさから選び、計画的に投資することが必要です。
ネットなどで情報収集をしたら、金融機関や不動産投資会社などに資料請求をしてみましょう。手数料などさらに詳しいことが分かるため、良い判断材料になります。